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税よもやま話 第六回 
映画「マルサの女」

第47号(2013年06月01日発行分)
元国税調査官・税理士
松井 孝榮

「マルサの女」。監督と脚本は伊丹十三。マルサ(国税局査察部)に勤務する女性査察官と、脱税者との戦いをコミカルかつシニカルに描いたドラマで、バックに流れる軽快な音楽も印象的でした。  私も25年前に職場の同僚と見に行きましたが、査察部経験者のその同僚が映画を見ながらいささか興奮気味だったのを今でも覚えています。  この映画は1988年(第十一回)日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞(山崎努)・最優秀主演女優賞(宮本信子)・最優秀助演男優賞(津川雅彦)と、この年の同賞をほぼ総なめにした名作でもあります。

モデルとなった二人の女性

映画の女性査察官「板倉良子」のモデルとされた女性職員は二人いたと言われていますが、その二人(KさんとSさん)とは職場を通じて面識がありました。  Kさんは庁幹部の秘書を経験しており、部内でも一目おかれる存在ですが、近寄りがたいイメージがありました。  一方、Sさんは子持ちでありながら、居酒屋で生ビールを飲みつつタバコを吹かし、若手職員の話し相手になるような気さくな人でした。  二人に共通することは美人であることぐらいでしょうか。Sさんは主演女優の宮本信子に演技指導をしており、いまでも交流があるとのことでした。いずれも最後は税務署長になって退官していきました。

マルサの現状

映画の影響で、査察部は国税内部でも一躍脚光を浴び、一時期希望者が殺到しました。しかし、最近は国税3Kの職場として敬遠され、若手職員の希望者が減少しているようです。  査察事件の担当者になると、早朝から深夜まで仕事が続き、土日も返上して作業することとなります。連日調査事案の時効との戦いが続きます。  また、査察部においては査察経験年数が重視され、査察に配属された一年目は経験ゼロ年として取り扱われます。若い人はともかく、年配者にとってはつらく感じられ、途中で挫折する職員も多くいると聞きます。

査察部の組織とその調査

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。  各国税局には査察管理課、査察総括課、資料情報課が置かれており、東京国税局査察部にはこのほかに、査察及び反則取締り結果の審理を行う査察審理課、機械化会計に係る査察及び反則の取締りの指導を行う査察開発課、ならびに海外取引に係る査察及び反則の取締りの指導を行う査察国際課などが置かれています。  査察の調査は、犯則事件の証拠を収集する「内偵(情報担当)」と、内偵に基づき反則嫌疑者の居宅等の調査を行う「実施(実施担当)」とに分かれます。また、査察部が担当する事案についても、査察部が実施する内偵調査に基づき実施に至る(着手と言う)ものと、税務署や資料調査課が調査していた事案で、一定の基準(不正所得一億円以上)に達したため査察部に引き継がれるものとがあります。  そして、内国税(国内の人や物などに課される税金)の大口脱税者の査察、嫌疑者の告発・脱税の疑いが認められる納税者に対しては、国税反則取締法に基づき、裁判所から許可状を得て強制調査を行います(23年度は一事件当たり、着手日にのべ154名を動員し、43箇所を調査している)。強制調査を行って差し押さえた証拠や質問調査によって脱税の事実を固め、検察に告発するまでが査察の仕事です。

女性職員の登用が活発化

私が初めて税務署に配属された頃は、300名の職員の中に適齢期の独身女性がただ一人という男中心の職場でした。最近は女性国家公務員の採用も増え、人事院から出された「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」に基づき、40数名のマルサの女が配置されています。

税務総合戦略室便り 第47号(2013年06月01日発行分)に掲載

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