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税務見聞録~多税に無税~第4回 
「取る」から「獲る」の時代へ

category: 税務調査
第49号(2013年08月01日発行分)

執筆者4

国の財政赤字は、本年3月末には991兆6011億円となり、1000兆円を超えるのは時間の問題です。大変なことです。歳入不足か歳出過大かということで、民主党時代は事業仕分けなることをして歳出を抑えようとしましたが、結局は増税時代の幕開けということになってしまいました。
 国だけでなく、地方自治体もまたしかりです。国、地方自治体の財源は税金であることはご存知のことと思います。国であれば所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税、酒税等。税に関する法律は国会の可決により制定されます。
 地方自治体は地方税と国からの地方交付税となるのですが、自治体が独自で課税のできる状況となっています。そのため、地方自治体において、住民税、法人住民税など以外の法定外目的税を創設し、地方自治体の財源の確保をおこなっています。たとえば、遊魚税(富士河口湖町)産業廃棄物税(三重県)、宿泊税(東京都)など自治体独自の税金があります。
 そのなかで、神奈川県が臨時特例企業税を2001年に導入し、執行してきましたが、県内の某自動車メーカーが神奈川県を相手取り、法律は違法・無効である旨の訴訟を行い、最高裁で今年3月に臨時特例企業税は違法・無効という最終判決がでました。

そもそも、法定外普通税・目的税としての独自課税の多くは財源不足を補うことから発想されているものだと思います。しかし今回の判決の結果は、「地方自治の財政が赤字だから増税」ではなく、課税はあくまでも法律に基く「租税法律主義」でなくてはならないことを明確にしたようなものです。
 神奈川県の臨時特例企業税は、企業は利益が出ても過去に赤字があればその赤字と相殺することが可能で、事業税がかからない年度が存在します。これは法人税の繰越欠損金控除と同じようなものです。神奈川県は財源不足を補うために、事業税について単年度での利益に課税できる仕組みの条例を制定したもので、県内に事業所を有し、資本金5億以上の対象企業に対し、欠損金控除額相当分について課税したものでした。
 最高裁で条例法律そのものが違法、無効という決定がされたことにより、当然、見込まれる税収がなくなり、さらには、過去に課税した税金の還付金およびその加算金が支出されることになります。その金額は還付加算金も含めて約635億円に上るそうです。
 財源不足を補うための、苦肉の策? としての臨時特例企業税。県議会で議決して、総務大臣の同意を得て施行し、外形標準課税が導入されるまでの間であったものでありますが、総務省も同意しているとなると、法律制定自体の体制に疑問が生じます。自治体のみの責任で済まされないのではないでしょうか。
 自治体の財政悪化により存続が危惧される自治体も現れるなか、財源確保のために予算縮小、歳出カットなどを行い、その上で増税となるのでしょう。増税の場合、新しい課税方法か既存の税の税率アップかということになります。ただ、どちらにしても税負担は増えることに変わりはありません。

要するに、どこから取るか、どうやって取るか。やはり、取れるとこから取るということなのではないでしょうか。歳出削減よりも増税のほうが楽ですよねぇ。でも、ない袖は振れないわけですから、無理をすればどこかに歪みが生じるということです。
 この意識、税務調査にも言えることだと思います。調査に行くにしても、取れないところより、やはり、増差所得、追徴税額の発生する企業に行きたいと思うものです。調査に挑む心意気とでも言いましょうか、調べて間違いがありますねでなく、事実をひねり回して間違いだと意識させるという考え方になっていくのではないでしょうか。
 調査の結果、間違いがあれば修正となりますが、税務調査の結果については、よく否認理由を尋ねることが重要です。解らなければ解るまで、解っても念押ししてまでです。そうしなければ、税金を獲られることになってしまいます。これからは「取る」から「獲る」の時代となるのではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第49号(2013年08月01日発行分)に掲載

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