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税務総合戦略室 室長通信 第十二回 
2013年度税制改正大綱から考える

第45号(2013年03月01日発行分)

執筆者1

1月24日、自民、公明両党は2013年度税制改正大綱を決定いたしました。政権交代後に安部政権が掲げたデフレ脱却と景気浮揚を税制面から後押しするという見方から、今回の税制改正は例年にも増して注目度が高いように感じます。改正内容の発表前後には、私共『税務総合戦略室』にもTBSの「みのもんたの朝ズバッ!」やテレビ東京の「NEWSアンサー」等のテレビの報道番組や、「週刊東洋経済」といった経済誌などから多くの取材依頼をいただきました。

あいまいな分野の存在

今回受けたテレビ取材のメインテーマはいずれも「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」に関するものでした。この改正は、祖父母から孫に教育資金を贈与した場合、一人当たり1500万円まで贈与税を非課税とする制度です。高齢者に偏る個人金融資産を現役世代に早期に移転させ、その有効活用を通じて「成長と富の創出の好循環」につなげようとする狙いがあるようです。
 取材中、テレビ局のディレクターが一番聞きたかったのは「そもそも教育資金とは何か?」ということでした。実は従前も扶養義務者から教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものは贈与税がかからないことになっていたのですが、国税庁のタックスアンサーにおける教育費の概念は「学費や教材費、文具費など」とされていました。学費と言っても、塾の費用は認められるのか? 習い事はダメだろう?予備校ならどうだろうか? 医学部の入学金のように数千万円でも認めてもらえるのか? 海外留学する場合の渡航費用や現地生活費も教育費と認定されるのだろうか? 等々、専門家の間でも意見は分かれるようです。
 「朝ズバッ!」の番組内で、司会者のみのもんたさんは「塾などだけではなく、海外を旅して見聞を広め、国際的な知識を得ることも、まさに教育ではないか。その費用も教育費でよいのでは」という意見を話していましたが、私も個人的にはその意見に賛同したいところです。今回の非課税措置における教育資金の範囲については文部科学大臣が定めることとされたようですので、今後、詳細な取り扱いが明らかになってくるものと思われますが、この例をひとつとっても、税務の世界には判断に迷うあいまいな分野が存在することがおわかりいただけると思います。

あいまいな分野への対応

物事には白黒つかない中間領域・あいまい領域が存在し、そのどちらとも付かない状態を「グレーゾーン」と呼んだりします。
 税法においても全ての経済取引や社会行動を網羅的に法律がカバーすることは難しいため、どうしてもグレーゾーンが発生し、後に税務調査で「見解の相違」を巡って争いが生じてしまうことも多々あります。
 見解の相違による否認リスクを抱えたまま税務調査当日を迎えるのは非常に不安なものです。どうしたら不安を取り除き、安心して税務調査に臨むことができるでしょうか?
 私達は、現在の複雑化・多様化した税務問題に対して、一人の税理士が単独で的確な判断を行うことは困難な状況にあると考えています。『税務総合戦略室』では、複数の専門家を揃えました。医療の世界では専門分野によって専門医が分かれているように、実は税法にも専門分野・得意分野が存在します。我々税務総合戦略室では国税庁・国税局などで法人税・所得税・資産税・国際税務など様々な専門部署を経験してきた複数のOBが、『課税当局側の立場』や『国税調査官の視点』で判断に迷うあいまいな分野の事実認定を行います。
 確かな正解のない分野に最適な回答を導き出すために、複数のメンバーが過去の経験による十分な議論を交わし、チーム全体でお客様をお守りする体制を採っております。

富裕層増税について

一方、週刊誌の取材内容は「富裕層増税」に関するものでした。税制改正大綱の基本的考え方には「わが国経済に格差拡大の傾向が見られる中で、所得再分配機能が低下している」「特に高い所得階層に絞って一定の負担増を求める」「富の再分配機能が低下している」などの表現が盛り込まれ、新聞各紙には「富裕層増税」の文字が躍りました。
 増税の内容は

    >
  • 所得税:課税所得4000万円超の部分について税率が40%から45%へ
  • 相続税:相続財産6億超の部分に55%の最高税率、さらに基礎控除を現行より約4割縮小

 などが決定しています。

富裕層の不安

増税議論に加え、課税当局による課税強化の流れが富裕層の不安を増大させています。国税庁のプレスリリースでは「富裕層に対する調査状況」「金地金にかかる譲渡所得調査等の状況」「相続税の海外資産関連事案に係る調査事績」などが相次いで発表され、富裕層の資産把握の強化が感じられます。
 また、最近特に多くの質問が寄せられているのが『国外財産調書制度』に関するものです。国税当局では従来から「国外送金等調書」や「租税条約に基づく外国税務当局との情報交換」などを活用し、資産家の海外財産の把握に努めてきましたが、その全貌をつかむことは極めて困難だという認識も持っていました。そのため、国外に5000万円超の財産を所有する日本の居住者に対して、その財産の種類、数量、価格などを記載した調書の提出を義務付けました。本年末の財産状況について、来年の3月中旬までに税務署に報告しなければならないことになっています。

富裕層の対抗策

このような増税、課税強化に加え、巨大地震・財政破綻といった「ジャパンリスク」を回避するため、富裕層の国外脱出の流れが加速しているということについて、弊社への取材があったのです。
 実際に、非居住者になることで節税を考えたいといったご相談は非常に増えています。弊社の開催している「海外投資対策」や「非居住者対策」などのセミナーにも多くの方のご参加をいただいていますが、参加者の方の話を聞いて驚くことは、資産防衛のためすでに日本を脱出し、非居住者となるべく行動を開始している方も急増していることです。成功されている方は人より危機管理能力が高く、行動力もずば抜けているからこそ成功し、富裕層となっているわけですが、その決断の早さにはいつもながら感心してしまいます。

特別な分野こそ専門家に

ご相談をいただいている中で、非居住者となるための条件について、いわゆる「183日ルール」をクリアしていれば大丈夫と考えている方が大勢いらっしゃいます。つまり年間365日のうち半分以上外国で暮らしていれば日本の非居住者になれるだろうという発想です。
 諸外国には確かに「183日ルール」で非居住者判定を行っている国もあるのですが、残念ながら、わが国の税法は違います。その者の「生活の本拠」が海外にあるかどうかで判定され、過去の判例等を参考にすれば「生活の本拠」は、

  • 住居の状況
  • 滞在日数の状況
  • 職業の状況
  • 資産の状況
  • 家族の状況等

 を、客観的に【総合勘案して決定する】という考え方が有力になっています。この【総合勘案して決定する】というプロセスが故に居住者判定を巡っては「グレーゾーン」が生じ、数々の税務当局との争いが起こっているのです。
 せっかく税金メリットを享受するため非居住者となるべく海外生活を始めても、後々の税務調査でトラブルになっては何もなりません。判断に迷う微妙な問題にこそ専門家のアドバイスを受け慎重に検討する必要があります。
 税務総合戦略室では、このような国際税務に関する問題は、実際に国税局の国際課税に関する部署で仕事をしてきたメンバーが対応します。
 今までの税理士を替える必要はありません。特別な分野に対するセカンドオピニオンとしてぜひご活用いただけたら幸いです。

税務総合戦略室便り 第45号(2013年03月01日発行分)に掲載

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