我々エヌエムシイグループは、2012年12月4日、都内の某ホテルに於いて弊社の販売する財務システム《CASH RADAR》誕生20周年感謝祭を開催いたします。
日頃お世話になっております会計事務所の方々をご招待し、感謝の会を開かせていただき、その際、世界最高級といわれている開催ホテルのディレクターよりご講演をいただく予定です。
「なぜ、世界最高級ホテルで開催し、ディレクターによる講演をいただくのか?」。その理由は国内外で高い評価を得ているそのホテルのサービスを体験し、サービスの真髄に触れていただくためです。
税理士事務所の仕事もサービス業です。私達は今までも様々な他業種に学びサービスの質を高めるための努力をしてきましたが、今回は「最高のホスピタリティにより、サービスを超えて、感動まで与える」といわれる一流ホテルのサービスに学ばせていただくことで、お客様に最高の満足を提供していきたい、という想いを持っています。
税理士事務所の主たる業務には決算書・税務申告書の作成があります。以前は帳簿作成のための記帳代行業務がメインという時代もあったようですが、現在は会計ソフトが進化し、簿記会計の知識のない経理初心者の方でも簡単に仕訳入力から試算表の作成までこなせるようになってきました。
また、クラウドコンピューティングに対応した会計ソフトであれば事務所にいながらにしてお客様の入力した内容をチェックすることが可能ですので、従来のように企業に巡回訪問し、現場で監査業務を行う必然性も薄れてきています。
こういった会計ソフトの進化に伴い、税理士事務所はどう変化していくべきか? 私達は本来の税理士業務の「ど真ん中」の部分である法令解釈・税務判断の部分に注力すべきだと考えています。お客様は税理士に高度な専門的知識と経験を期待し、業務を依頼してくださるわけですから、そのご期待に応えていかなければなりません。
私共、税務総合戦略室では現在14講座の税務対策セミナーを開催しています。
など、多様化するお客様のご要望に合わせた内容を考えているうちに、どんどん講座数が増えていきました。さらに、セミナー終了後にご記載いただいているアンケートには、私達も驚くような細分化した深い専門的分野についてご質問・ご要望があり、お客様のニーズが多様化・専門化していることを強く実感しています。
経済取引の複雑化・国際化に伴い、税務問題も多様化し、より専門的で高度な判断が求められるようになっています。多様化するお客様のニーズにお応えし、税理士本来の業務である税務判断を的確に行っていくためには、個々人が研鑽を重ね努力していくしかないのですが、現実問題として現在の広範囲な税務問題を一人の税理士で解決するのは困難な状況にあります。
それを表すように税理士業界も「組織再編税制対応」「公益法人対応」「国際税務専門」「資産税専門」「税務調査対応」など、専門性を売りにした事務所が増えてきています。しかしながら、お客様の立場に立って考えれば、発生した問題に応じて、その都度違う税理士に相談するというのも現実的ではありませんし、できれば普段から顧問を依頼しており、信頼を寄せている税理士に相談し、ワンストップで解決したいと思うのが当然でしょう。
医療の分野を考えてみましょう。かかりつけの主治医(内科医)が、患者に自分の手に負えない病気の疑いを持ったときにどうするでしょうか? 間違いなく総合病院などの専門医に紹介状を書き、専門的な立場からの診察を勧めます。患者の命、健康を考えれば当然の処置だからです。
また、弁護士さんが顧問契約をしているクライアントに自分の得意分野以外の事件が発生した場合、どうするでしょうか? やはり、発生してしまった事件に強い別の弁護士を紹介すると思います。問題をより良く解決するためには、その問題に強い専門家が対応するのがベストだからです。
私達、税理士業界も本当にお客様のことを考えるのであれば同じような行動を取るべきではないでしょうか。自分自身で解決できない問題が発生したのならば、その問題を「解決できる人」にまかせるしかありません。
複雑な税務問題に関しては、この問題は自分の事務所の専門外であるということを説明し、内容に合致した専門家によるコンサルティングを勧めるのが本当のお客様第一主義だと思います。
ホテル業のサービスを語るときに「ホスピタリティ」という言葉がよく使われます。「ホスピタリティ」は思いやりとか、心からのおもてなしと訳されますが、その語源はラテン語のHospics(客人等の保護)だそうです。大切なお客様を保護する、お守りするという考え方がホスピタリティの根底に流れていると私は解釈しています。
私達国税OBが税理士として仕事を始めて最初に感じるのは「仕事をして感謝されることの喜び」です。
一流ホテルのように、単なるサービスを超えてお客様が感動してくださるまでにはどうしたらよいのか? そのためには、お客様が言葉にされない要望を先読みして満たすこと、お客様ご自身が気づいていない問題も気を配ってフォローしていく必要があります。
お客様をお守りするため、真剣に心から考えているという「気持ち」「パッション」が伝わったとき、そこに感動が生まれるのだと思います。
広範囲な税務問題からお客様をお守りするにはどうしたらよいのでしょうか? 社会・経済情勢の変化に応じて税制も改正が行われますが、法律に記載のある部分であれば税務のプロとして対応することは可能です。しかし、全ての経済取引を法律に記載することは不可能ですから、どうしても税務問題には事実認定・解釈に迷う部分、いわゆる「グレーゾーン」が発生します。
確たる正解のない部分について、自分ひとりの考えで答を出すのは不安なものです。数年前から国税局の税務相談室や税務署では税理士からの一般的質疑事項には対応しなくなり、税理士はプロとして自己解決を求められるようになりました。
自分の出した結論が課税当局に認められるものなのかどうか……。税務調査でお墨付きをもらうまでは常に不安が残ります。さらに万が一、誤った判断を行っていた場合、損害賠償責任のリスクも発生します。
国税当局は5万6千人の巨大な組織です。組織の内部には法解釈を行う審理の専門部署や、訴訟対応の専門部署も存在します。事実認定・解釈を行ってきた事例も膨大に蓄積されています。それに比べて、このような後ろ盾のない税理士が多様化・複雑化する広範囲な税務問題にどうやって対応していけばよいのでしょうか。
私達は、医師や弁護士の例と同じように、税理士も同業同士力を合わせ、協力してお客様をお守りしていくことが必要な時代になってきたと考えています。
税務総合戦略室は、顧問先の税理士先生(主治医)と力を合わせ、発生した問題の専門家(専門医)として、国税当局のOBとしての経験を活かしながら問題を共に解決し、お客様に最高の安心を感じていただくことを使命として活動してまいります。
税務総合戦略室便り 第43号(2012年12月01日発行分)に掲載
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