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中国四千年の歴史じゃなくてたった三〇年の歴史~第8回 
~調査部特調~

category: 税務署
第41号(2012年09月01日発行分)

執筆者4

一九九三年(平成五年)七月

特調

調査部にも特調部門があります。税務署の特調部門との大きな違い。それは、調査先企業の規模につきます。売上は一ケタ、場合によっては二ケタ違います。資本金1億以上で売上200億以上、支店や工場は数ヶ所ある企業を、年間約20件程、毎回連絡なしで、総勢12名で無予告現況調査です。
 全国を飛び回っていました。北は北海道から南は鹿児島。残念ながら沖縄には行けませんでした。事案によっては、3~4日間、机の中、キャビネットのガサ入れ。役員から順番に現況調査をしている状態。それでも、どこかで問題が沸いてきます。それも何日か経ってからです。現況をかけてブツを押さえてブツ読みをしていくけれど、そのときは何かわからないままコピー。後々で意味がわかります。こんなことの繰り返しです。自分の意見と意思で展開を描くことができた調査官時代。一歩間違えば野放し状態。でも、細かい説明は求められませんでした。「反面調査に行きます」「何でだ」「何か気になるので。勘です」こんな程度で動いていました。

サラリーマンVSサラリーマン

上場企業や巨大企業は社長以下全員がサラリーマンです。つまり、調査部の調査は国税調査官というサラリーマンと巨大企業のサラリーマンとの対決ということになります。

稟議書決裁回避

稟議決裁ってめんどくさいなぁ。そうだ、決裁対象にしなければいいんだ。請求書の内容を書き換えてもらおう。

予算消化

まずいなぁ。予算が余ってしまう。このままだと来期の予算が減額となる。そうだ、あの業者に請求書を発行してもらおう。

受注工作資金

売上増加は至上命令。受注を増やさなくっちゃ。そのためにはタダではなぁ。じゃあ、架空の経費で資金捻出。

個人の使い込み

遊ぶ金が欲しいなぁ。バレないように少しづつということで、机の中から白紙の領収書の束。

上司の尻拭い

見たことも聞いたこともない業者名。調査官の質問にしどろもどろ。

資金要求

下請けいじめ? 部署の飲み会に下請け業者を誘う。そのこころは代金の支払。

部門利益平準化

社内での利益管理は厳しい。前年対比アップは当たり前。だから、波のないように部門の利益を調整。

対外対策資金

様々な人たちが会社にはやってくるから、平穏にお帰りいただくためには日本銀行券が効果的。

サラリーマンの不正にも様々な理由、方法がありますね。

税務署の調査は直接オーナーである社長と対峙して調査するのですが、国税局調査部での調査ではそういったケースは少なくなります。つまり、オーナーと直談判するのとサラリーマンを説得するのとの違いです。それぞれ、メリットとデメリットがあります。
 サラリーマンを相手にする場合のメリットは、自らの保身のために最後には証拠を残しておくことが多い点です。税務調査の連絡が社内で伝わらないこともあり、不正資料を処分し忘れて残っていることもあります。経理が知らないことが発覚。ここぞとばかりに国税の味方に。経理部の発言力を強力にするにはいい機会らしいです。しかし、オーナー会社の社長は残しません。全ては頭の中。しかし、見つかれば潔いですね。
 デメリットは、出世との天秤? 処分を嫌がり本当のことを言わない点です。最後の最後まで認めないことは日常茶飯事で、往生際が悪い。組織的な不正は組織で徹底的に阻止します。その団結たるものは凄い。今まで対応していたことからは考えられないパワーを使います。
 この時期くらいから調査を推理ゲームのようなものと思うようになっていました。会社が作ったシナリオを崩していく。どんな方法で何をしているのだろう。相手の手の内を読む。まさかこれはないだろう、非常識な考えが答えを導き出すことになりました。

税務総合戦略室便り 第41号(2012年09月01日発行分)に掲載

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