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自社株対策とは何か(後編IV)

category: 自社株
第49号(2013年08月01日発行分)

執筆者11

5 持株会の活用と自社株対策(その一)

社員持株会は、社員による自社株式の取得・保有の常設機関として制度的に組織化されたものです。そして、その持株会を通じて株式を所有することにより、株主となります。

(1)社員持株会の目的とメリット

①社員の財産形成の助けとなる
 会社からの利益配当の支払による収入が、預貯金等による収入よりも大きいという効果があります。通常の会社では10%以上の配当を行なっていることが多いです。また、持株会の保有する株式を優先株式にすることによって、常に安定した収入を得ることができます。

②株式の社外流出の防止  社員個人が個別に株式を保有しておりますと、その社員の相続や贈与によって、株式が会社と全く関係のない株主に所有されてしまうことがありますが、それを防止することができます。株式の相続は株式の譲渡制限規定によっても阻止できないのです。
 また、社員の死亡や退職に伴う持ち株の買取請求により、高額な請求が発生する事態への対処方法として有効になります。これは、「社員持株会規約」において「株式の買取先」を持株会とし、また「株式の売買価額」を配当還元価額と決めておくことによって可能となります。社員持株会は民法上の組合として設立しますから、組合員である社員は民法による法的な契約にしたがうこととなるからです。

③オーナーの相続税対策  オーナーの所有する株式を社員持株会に放出することによって、株式財産たる相続財産が大幅に減少します。また、増資による放出であっても、株式の評価額が下がることによって相続財産が減少し、相続税が減少することになります。

(2)社員持株会の設立

①設立の準備

  • イ.設立の準備から会員の募集までの事務処理を行う事務局を総務部などに設置します。
  • ロ.発起人の選任をします。発起人は持株会社設立後の役員(理事長、理事、監事)になります。理事長はもっとも信頼できる人が望まれます。
  • ハ.発起人は持株会の基本的事項と持株会の規約案を作成します。加入資格(子会社の社員も含めるかどうか)や、名称などの持株会規約の内容の検討です。
  • ニ.大株主との事前折衝を行います。
  • ホ.取締役会の承認決議を受けます。
  • ヘ.設立後の事務処理の担当者を決定しておきます。
  • チ.各種締結書類を作成します。
    ・奨励金の付与の会社との締結書類
    ・給料からの天引きなどの労働組合との協定書

②設立の手順

  • イ.設立発起人会を開催して、「社員持株会設立発起人会議事録」を作成し、持株会規約の承認、役員の選任を記録します。
  • ロ.第一回理事会を開催し、理事長の選任と株式の購入価額を決定します。また、「理事会議事録」を作成します。
  • ハ.準備段階で作成された各種締結書類について調印します。
  • ニ.持株会の預金口座を銀行に開設します。通常、口座は普通預金口座になります。
    また、持株会の理事長の印鑑および住所印も作成します。
     なお、持株会の届出についてはどこへも必要ありませんから、全て事務局で保管しておきます。

③募集の手続き

  • イ.持株会の設立手続きが終了したら、会員の募集を行います。
  • ロ.持株会への入会申込書を作成します。理事長宛に住所、氏名、申込持株数、申込金額を記載すると共に、持株会の規約案を承認の上、入会を申し込むことを記載しておきます。
  • ハ.申し込みを希望する社員がすでに会社の株式を保有している場合、通常は社員持株会規約の附則に「会員がすでに所有する株式は本会の共有株式に組み入れるものとする」と記載されていますので、「株式持込申込書」を作成してもらい、持込株式数を記載して提出してもらいます。
  • ニ.入会申込者は、「入会申込書」を提出するのと共に、申込金額を持株会の普通預金口座に入金してもらいます。
  • ホ.申込期限を設定します。全員の入金が完了したら、その後、社員持株会名簿を作成し、各個人の株式持分を明確にして、事務局に保管します。       

(次号へ続く)

税務総合戦略室便り 第49号(2013年08月01日発行分)に掲載

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