税務総合戦略室便り

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成功者になるための法則その4-4 
お金儲け

第52号(2014年01月01日発行分)
エヌエムシイ税理士法人 会長・税理士
野本 明伯

これまで、成功者になるための重要な法則である「お金」について、いろいろな角度から考えてきました。皆さんから大きな反響をいただき、少なからず驚いています。
 今回はその締めくくりとして、ずばり「お金儲け」について、あらためて真正面から考えてみることにしましょう。

「お金儲け」に対する根強い嫌悪感

皆さんは「お金儲け」という言葉にどのようなイメージを抱くでしょうか。
「お金儲けは悪くないよ」
そう言って胸を張る人は多いかもしれません。でも、そう言う人も、もしも飲み会の席で相手が、「じゃあお金儲けの話をしましょう」と言い出したらどうでしょう。何か汚らしい、いやらしい、無粋なイメージを相手に抱くのではないでしょうか。そこに自分も首を突っ込むということに、少し躊躇しないでしょうか。
「金儲けの話なんか聞きたくないよ。もっと楽しい話をしようや……」
 そう思う人のほうが、おそらく多いことでしょう。
 人は理屈とは別に、心のどこかで「お金儲けはいやしい」「お金にガツガツするヤツは浅ましい」というイメージを持っているものです。
 しかしそれは、「お金」に対する大いなる誤解です。そのイメージから抜け出せないかぎり、あなたの人生、あなたの会社は、成功しないのではないかと、私は思うのです。

お金儲けの手段は4つ

お金儲けに悪いイメージを持っていようがいまいが、私たちはお金を稼がなければ生きていけません。学校を卒業した社会人は(家庭に属している主婦を除いて)、すべて「お金儲け」をして生きています。
 その手段は、次の4つに分けられます。

1.就職する
いちばん普通のお金儲けが、会社員になって給料をもらうということです。組織に認められて入社し、その一部に組み込まれ、個々の役割、能力、ポジションをまっとうすることで会社からお金をもらっています。自分を売って、言い方を変えれば自分の時間を売って、お金儲けをしているわけです。
2.技術(職)や労働で儲ける
医者、弁護士、税理士のように、技術(職)を身につけて、それを直接社会に売ってお金儲けをしている人もいます。労働力を提供する個人も、このグループです。時間の制約はありませんが、価値をつくって提供しなければお金になりません。
3.経営者になる
商品、技術、サービス、あるいはビジネスモデルをつくって、それを売って儲ける人もいます。これが経営者です。社員を使い、あるいは外部のスタッフを使って、価値を創造して世の中に提供してお金儲けをしています。
4.お金でお金を儲ける
株やFXに投資して儲ける人たちもたくさんいます。自分が持っているお金を利用して、新たにお金儲けをしているわけです。アパート経営などの不動産業も同じです。こちらは、持っているお金をいったんモノにして、それでお金を儲けています。

お金は道具である

いろいろな儲け方がありますが、どのような儲け方であっても、一生懸命に誠実に仕事をしている人は尊いものです。それを否定する人はいないでしょう。
 そして、人々が汗水たらして働いて儲けたお金から、国は税金を吸い上げ、それをほかの儲けられなかった人々のために使います。
 人々がお金儲けをすることによってお金やモノが世の中をまわり、税金が発生して、弱者が救われる。社会というものはこのようにして成り立っているわけで、その原点は間違いなく「お金儲け」なのです。
 言い換えれば、お金儲けをしなければ社会は成り立っていかない、ということです。お金儲けは「正義」そのものと言えるでしょう。
 ただし、ここでもう一つ、忘れてはならない大事なことがあります。それは「お金は道具だ」ということです。
 道具というのは使いようです。料理人は包丁を使って芸術作品のような、素晴らしい料理をつくります。それによってたくさんの人々が幸せになり、世の中を豊かにしてくれます。
 ところが、使う人によって包丁は凶器にもなります。道具自体に善悪はありません。それを使う人間によって、素晴らしい結果にも、最悪な結果にもつながる、それが道具というものです。
 お金も一緒です。合法的に、または目的に則してお金を儲けたり、あるいは使ったりしないと、お金はとても汚いものになっていきます。他人を傷つけるだけでなく、使った人自身の人生さえ台無しにしてゆくのです。ここにお金の「怖さ」があります。

財布を3つに分ける

では、日々の生活の中でのお金の使い方はどうすべきか。ここでひとつ手軽に始められる実際的な提案をしたいと思います。それは、財布を「生活する財布」「貯める財布」「投資する財布」の3つに分けるということです。
 財布が一緒だと、何にいくら使っているのかがわからなくなりがちです。最初から3つに分け、その中から使っていくのです。その時に重要なのが、自分の器以上に、度を越えてお金を使っていないかを、常に念頭に置き計算することです。
 たとえば、300万円の年収で300万円の車を購入するのは果たして妥当か否か、やはり、「貯める財布」の中にある範疇の金額にとどめる、例えば80万円あるのならば中古の80万円の車を購入するのがよいのではないか……といった具合にです。
 しかし、実際に都度このような計算をするのは骨が折れます。したがって、繰り返しになりますが、「目の前にあるお金を使う」というルールを自分に課すべきなのです。つまり、それが成り立たないときは自分の器を超えている、と潔く諦めるのです。

お金儲けのベースにある理念

4つに分類したお金儲けのどれにも成功者がいます。そして、その人達には、やはり共通点があります。「お金儲けに対する理念がしっかりできている」ということです。
 「お金儲けに対する理念」とは何でしょうか。それは、お金を道具として使う知恵、とも言えるでしょう。
 では、お金は何のために使うのでしょうか。個人であれば人生のためです。会社であれば、経営理念を実現するためです。そのための道具としてお金をとらえ、「お金儲け」とをそのためのものと位置づけている人、あるいは経営者は、自然に成功の道を歩んでいくのです。その結果が、「お金儲けは正義」という結論です。
 宝くじやバクチに当たって、大挙して懐に入ってくるお金もあります。しかしそうした大金は、なかなかその人の身に付くものではありません。それどころか、そのようなあぶく銭は、かえって人生を破綻させかねません。なぜなら、理念を持って、自分が努力をして稼いだお金ではないからです。使い方を間違えるのです。
 私たちの人生(会社経営)において、究極の目的は決してお金ではありません。そのお金ではないものを実現しようとする意志が、理念であり哲学でしょう。
 理念や哲学があるから、お金儲けはうまくいきます。お金が身に付き、さらに大きな人間(企業)に成長できるわけです。
 お金儲けというのは、自分の(会社の)理念にしたがって、人生(会社経営)に真面目に誠実に取り組んでいる姿そのものなのです。決して汚いものでもなければ、怪しいものでもなく、きわめて尊いものです。

私たちはお金に試されている

「お金は、その人の器に見合った額だけ入ってくる」とよく言われます。これは恐ろしいことに本当のことです。40年にわたってたくさんの経営者の方々とお会いし、お話をしてきた私は、そのことを痛感しています。お金というものは残酷なまでに正直です。
 会社経営は、最後にきちんと数字(お金)に現れるようになっています。その数字も、本当に厳しく正しく、ありのままにその会社を評価します。それは「お金儲け」を知っているかどうかの評価、とも言えるでしょう。
 ですから、逆に数字のほうをきちんとすれば、会社経営はおのずと安定し、緩やかでも確実な成長を歩み始めます。ただお金だけを求めて行動していれば、お金が入ってきたとしてもそれはあぶく銭です。
 とんでもない利益を目標(数字)に掲げて無理をする企業は、宝くじやバクチをしているのと同じです。本気で真面目に誠実にお金儲けをしようと思ったら、誰も無茶な目標は立てません。地に足のついた目標を掲げられれば、より価値のある行動ができるようになりますし、社員もついてくるようになります。「数字をきちんとする」というのは、そういうことです。
 お金儲けのコツは、まずはしっかりと理念を持ち、そして現在にこだわらずいつも少し先の未来を見据えて準備をする、ということです。それが世の中のための準備でもあれば、自然にお金はあなたのもとに入ってくるようになります。お金儲けとはそういうことです。

お金儲けとは他人を儲けさせることでバクチとは違う

税務総合戦略室便り 第52号(2014年01月01日発行分)に掲載

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