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オーナー会社の株式を売却した場合の所得税

category: 自社株所得税
第77号(2016年04月01日発行分)

執筆者6

前回、「相続したオーナー会社の株式を自社に売却する場合の特例」について触れましたが、尻切れトンボで終わってしまったので、今回はその続きです。
 オーナー会社の株式すなわち非上場株式を相続すると、第三者に売却することはできない一方、相続税の対象になってしまいます。
 そのため、会社の後継者以外の相続人が非上場株式を相続した場合には、遅かれ早かれ株式の買取りの話が出てくることになります。
 買取りに応じた会社の後継者は、自分が購入するか会社が購入するか、いずれかになるでしょう。
 今回は、売り手側の所得税にスポットを当ててみます。

会社の後継者個人に売却した場合

まず、会社の後継者個人に売却した場合について簡単に説明します。
 売買価額が、相続税評価額よりも安いと、いわゆる「低額譲受け」となり、安く買った個人に、評価額と売買価額の差額を贈与されたとして、贈与税が課税されます。

会社に自社株を売却した場合

売買価額が、時価の1/2に満たない場合には、時価で売却したものとみなして、譲渡所得税が計算されます。授受した譲渡代金を上回る時価に基づいて課税される訳です。これは一般的に「低額譲渡」といわれております。
 この時の「時価」がポイントになります。
 この時価は、相続税評価額とイコールではありません。
 例えば、会社が所有する土地を計算するときに、相続税評価では路線価で計算しますが、低額譲渡の場合には、路線価ではなく「時価」により計算しなければなりません。
 この場合に、わざわざ鑑定評価額を求めるのは費用的にも大変なので、一般的には、路線価額が公示地価の80%相当であるといわれていることから、その路線価価額を0・8で割り戻して公示価格相当額を算出して、その価額を時価とすることが行われており、税務署も基本的には認めております。
 ということで、個人が法人に売却するときには、時価の1/2を下回らないよう細心の注意が必要でありますから、価格の算定や申告書の説明ぶり(プレゼン?)を是非とも税理士等に相談していただきたいと思います。

自社株を売却すると売買価額の一部が配当とみなされる場合がある

売買価額のうち、会社の「資本金等」の金額を超えている金額については、会社からの配当金額とみなす「みなし配当」の制度があります。
 このみなし配当が生じた場合には、会社は配当としての源泉徴収をしなければならず、みなし配当用の支払調書を作成する必要があります。
 したがって、この場合には、株式譲渡代金の一部が、株式譲渡としての申告分離課税ではなく、配当所得としての総合課税になってしまいますので、注意が必要となります。
 しかし、相続財産である非上場株式を相続税の申告期限から3年以内に自社株を売却した場合には、みなし配当が適用されない特例があることは、前回で触れたとおりです。

低額譲渡とみなし配当の両方がどう関連するのか

低額譲渡とみなし配当の制度は理解したが、この2つの制度について、譲渡価額が時価の1/2を下回らないかの判断と、みなし配当の算定をどのようにしたらよいのか、疑問に思われた方もいるでしょう。
 例えば、時価の1/2以上になる価額で売却したのに、みなし配当が生じて、それを控除したら、譲渡価額が1/2未満になった等々、です。
 これについては、通達により、その取扱いが次のとおり規定されています。

  • ①まず、みなし配当を考慮する前の実際の売買価額が、時価の1/2以上か否かで低額譲渡になるかどうかを判断します。
  • ②次に、みなし配当は、実際の売買価額のうち資本金等の金額を超えた金額とします。
  • ③①により低額譲渡になる場合とならない場合の価額から②を控除した価額が譲渡所得になります。

このように、言われてしまえば、ごく簡単なことではあるのですが、間違いが多いところであるため、説明させていただきました。
 いずれにしましても、実際に行うに当たっては、私共税理士等のプロに相談されることを是非お勧めします。

税務総合戦略室便り 第77号(2016年04月01日発行分)に掲載

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