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自社株対策とは何か(III)

category: 自社株
第48号(2013年07月01日発行分)

執筆者11

4 自社株式の生前贈与対策(その二)

(4)自社株式の相続税評価額を引き下げて贈与する

①相続時精算課税制度とは
この制度は贈与税の特例制度として創設されました。受贈者の選択により、暦年贈与課税制度と当制度のいずれかを選択できます。この制度は、生前贈与財産(株式も当然含まれます)について2500万円の特別控除まで非課税とし、超える部分については20%の定率で贈与税を課税して、相続開始後、その贈与者の相続時には、当制度を利用した贈与財産(株式)を相続財産に加えて相続税を計算し、課税するというものです。ただし、贈与時に支払った贈与税は相続税から差し引かれるため、当制度は相続税の前払いと言えます。
②相続時精算課税制度の概要(抜粋)
イ.贈与年の1月1日において満65歳以上の贈与者から、同日において満20歳以上の子である推定相続人である者(代襲相続人を含む)への贈与とされます。
 ※平成27年1月1日以降に贈与された財産の改正
 ・受贈者の範囲に20歳以上である「孫」が追加されます。
 ・贈与者の年齢要件が満60歳に引き下げられます。
 ・贈与者は祖父母から孫も可能になります。
ロ.この制度を一度選択すると撤回できません。したがって、翌年100万円の贈与を行なった場合、20%の税率による20万円の課税となります。
ハ.相続時に加算して精算される価額は、贈与時の価額とされます。
③本事例のケースの贈与税
④本制度のメリット
イ.先行贈与した贈与財産価格が相続時に上昇していても、贈与時の価格で相続税が精算されるため、上昇分が課税されないことになります。特に、一時的に低くなった自社株は翌期になると再び上昇しますので、この制度を活用して生前贈与することは得策となります。
ロ.贈与株式が高配当になると、その収益は後継者に帰属されるため、その資金によって資産運用や納税資金の準備としての生命保険への加入を行うことが容易になります。
⑤本制度のデメリット
イ.暦年贈与の基礎控除非課税枠110万円が利用できなくなり、すべて相続財産に加算されます。したがって、贈与のつど課税を完了し、相続税と関係なく行いたい、毎年少しずつ贈与したいという場合には不利益になることもありますから、選択は慎重にしなければなりません。

(5)贈与税の納税資金について

相続時精算課税制度を活用して納税する場合でも(本事例では約2000万円)、相続時の残額(約1億2000万円[改正後の相続税率])においても相当に高額になります。

①贈与時の贈与税の納税資金
贈与を受けた後継者は、納税資金が不足する場合、オーナーまたは会社からいったん借入して納税します。その後、贈与を受けた株式の一部を、株式発行する本体会社へ売却する(自己株式)か、持株会社(新設も可)に売却して借入金を返済します(贈与された直後に売却しますと、あらかじめその予定であったとみなされ、贈与がなかったとされるケースもあります)。
 自己株式の譲渡は、取得価格を超える部分については「みなし配当」となり、総合課税となります。配当控除を差し引いても、課税率は最高で43・6%になります。なお、改正所得税率ではさらに高くなります。
 したがって、持株会社等の別会社への売却では、譲渡益に対して20%の課税ですから有利になります。ただし、持株会社が借入して取得する場合は、その借入金の弁済計画も必要ですから留意して下さい。
②相続後に自社株を本体会社(自己株式=金庫株)に売却しても、別会社への譲渡と同様に、譲渡益に対し20%の課税となります。
③本体会社・別会社への株式の譲渡価額は「時価」になります。
 非上場株式の時価は、「時価純資産価格」(含み益に対する42%控除はなしで、かつ各資産は時価に換算します)が原則です。よって、相当に高額になりますから、贈与を受けた株式の一部を譲渡するだけで、十分な納税資金が確保できます。

 

税務総合戦略室便り 第48号(2013年07月01日発行分)に掲載

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