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元国税調査官が語る国際税務解説 第二十一回 
消費税の不正還付

第50号(2013年10月01日発行分)

その他

1 消費税の還付の仕組み

このところ新聞等で、消費税の不正還付について報道されていることがよくあります。不正還付についてはいくつかの方法があるのですが、ここでは、輸出取引に焦点をあてて解説したいと思います。
 なぜ輸出取引を行うと消費税の還付が可能になるのかを理解するためには、まず、消費税の仕組みを理解する必要があります。
 事業者が収める消費税は、商品等を販売したことにより預かった消費税から仕入等により支払った消費税を控除した金額になりますが、ケースによっては、支払った消費税額が預かった消費税額を超過することがあり、そのような場合には、超過分の消費税が事業者に還付されることになります。
 また、消費税には消費地課税主義という考え方があり、商品等が消費された国で課税されることになっています。したがって、海外に輸出された商品は、国内で生産されたものであっても輸出され、海外で消費されるため、消費税が課税されないことになります。これが輸出免税取引です。
 つまり、輸出取引を行っている事業者は、輸出の際に消費税を価格に転嫁する必要がなく、預かった消費税がありませんので、売上に係る消費税より、仕入等にかかる消費税が大きくなるため、消費税の還付が発生します。
 したがって、事業者によっては、この消費税の仕組みを利用して、消費税の還付を不正に受けようとするのです。一般的に、輸出取引に関する不正還付には二つの方法があります。

  • ①国内での課税仕入を過大に計上し、海外に輸出するケース
  • ②国内での課税仕入は適正に行い、その商品を海外に輸出してないにもかかわらず、輸出したとして偽装するケース

2 税務調査

では、このような消費税の不正還付に対して、税務当局はどのような対策をとっているのでしょうか。不正還付の事例が散見されているため、以前よりチェック体制が厳しくなっていることは間違いありません。
 たとえば、初回の還付申告の事業者については、金額にかかわらず書面照会や実地調査を必ず行ったり、輸出免税連年還付法人についても、調査による接触回数を増やし、けん制効果を高めているものと思われます。
 また、不正還付事業者は仕入金額の水増しや、輸出許可書の偽装を行なっていると考えられますので、税務当局も仕入先や税関への反面調査の実施や、税関との情報交換を密にしていることも考えられます。
 輸出免税に関する税務調査で最も重視されるものが、輸出許可書になります。輸出許可書の保存は、免税の適用を受けるための法的要件になっています。したがって、商品が外国に輸出されているケースでも、輸出許可書の保存がない場合や輸出許可書の名義人が他人であった場合、原則として輸出免税の適用は受けることができません。これは、形式要件ではありますが、過去の判例でも許可書の保存が重要なポイントになっていますので、注意が必要です。
 しかし例外規定として、商社等を経由して輸出する場合で、実質輸出者と輸出名義人が異なる場合の特例もありますので、詳細につきましては弊社にご相談いただければと思います。

3 まとめ

消費税は、今後8%、10%と増加する予定になっています。したがって、国内取引の場合、事業者にとって消費税の転嫁を含めた価格の設定を適正に行うことができるのかどうかについては、大きな問題になってくるものと考えられます。
 その点、輸出取引は、事業者にとって消費税が還付されるということだけではなく、消費税の価格転嫁の問題も生じないため、非常に大きなメリットになってくると思います。
 したがって、不正還付は論外ですが、適正な形で輸出取引を増加させることによって、消費税の免税取引を有効に活用することも必要になってくるのではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第50号(2013年10月01日発行分)に掲載

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