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国外財産゛5000万円超゛を考える

第44号(2013年01月01日発行分)

執筆者3

平成24年の税制改正によって「国外財産調書の提出制度」が創設され、平成25年以降、その年の12月31日において5000万円を超える 〝国外財産〟を有する場合には、「国外財産調書」を翌年の3月15日までに提出しなければならなくなりました。  この調書の作成に当たっては、①国外財産とは何なのか、②その評価をどのようにしておこなうのかが問題となります。

国外財産とは何なのか

国外財産とは国外にある財産をいうのですが、新たに創設された規定では財産の所在地について、相続税法10条1項及び2項の定めるところによるとされています。しかしながら、この相続税法固有の「財産の所在地」という規定により判別される国外財産は、必ずしも世の中で一般的に考えられている海外財産と一致するわけではない点に注意が必要です。  相続税法10条では、財産の種類毎にその所在地を定めています。例えば、1項八号では社債もしくは株式、法人に対する出資または政令で定める有価証券については発行者の所在地とされ、同法2項では外国の発行する公債は外国にあるものとされています。このため、外国の企業や政府が発行するいわゆるサムライ債は日本国内で流通しているにもかかわらず国外財産となるし、外国株式を国内の金融機関等を通じて購入したとしても国外財産となるなど、財産の所在地=国外財産であるのかということについては特段の注意が必要です。

国外財産をどう評価するのか

規定では財産の評価について、原則として「時価」または時価に準ずるものとして「見積価額」により評価するとされていますが、具体的な評価方法については現行の相続税の評価等を踏まえながら、今後の通達等によって示す予定とされています。  国外財産の評価は難しい問題です。評価を行うための新たな負担も想定されます。国外財産調書の目的は相続税の適正・公平な課税だといわれています。では、相続税法上、国外財産の評価はどのように規定されているのかというと、国外財産の評価方法は基本的には日本の財産の評価方法と同じとされています。  しかしながら、日本と同じ評価方法を採ることができない財産については別の評価方法を採らざるをえません。海外の不動産や外国の証券取引所に上場されてない株式などの評価に際しては、日本の財産評価方法と同じ方法を採用することができないケースがほとんどです。売買実例があればそれを参照することができますが、ない場合は取得価額等を基に算出するなど、様々な手法により評価を行なわざるをえません。

法令等における評価の取り扱い

相続税法22条では、財産の評価は時価により行うとあります。時価とは何かについて法令の規定はありませんが、申告に当たっては国税庁が定めた財産評価基本通達に基づいて行なうこととされています。  そして、国税庁は国外にある財産の価額について、概ね次のように規定しています。 【財産評価基本通達5-2】 原則として、国外にある財産についても、国内にある財産と同様に財産評価基本通達に定める方法によるべきであるが、それにより評価し難い財産については、①評価通達に定める評価方法に準じて、②売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価すること とされ、さらに、評価通達によって評価できない場合、課税上弊害がない限り、その財産の取得価額または譲渡価額を基に時点修正して求めた価額で評価するとされています。  しかしながら、上記の通達等に従って、実際に国外財産を適切に評価しようとすると、立ちはだかる壁は大きいのが現実です。

まとめ

1年後には、国外財産調書の作成、提出の準備をおこなう必要があります。それまでには、財産評価の通達等も公表され、「見積価額」等の具体的な算定方法も明らかにされているでしょう。が、納税者にとって馴染みが薄い上に難しい財産の所在地の判断や財産の評価作業を考えると、調書の作成にあたっては、国外財産の相続に詳しい専門家のアドバイスを得るのがベターと言えそうです。

税務総合戦略室便り 第44号(2013年01月01日発行分)に掲載

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