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新設法人を利用した消費税の節税スキーム

category: 節税消費税法人税
第77号(2016年04月01日発行分)

その他

1 消費税の節税

法人税の節税対策は、決算期末に保険に加入することや従業員に決算賞与を支給する等の方法が節税本に紹介されていることがよくありますが、消費税は、間接税ということもあり、節税対策が難しいと言われています。
 これまでの消費税の節税対策で、一般的に紹介されている方法としては、新設法人の利用、給与と外注の課税関係の差異、居住用賃貸物件を購入する場合の自販機スキーム等の方法が挙げられますが、これらの方法は、近年の税制改正により、徐々にその利用が制限されつつあります。そこで、今回は、これらの方法のうち、新設法人を利用した消費税の節税対策にスポットをあて、解説したいと思います。

2 新設法人の利用

新設法人を利用した節税メリットとは、設立後一期目と二期目(以後、「設立後二期間」という)は、基準期間による納税義務者の判定ができないため、結果として、設立後二期間は、消費税の納税義務が免除されるという点です。
 これらの方法は、法律違反となるような行為ではないため、税務上、問題はないのですが、租税回避的に利用されることも多かったため、設立後二期間の免税スキームの利用については、これまでいくつかの税制改正が行われてきました。
 したがって、これらの点を考慮しないで、安易に法人を設立し、免税事業者のメリットを享受しようとしても、思わぬ落とし穴もありますので注意する必要があります。

3 これまでの改正事項等

①分割や合併による新設法人

これは、消費税創設当初から規定されている事項ですが、分割や合併により設立された分割承継法人や合併法人は、基準期間の課税売上高の判定上、分割法人や被合併法人の課税売上高を考慮しなければならないため、設立後二期間は、免税事業者に該当しないケースが生じます。

②資本金1千万円以上の新設法人

この規定は、平成9年に導入されたものですが、設立後二期間の事業年度開始日の資本金額が、1千万円以上の法人については、形式的に、設立後二期間は、免税事業者に該当しないことになっています。

③特定期間の課税売上高と給与支給額

平成23年に導入された規定ですが、特定期間(その事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間)という新しい概念を導入し、特定期間の課税売上高と給与支給額の両方の金額が、1千万円を超える場合には、免税事業者に該当しないことになりました。
 したがって、設立二期目については、特定期間の課税売上高と給与支給額について、注意する必要があります。

④特定新規設立法人を設立した場合

平成26年4月1日以降に設立した新設法人に適用される規定です。これまでは、大企業グループであっても、資本金1千万円未満の法人を設立すれば、設立後二期間は免税事業者となり、売上金額が多額になるにもかかわらず、免税事業者に該当するケースがありました。
 しかし、本規定の導入により、新設法人に50%超出資している株主の基準期間相当期間の課税売上高が5億円超の場合、設立後二期間であっても、当該新設法人は、申告義務が生じることになりました。ここで、注意しなければならない点は、基準期間相当期間の課税売上高が5億円超の対象法人は、直接出資している親会社だけが対象となるのではなく、直接出資していない兄弟会社等も対象になるという点です。
 大雑把な表現になりますが、グループ会社の中に一社でも、基準期間相当期間の課税売上高が5億円超の法人が存在する場合は、設立後二期間の免税事業者のメリットを享受できなくなったともいえます(例外的な規定もあるため、詳細はご相談頂ければと思います)。

このように、法律が年々複雑になってきていますので、新設法人による消費税免税スキームを行う場合、株主の売上高、出資割合、資本金額、決算期、給与支給額等の点を考慮して、戦略的に行う必要があります。

税務総合戦略室便り 第77号(2016年04月01日発行分)に掲載

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