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税務総合戦略室 室長通信 第七回 
税務署との付き合い方

第40号(2012年08月01日発行分)

執筆者1

会社を経営している以上、嫌でも税務署とは付き合っていかざるを得ない場面があります。通常、税務署と関わる機会は税務調査が行われるときでしょう。税務調査に対しては過剰に心配をされるか、または何とか調査そのものを回避する手段はないかと考えている方も多いように感じますが、経営が順調で利益が出ていれば定期的な税務調査は必ず実施されるものです。
 今回は割り切って税務署と上手に付き合う方法を考えてみたいと思います。

「税務調査の有効活用」という考え方

優良企業の経営者の方の中には、『税務調査が何年も来ないなんて不名誉なことだ』とおっしゃる方もいます。過去から数回の調査を経て会社の経理内容に信用が築かれている場合はまた別ですが、黒字企業でそれなりの所得を計上していれば、ある程度定期的なサイクルでの税務調査は当然行われるものだと考えているからです。あきらめの境地ともいえますが、どうせ行われる税務調査ならば調査を有効活用しようと考えてみるのはいかがでしょうか?

 例えば税務調査を無料の企業診断として考えてみようという発想です。調査官側からすると税務調査は件数のノルマの関係もあり限られた日数で終了させなければなりません。そのため、まずはその会社の内部牽制の弱いところ(相互チェックが働いていないところ)、間違いが発生する可能性が高いところを重点的にチェックします。その結果として従業員による社内不正が発見されることもあります。売上代金の着服や取引先との共謀による横領などです。社内監査で横領の疑いを持ってもなかなか取引先の帳簿までは確認できませんが、税務調査では「反面調査」を行うことができますので、その結果として不正が確認されることもあるのです。

 またベテランの調査官は数多くの企業を調査してきた経験から、経理組織の無駄や改善点を指摘してくれることもあります。公認会計士に監査を依頼すれば少なくとも数百万円単位のコストが掛かることを考えれば、税金の追徴はゼロ、もしくは少額で、監査と同様の経理診断の場となれば企業にとっても税務調査のメリットありと考えられるのではないでしょうか。

税務署との上手な付き合い方

税務調査についてお客様から『やっぱり少しはお土産を用意しておいたほうが良いのでしょうか?』というご質問をいただくことがあります。
 「お土産」とは、何も非違事項がないと調査官が調査を打ち切りにくい、その結果、調査が長引くという考えから簡単に気づくような誤りを予め用意しておくことです。さらには調査官がお土産に満足し、より大きな誤りを見逃してくれるのではないかという期待も込められています。調査官の機嫌を取るための方策としての意味もあり、古くは税務署との上手な付き合い方としてまことしやかに伝わっていました。
 当たり前ですが、無駄なコストをかけて「お土産」などを用意しておく必要はまったくありません。なぜかというと、

  • 申告是認の履歴は得られず、帳簿のしっかりした会社という記録が残らない
  • 「あの会社は行けば何か間違いを見つけられる」と思われ調査のサイクルが短くなる
  • 非違事項があれば調査の日数をかけても許されますし、じっくりと腰をすえた調査が行われるリスクもある

といったようなデメリットがあるからです。
 また、まったく逆の発想で、とにかく非協力的な態度をとることで調査を回避したり、終結させようと考える場合もあります。例えば、

  • なるべく調査を先送りしようといろいろな理由をつけて日程調整に応じない
  • 調査場所の不提供、帳簿の不提示、コピーの拒否、書類借用の拒否
  • 調査官の発言を録音、第三者の立会い、暴言を吐く

といったような、いわゆる「嫌がらせ」による調査妨害をすることで調査官に調査を早く終わらせたい気持ちを持たせようという考え方です。
 「お土産」を用意して調査官のご機嫌を取る必要はありませんし、「嫌がらせ」をしたからといって調査が終わるほど税務署は甘くありません。
 税務署との付き合い方について、私は「普通が一番」だと考えています。普通の対応とは、

  • 必要な帳簿は普通に提示し、調査に関係のない個人的なもの(私物のバックや手帳など)の提示は感情的にならずに断る。
  • 質問には普通に回答するが、忘れたこと、不明確なことは調べて後日回答する。不確かなことには無理にその場で答えない。
  • 無理にずっと同席せず、普通に仕事をしていてOKです。取引先と会う予定があれば外出していただいてかまいません。そのための立会い税理士です。

「調査官の心証を害したらどうしよう……」と過剰な心配はしなくても大丈夫です。常識的な対応を取り、協力すべきは協力し、受け入れられないことはきちんと断り、早期の調査終了を図るのが一番ではないでしょうか。

調査官も人間です

税務署の調査官も普通の人間です。表には出さなくても気の弱い人もいます。調査官でも初対面の人に会うときは緊張しているものです。無予告で調査に入るときなどは「連絡なしの急な調査でどう言われるだろう」「怒り出さないだろうか……」などストレスを感じるものです。たまに他者との摩擦をなんとも思っていないような調査官もいますが、そういう調査官はよっぽど職務に対して腹が据わっているか、さもなければ変人でしょう。
 税理士として仕事をするようになり、数多くの素晴らしい経営者の方とをお会いする機会に恵まれています。厳しいビジネスの世界で生きてこられたご経験に基づくお話に大いに学ばせていただいている毎日です。
 私がいつも感じるのは、多くの方が税務調査に対して不安を感じていらっしゃいますが、そういった経営者の方々が人生経験でも人格でも、一介のサラリーマンである公務員に負けるわけはないのですから(勝ち負けの話ではないかもしれませんが)、調査官に対しては自信を持って応対していただいて大丈夫だということです。落ち着いて冷静な眼でふり返ってみれば、調査官は自分の会社の部下達や、ともすると自分の子供と大して変わらないな……と感じるのではないでしょうか。

国税OB税理士の活用法

税務署と上手に付き合っていくために国税OB税理士を顧問に迎えているという話を聞くことがあります。
 大きな税務署の署長をしていた人を顧問に迎えると税務調査が行われないだとか、OB税理士が口利きをすると税金が安くなるなどという風評をお聞きになった方もいらっしゃるかもしれません。昭和の時代ならいざしらず、現在は私の知る限りそのようなことはありません。退職して税理士になった瞬間から、現職の頃の先輩・同僚は「利害関係者」となり私的な交友は厳しく制限されますし、もしも調査に手心を加えるようなことがあれば厳しく処罰されます。公務員の職を捨ててまでかつての先輩に義理立てするような職員はいません。
 現在も優良企業が国税OB税理士を顧問にしている理由は、そういったいわゆる「顔」としての効果を期待しているのではなく、法律に記載されていない部分、はっきりした正解がない部分について、前職での経験を生かした解釈・意見を期待しているのです。
 私共、税務総合戦略室のメンバーは全員国税のOBです。風評にあるような効果は期待できませんが、現職の頃の専門分野を生かした本当の意味での税務サービスをしっかりと行っていくことで皆様のお役に立ちたいと考えていますので、ぜひ有効にご活用いただければ幸いです。

税務総合戦略室便り 第40号(2012年08月01日発行分)に掲載

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