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税務見聞録~多税に無税~第28回 
ある税務調査

category: 税務調査
第77号(2016年04月01日発行分)

執筆者4

昨年の10月中旬に2日間の税務調査の立会いをしました。この原稿が「税務総合戦略室便り」に掲載される頃には終了しているといいのですが……。
 税務調査が始まり、かれこれ4カ月が経ちました。調査開始から終了するまで長い。長期化するのはそれなりに理由があります。しかし、今回の案件はまるっきりない。では、何故長期化するのか。いくつかの理由があります。

調査終了の遅さ

国税通則法には、国税職員の質問検査権、税務調査の事前手続、税務調査の終了の際の手続といったところについて規定されています。そして税務調査は国税通則法と事務運営などに則って運営されています。確かに税務調査の手続については以前に比べて馬鹿丁寧になったように思います。しかし、その反面、税務調査終了の際の手続については疑問がもたれます。
 現在、税務署内部では税務調査の終了に際し、まず、修正対象事項について修正申告を案として提出の依頼をしています。そのうえで、内部で仮決裁に付し、仮決裁が了承されれば、正式に修正申告の勧奨がなされます。その際に「修正申告等について」を交付し、否認理由などの説明が行われます。修正案を提出し正式に修正申告を提出するまでに最低1カ月を要しています。
 単純に税務調査の終了が1カ月は遅延しているとしか考えられません。事前に内部で決裁を受けるシステムは間違いではないと思います。修正申告提出後に申告書にミスがあったり、事実認定の確認、本当に否認できるのか、逆に何故否認しないのかなどを処理の際に明確にするため、会計検査院の指摘を受けないためなど事前に策を打っておくことはいいことでしょうが、そのために調査は終了しているにも関わらず1カ月近く遅くなることは問題です。
 方法次第ではこれまでと同じように処理ができるはずです。税務調査の完結までの時間が依然に比べて長くなっていることは間違いないことです。これは税務当局の怠慢です。納税者を第一に考えず、自分たちの保守でしかないと思います。
 税務調査はケースバイケースです。問題点が山積みであれば銀行調査、反面調査などを実施し長期化することもあるでしょう。しかし、調査中の調査状況、指摘状況などからどこにどのくらいの問題が介在しているかは見ていれば分ります。どう考えても時間のかかる内容でないにもかかわらず長期化していることは税務署側の怠慢なのです。これは、調査担当者の能力不足だけでなく、統括官の管理能力不足、双方の判断力の無さなど数え上げたら切りがないと思います。

 

事実認定不足

今回、この事実認定が不足しているにも関わらず否認をしようとした事例があります。  源泉所得税に関して、非居住者に該当するとして20・42%の源泉所得税の課税もれですとの指摘を受けました。
 内容は、平成25年12月25日に住民票を日本国内の住居から外国へ異動し、同日で出国し、平成27年8月15日に入国、住民票を日本に戻しているもので、この期間は非居住者に当たるとの指摘でした。
 質問をしました。入国管理局で出入国状況を調査したと思いますが、その間の出入国及び日本滞在日数などを確認すると年間で27回ほど出入国しており、半数以上は日本に滞在しているということでした。
 形式的には出国時点で住民票も異動していることから非居住者かもしれないが、その後、出入国を繰り返して日本滞在は年間の半数以上となると、住居、職業、資産の状況、親族の住居状況、国籍等の客観的事実により判断することになるにも関わらず、その事実認定もせず、事実の説明をきっちりせずの税務調査終了の手続とはひどい話です。

納税者サービス

国税庁は納税者サービスとして広報活動、税務相談などにより充実を図るといっています。税務調査も同じことです。調査は厳しく対応すべきものであるが調査終結はスマートに行われなければなりません。税務当局の都合で処理が遅延することにより延滞税は増え、精神的にも良くないことを考えるべきです。

税務総合戦略室便り 第77号(2016年04月01日発行分)に掲載

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