国税庁は10月末に平成24事務年度(24年7月~25年6月)法人税、法人消費税の調査事績の概要をプレスリリースしました。報道発表資料によると、昨年度1年間に調査が行われた法人の件数は9万3千件で、前年対比27.4%の大幅な減少となっています。
平成23年度の税制改正において、税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法の改正が行われ、納税者に対する説明責任が強化されました。今年行われる税務調査から、税務当局が納税者にとって不利益な課税処分を行う場合には、今までよりも否認理由について十分な説明が必要となったのです。その結果、税務調査手続きに係る事務作業量が増加し、1件当たりの調査期間が平均2.6日伸びたことなどから、3割近くも調査件数が減少することとなりました。
税務調査の件数が減少したことを良いニュースと感じる方も多いと思いますが、そもそもどのくらいの割合で税務調査は行われているのでしょうか。
国家公務員の定数削減という社会の流れの中、国税職員の定員も減少傾向にあります。一方、調査対象の法人数は増加傾向にあり、その結果、実地調査率(どのくらいの割合で税務調査が行われたのかを示す割合)は減少を続け、平成24事務年度は3.1%と過去最低の結果となっています。
昨年度は特別に調査件数が減少しましたが、ここ数年、実地調査率は4%程度の数字となっています。4%という数字を、単純に順番に税務調査が行われると仮定して考えた場合、約25年に一度しか調査が行われないという割合になります。
しかし、「うちの会社には定期的に3年とか5年周期で税務調査があるけれど……」という方が多いのではないでしょうか。場合によっては、去年も調査があったのに、また今年も……というケースもあるかもしれません。
会社設立以来、税務調査が行われていないだとか、10年以上も税務調査がないという会社がある一方、定期的なサイクルで税務調査が行われる会社もあります。「なぜうちの会社ばっかり……不公平じゃないか」という感想を持たれる方もいらっしゃるでしょう。どうしてこのような現象が起きるのでしょうか?
前述した国税庁の報道発表によれば、大口・悪質な不正計算が想定されるなど「調査必要度が高い」法人について実地調査を行ったとあります。限られた税務職員数の中、最大の効果を上げるためには、調査必要度の高い法人から順番に調査を行っていくことが求められるのは当然のことです。
現在の日本の税制は、納税者自らが税務署へ所得などの申告を行うことにより税額を確定させ、この確定した税額を自ら納付する申告納税制度を採用しています。この制度は国民一人一人が正しい申告・納税をしてくれるだろうという性善説に基づく考え方で成り立っています。
ですから、税務調査は申告納税制度を担保するために、一部の不心得者が得をするようなことがないためのもの、換言すれば「正直者が馬鹿をみないため」のものだと言えます。
わずか4%程度の「調査必要度が高い」と判断される対象に選ばれないためには、どうしたらよいのでしょうか?
税務調査が行われない、税務調査の周期が長い会社になるためには、「この会社は調査しなくてもきちんとした申告をしているようだから安心だ」=「調査の必要度は低い」という信頼を税務当局から獲得するしかありません。
でも、「うちの会社は何も脱税もしていないし、すべて税理士に任せて適正な申告をしているつもりだけど、相変わらず頻繁に調査が行われるよ」という声をお聞きします。
日々、きちんと帳簿付けをし、判断に迷う部分は税理士に相談の上処理しているのに、どうして税務調査の度に追徴を受け、定期的な税務調査が行われ、いつまでも税務当局の信頼を得ることができないのでしょうか。
一般的に会計事務所は、会計帳簿の作成を行い、税法を紐解くことで法の範囲内で税金をできるだけ少なくなるように工夫し、決算書・申告書を作成します。そして、最終的には税務当局から否認されないように適正な処理をします。お客様はこのような仕事に対して、毎月の顧問料と決算・申告料を支払ってくださいます。しかし前述したように、多くの経営者の方が税務調査によって追徴課税が行われた経験をお持ちのことかと思います。
税理士は、クライアントの信頼にこたえるため、プロとしての矜持を持って、税務調査の申告是認を勝ち取らなくてはなりません。しかし、税務調査での追徴を恐れるばかりに、本来納める必要のない無駄な税コストをお客様に負担させるようでは本末転倒です。
全ての経済取引を網羅的に税法がカバーすることは難しいため、どうしても税務問題において事実認定・解釈に迷う部分、いわゆる「グレーゾーン」を排除することは困難です。判断に迷うような複雑な税務問題が生じた時に、確かな正解のない部分について、自分ひとりの考えで答を出すのは専門家であっても不安なものです。自然と税務調査で否認されないようにと、保守的な考えで安全策を取って処理することが多くなるかもしれません。その結果、本当は、より税コストを最小化できたかもしれないのに、その機会を逸してしまう可能性もあります。
税務調査で否認を受けることなく、適正な処理をしている会社だという税務当局からの信頼を得ながら、かつ、無駄な税金を納めないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?
税の分野も日々変化しています。毎年、税制改正が行われ、いままでの判断では対応できないケースも生じてきます。また、税務当局と見解の相違が生じるような案件では、事実認定の仕方によってそれぞれ答が違ってきます。ある取引について、どのように事実をとらえるのかによって、そこにあてはめる法律の解釈も異なるからです。
私達は、現在の複雑化・多様化した税務問題に対して、一人の税理士が単独で的確な判断を行うことは困難な状況にあると考えています。そのため『税務総合戦略室』では、複数の専門家を揃えました。医療の世界では専門分野によって専門医が分かれているように、実は税法にも専門分野・得意分野が存在します。
我々税務総合戦略室では、国税庁・国税局などで法人税・所得税・資産税・国際税務など様々な専門部署を経験してきた複数のOBが、『課税当局側の立場』や『国税調査官の視点』で判断に迷うあいまいな分野の事実認定を行います。
確かな正解のない分野に最適な回答を導き出すために、複数のメンバーが過去の経験による十分な議論を交わし、知恵を出し合って、チーム全体でお客様をお守りする体制を採っております。
その結果、税務調査において争点となりそうな事項については、あらかじめ的確な証拠書類を準備し、理路整然とした理由説明が行えるようにすることが可能となり、結果として税務調査での否認リスクを減少することになります。
私達はこのような税務の総合病院的体制を築くことで、真の税務のプロとしての税務会計顧問サービスを実現いたします。専門家として知恵を絞り、誠実に仕事を行い、お客様の税コストを最小化するための税務対策を立案いたします。その上で、もしも税務調査の結果、お客様に追徴課税が発生した場合には、潔くその追徴課税を補填することといたしました。
このような税額補填という対応は、今まで日本中どこの税理士事務所も行っていないことだと自負しております。私共の会計事務所経営40年の歴史とノウハウの蓄積、元国税調査官の税理士チームの結成に裏打ちされた自信に基づいたお約束です。顧問先企業様に大きな安心を感じていただけるものと確信しております。
税務総合戦略室便り 第52号(2014年01月01日発行分)に掲載
お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ
全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
03-5354-5222