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税務見聞録~多税に無税~第1回 
神仏に仕える身より、やはりお上に仕える身は強かった

category: 税務調査
第46号(2013年04月01日発行分)

執筆者4

「ハンドパワー」といえばMr.マリックですが、今年1月に新聞紙面を賑わせた「ハンドパワー」は、宗教法人を隠れ蓑に、手かざし気功療法セミナーの受講料を宗教法人への寄付金収入であるとして脱税していたものです。宗教法人の宗教活動にかかる収入は非課税であることを利用することを目的に、静岡県富士宮市にある宗教法人を買収して、宗教活動の寄付収入であるように見せかけていたようです。

しかし、富士山は霊山として日本一のパワースポットであるためか、稼動中か休眠状態か、まっとうなものかそうでないかは別として、宗教法人が多い気がします。かつて、オウム真理教や法の華三法行といった宗教法人も富士山の麓に拠点を構えていました。

宗教法人は、基本的には宗教活動にかかる収入、例えば仏教系であれば、お布施、戒名料、施餓鬼料などについては課税されません。住職はというと、宗教法人(仏様?)から給料をいただくこととなりますので、源泉所得税がかかることになり、給与所得者となります。ただし宗教法人でも、例えば広大な土地を利用し、駐車場として貸すことにより賃料を得た場合は収益事業として法人税の申告が必要になるように、特定の事業については法人税申告を要します。ただ、税率は普通法人の法人税率より低く設定されています。これは事ある毎に問題視されていますね。

宗教法人と脱税といえば、1987年(昭和62年)に公開された映画、「マルサの女2」を思い出す方も多いのではないでしょうか。この映画の内容は、不動産売買、地上げ、裏社会、政治家、宗教法人といったところを絡めたスジ書きでした。映画評論家ではありませんので映画自体の良し悪しについてはさておき、やや誇張気味ではあるものの、実際にないとはいえない話だと思いました。宗教法人の優遇処置を悪いことのために利用する人がいるということです。坊主丸儲けとはよく言ったものだと思います。

冒頭の記事を筆頭に、最近では神社の宮司が相続税を脱税したとして査察に告発された事件がありました。他にも、過去には宗教法人がラブホテルを経営していて、明らかに収益事業というか営利事業の何物でもないと思いますが、その収入をお布施としていたというようなこともありました。また、「霊験あらたかな水」を謳い、水のボトルに値段をつけて販売していれば普通に収益事業と思われるでしょう。世間の常識は、本人たちにしてみれば非常識というところでしょうか。神のお告げが脱税だったのかもしれません。しかし、国税をバカにしちゃいけませんね。

そもそも、宗教法人も帳簿をつけて収支明細書を作成することになっていますが、お布施収入を一部計上せずに住職や家族名義で預金蓄財したり、費消したり、個人的な費用を付け込むなどの例が多いと思います。ある意味では現金商売で、しかも領収書がないわけですから、「正しく計上するもしないもあなた次第」なようなものです。

宗教法人の場合、調査の主税目は源泉所得税となりますので、税務署の源泉担当の調査官が調査に行くことが多いです。ポイントはお布施や祈祷料、寄付金などを帳簿に計上せずに個人的に使っていたり、預金したりしていないかということです。収入を計上せず個人的に使っていることがわかれば簿外給与となり、源泉課税漏れによる税金が追徴され、さらに収入除外によることから重加算税が課せられるということになります。なにも証拠書類が残らないのに、どこから調べるのでしょうか。お寺なら檀蜜、あっ、間違えた檀家です。過去帳たるものがあり、法要などがわかります。さらには金融機関等を調べたり、生活状況から推測していくことができます。

「わたしは仏に仕える身である。そんな不正を働くわけがない。人を疑うにもほどがある、いずれ天罰がくだるぞ」とおっしゃる方ほど、自身に天罰が下ったりしてますね。

神に仕える、仏に仕える身ならまだしも、時々、本人が神仏になってしまう場合がありますが、そういった人に遭遇すると厄介極まりないことになります。神に仕えようが仏に仕えようが、欲には勝てないということですかな。  すべては心の問題ということではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第46号(2013年04月01日発行分)に掲載

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