税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第42号 >  元国税調査官が語る国際税務解説 第十三回 企業が海外に進出する際の税務上のポイント

元国税調査官が語る国際税務解説 第十三回 
企業が海外に進出する際の税務上のポイント

第42号(2012年10月01日発行分)

その他

1 海外進出の目的

グローバルな取引が増加し、大企業だけでなく中小企業も海外に進出することが当たり前の時代になりました。  企業が海外に進出する理由としてまず挙げられるのは、販路の拡大や安価な材料費・人件費等を求めて、最も効率的な事業形態をとり、企業利益を最大化させるということではないでしょうか。また、現地で事業を行うにあたっては、政治や通貨の安定、インフラの整備、宗教や文化等についても考慮する必要があるでしょう。  では、税務の面に目を向けた場合、海外進出する際にどのような事項について検討する必要があるのでしょうか? いくつか、挙げてみましょう。

2 検討すべき事項

(1)子会社として進出するのか支店として進出するのか?

どちらの形態で進出するかによって関連する税務上の取扱いも変わってくるので、非常に重要です。日本企業が海外に進出する場合、一般的には子会社として進出する方が有利なケースが多いといわれています。

(2)どの国に進出するのか?

税率は国によって異なりますので、グループ全体の税コストを考えた場合、単純に考えれば税率の低い国に越したことはありません。

(3)進出先国に優遇税制はあるのか?

アジア諸国の中には、経済特区の地域などに進出した場合、大幅な税の優遇を受けられる制度が導入されている場合があります。

(4)進出先国はタックスヘイブン税制の対象国なのか?

税率の低い国に子会社を設立する場合、原則、海外子会社の利益が日本の親会社に合算課税されるので、以下の点等に気をつけて海外子会社を設立しなければなりません。

  • ①子会社の株主をどうするのか?
  • ②子会社の業種をどうするか?
  • ③子会社の取引先をどうするのか?
  • ④子会社にどのくらい独立性を持たせることができるのか?

(5)進出先国にはどのような税金があるのか?

法人税や付加価値税(消費税)、関税等について検討するのは当然ですが、国によっては日本には存在しないような税金が課されることもあります。

(6)進出先国と租税条約を締結しているか?

条約締結国の場合、投資所得の減免や相互協議が行われる可能性があるため、有利になるケースが多いでしょう。

(7)進出した海外子会社と取引をする場合、子会社との取引価格をどうするのか?

日本の利益を海外に移転するために恣意的に取引価格を操作すると、移転価格の問題が生ずるため、安易な価格設定は危険です。

(8)海外支店や海外子会社の利益を日本に還流させる場合の方法は?

海外支店の利益を日本本店に還流させることは、同一の事業体内での資金の流れであるため基本的に問題は生じませんが、海外子会社の利益を日本の親会社に還流させる場合は、外国子会社配当益金不算入制度や租税条約による配当源泉の減免規定を利用して、効率よく還流させる必要があります。

(9)進出先国はキャピタルゲインが非課税の国なのか?

タックスヘイブン税制に注意する必要はありますが、海外子会社に有価証券を保有させる方が有利なケースがあります。

(10)進出先国は相続税や贈与税が非課税の国なのか?

企業のオーナーが海外を利用した相続税対策を考えている場合、大きなポイントです。

 

3 まとめ

これらの事項は、検討すべき項目の一部です。なぜこれほどのチェック項目が必要なのかというと、会社によって現在の状況や海外への進出目的等が異なるため、画一的な判断基準では対応できず、オーダーメードの対策が必要になるからです。  もし、何か気になった点がございましたら、弊社主催の税務総合戦略室セミナーにおいてこれらの事項について解説しておりますので、ぜひ御参加ください。

 

税務総合戦略室便り 第42号(2012年10月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP