税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第53号 >  「経済的な利益」と「経済的利益」は同じか?

「経済的な利益」と「経済的利益」は同じか?

category: 所得税
第53号(2014年02月01日発行分)

執筆者3

「な」が無い。法人税法で使われている用語に「経済的な利益」という用語があります。一方、所得税法では、似通った用語として「経済的利益」が使われている。ここで括目していただきたいのは、所得税法の用語には「な」が無いことなのです。そして、同一の用語が使われてはいないことには意味合いがあります。

○法人税法では

法人税法第34条(役員給与の損金不算入)4項では、「役員」に対する給与には、債務の免除による利益その他の「経済的な利益」も含まれるとあります。
 さらに、「経済的な利益」の具体的な例として、法人税法基本通達9-2-9には、(1)役員に対して贈与する物品その他の資産で、その額が毎月おおむね一定のもの など、12項目が掲げられています。そして、その(6)には役員社宅の家賃、(7)には役員に対する貸付金利息についての取り扱いも書かれており、重要なところです。
 役員給与というと、損金不算入かどうかが気になるところですネ。この経済的な利益に関連する規定として、法人税法施行令69条1項2号には「役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与に該当する」との規定があり、損金算入が認められる余地があります。

 

○所得税法では

一方、所得税法第36条(収入金額)の第1項には「……その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他〝経済的な利益〟の価額)とする」という経済的利益に係る規定があります。ここでは、〝経済的な利益〟という用語が使われているのです。
 さらに、「経済的利益」に含まれるものの例示として、所得税基本通達36-15には、(1)物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益など……、5項目を掲げています。
 そして、所得税法第28条(給与所得)1項において、「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びに〝これらの性質を有する給与に係る所得〟をいう」としており、給与所得には所得税法第36条1項の経済的利益も含まれます。

経済的な利益=経済的利益なのか?

所得税基本通達36-15(経済的利益という用語について)には、『法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下36-50までにおいて「経済的利益」という)には……』と記述されている。
 But、経済的な利益≠経済的利益ではないという前提の下で、法人税基本通達9-2-10(給与としない経済的な利益)があります。ここで、「法人が役員等に対し9-2-9に掲げる経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないもの……であるときは、給与として取り扱わないものとする」という調整規定が設けられています。これらのことから、経済的な利益と経済的利益との関係を集合論的に表すと、おおむね、経済的な利益∩経済的利益であることを示しているかと思われます。

用語の意義は大事

法人税法第2条(定義)に「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる」とあるように、用語がどのような意義を持つのかは法令解釈にあたり大事なことなので、各税法の始めには必ず(定義)があります。「役員」についても、法人税法第2条第15号に(定義)されています。
 ところで、国際課税の分野では、非居住者なのか居住者なのかがよく問題となります。その場合の判断基準とされる〝住所〟について所得税法上の(定義)がないため、民法の規定を借用しています(借用概念という)。民法上、住所とは〝生活の本拠〟とされていますが、この住所(生活の本拠)を具他的にどう判断するのかについての明確な規定がありません。このため、住所を巡っては、多くの争いが引き起こされています。
 用語の意義は大事なのです。

税務総合戦略室便り 第53号(2014年02月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP