税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第48号 >  太陽光発電事業投資による節税策

太陽光発電事業投資による節税策

category: 節税その他
第48号(2013年07月01日発行分)

執筆者3

節税スキーム

太陽光発電事業は、国の保障する電力の買取り価格が高いことから、投資先として注目を浴びているところである。この発電事業に関連し、注目を浴びている「グリーン投資減税」とはどのような制度かというと、①青色申告、②買取り制度の認定や10キロワット以上の発電能力といった条件をクリアすれば、即時償却(初年度100%償却)等が可能となるというモノだ。
 この点に着目した節税スキームがある。仮に、会社のオーナーが退職するにあたって2・5億円の役員退職金を受取った場合、このままでは退職金には税金がかかり、支給時に源泉徴収される。そこで、この退職金を活用して太陽光発電への投資(990キロワット×@27・5万円=2億7225万円)を行い、発電事業を退職した年中に開始(電力供給)したとしよう。すると、即時償却が可能であるため2億7225万円の減価償却費を計上することができる。その結果、この年の発電事業には大きな損失が生じる。
 ここからが、本題。この発電事業の損失は、その規模が事業的規模であれば、所得税の計算に当たって「事業所得」として取り扱われることになる。「雑所得」と認定されるような規模では駄目なのだ。事業所得の損失は、第1次通算では他の事業所得や不動産所得、給与所得……そして、第3次通算では退職所得とも損益通算することも可能。
 もうお分かりかと思う。一生に一度の退職所得に係る源泉所得税を全額還付してもらうこともできるのだ。このスキームは退職金の年金化ともいえる。そして、青色申告事業に係る損失=純損失なので、3年間繰り越すことも可能だ。この節税スキームの使い方は様々に考えられる。

 

要チェック項目

1 即時償却の対象資産

即時償却の対象となる太陽光発電システムは共有(夫婦など)名義でもOKということだ(←【理由】法律に規定はないため……)。

2 事業的規模の判断

公表はされていないが、50キロワット以上の規模を事業的規模としていると想定される。50キロワット以上の発電能力だと、電気事業法上の電気工作物(発電所)となり、「自家用電気工作物」となる。そして、「自家用電気工作物」の設置者には一定の義務が生じる。例えば、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務(1000キロワット未満の場合、外部に委託することも可)等。

温故知新

昔、中古コンテナリース投資を使った節税(課税の繰延べ)スキームに出くわしたことがある。「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という制度を使った節税スキームだ。今では、300万円という利用限度額が設けられているが、この制度が導入された当初は限度額がなかった。節税スキームに使われたことから、限度枠が設けられたという経緯もある。
 どのような場合に使われていたのかというと、長期保有資産の譲渡等に伴って一時的に所得金額が膨らみ、このままでは譲渡代金が納税資金となって過半が消えてしまうという場合に、企業が飛びついた。
 なぜ〝中古コンテナ〟なのかだが、新品では取得価額は30万円超となるが、中古だと30万円を割る価額で取得できたことから考え出された。
 私が目にしたのは、海外の信託を使ったスキームで、譲渡代金を外国信託銀行の中古コンテナリース事業投資の受益権に変換することにより、自らが中古コンテナを取得し、リース事業に投資したものとして課税を受けられるという、わが国の信託税制をも利用したスキームだった。
 これは効果的で、何億もの譲渡益がすべて100%償却と相殺され消えた。しかしながら、300万円という利用枠が新たに設定(税制改正)されたことにより、このスキームは葬り去られた。

太陽光発電事業などグリーン投資減税を活用したスキームは、今は青天井で即時償却の利用枠などの限度額は設定されてはいないが、こうした節税スキームの影響を課税当局がどのように見るのかによっては、規制(対応策)が設けられる恐れも十分にある。今後の課税当局の動向にも注意したい。

税務総合戦略室便り 第48号(2013年07月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP