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不動産バブルと膨らむ分離短期譲渡所得 
(アベノミクスの影響)

category: 節税所得税
第50号(2013年10月01日発行分)

執筆者3

バブルは何度もやってくる

青山、赤坂などを代表とする都内の一等地と言われる場所にある足の速い不動産物件の売買では、ミニバブルが生じているようだ。  投資対象として魅力のある、これらの地域にあるマンション一棟の売買取引は、1年前の価格を大幅に上回る価格で行われている。  こんな話を聞くと、リーマンショック前のミニ不動産バブル状態を思い起こさせる。当時、銀座のビルを転がして一晩で2~3億円儲けたなんて話をよく聞いたし、その譲渡益がどうなったのかを国税調査官として追いかけたことを思い出す。リーマンショック前にお会いした、真っ赤なお顔の米国人不動産業者(禿鷹)は、米国の仲間が戻って来いと言っているので日本を離れるかもしれないなどと話していた。バブルがはじけた時が彼らの出番、稼ぎ時であると嘯いていた。そう、米国でのバブル崩壊の匂いを嗅ぎつけていたノダ。

儲け話と税金

都内の高級住宅地に住む〝とある人〟は、つい6か月前に購入した都内の投資用マンション1棟を急きょ売却したところ、約1億円の売却益を得ることができた。投資効率が良かった。ほかの都内の優良物件についても、売ってくれという業者からの売却依頼が今も絶えないという。  この売却益をこのまま放っておいたまま平成25年が経過すると、来年の確定申告で、この土地、建物等の譲渡益にも課税(国税30%と住民税9%)がおよび、多大な税負担が生じる。  そこでこのお方は、今のうちに手を打っておかなければと、節税策をあれこれと考えてみた結果、あることに気がついた。そうだ、損益通算がある!! ……所得税法の損益通算規定では、総所得金額等を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額(※1)の計算上、生じた損失金額があるときは、政令で定める順序により、他の各種所得(所得税法では所得は10種類に分類される)の金額から控除するという制度があるではないか……。 ※1 これらを称してフジサンジョーと いう。これ覚えやすいヨネ。

節税策

ところがどっこい、税制改正によって平成16年1月1日以後、分離譲渡所得となる土地、建物等の譲渡益や譲渡損失については、総合譲渡所得、事業や不動産といった総合所得金額、山林所得及び退職所得との損益通算は相互にできないこととなっていた。  つまり、他の分離長期と分離短期となる土地、建物等譲渡所得との間でのみ「損益の相殺」は可能であるが、他の所得との「損益通算」に関しては蚊帳の外に置かれたということだ。これでは、節税策の取りようがない。そこで、兎に角、土地建物等を譲渡して損失が出せるものはないか、その損失と相殺しようと、所有物件を物色してみた。  地方の物件で一つ、市場価格が下がっていて、譲渡損失を出せそうな物件が見つかり、この物件を今年中に売却できないものか検討することにした。とりあえず一安心。

所得区分と損益通算

一般に、多額の所得(退職所得など10種類に区分された所得)が発生したとき、不動産、事業、山林、総合譲渡(フジサンジョー)の損失と通算することにより、課税所得金額を減らすことができる。だから、グリーン投資減税にある太陽光発電設備の一括償却を使った多額の事業(雑所得ではダメ)損失の計上と損益通算の活用による節税策も可能なのだ。  ところが、この損益通算の活用を考える場合、不動産のほかに株式の譲渡等にかかる損益も、他の所得とは通算することができない。他の所得とは分離され、その所得区分の中においてのみ、損益の相殺が可能となる。このため、節税策は税額控除の活用等に限定されることになる。個人の所得(課税標準)計算の考え方は、法人の「所得の種類は一つ」とは違うということだ。この「所得区分」には注意が必要といえる。

税務総合戦略室便り 第50号(2013年10月01日発行分)に掲載

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