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自社株対策とは何か(後編X)

category: 自社株
第55号(2014年05月01日発行分)

執筆者11

7 持株会社の活用と株価対策

事業承継を考えるべき会社のオーナーが比較的若く、当然後継者もまったく考えられない状況で、かつ、自社株の評価も少し高くなっていて、今後もオーナーが相当の年齢に達するまで高収益が持続できる可能性が高い場合、自社株評価を引き下げる対策をしておかないと、将来の自社株式の評価が高額になってしまいます。
 自社株式の評価を下げて後継者に移転するという対策はできませんから、このようなケースにおいては、持株会社化による株価引き下げ対策を講じておかなければなりませんし、また、その効果が大きいと言えます。

(1)持株会社を活用する場合の考え方

事業承継における自社株対策として持株会社を考える場合、1.オーナーの個人財産の管理会社として財産保全会社の機能だけを有する場合と、2.グループ会社運営の一つとして事業を担当するとともに、本体会社の株式を所有して持株会社の機能を併せ持つ場合があります。よって、対策の目的・効果をしっかりと認識し、対応策を考えることが重要です。
 持株会社対策を考える場合、次の2点からの検討が税務的にも必要です。

①持株会社での税務上の効果を考える
 持株会社にオーナー所有の株式を移転した場合の相続税軽減効果を判断し、株式の移転に伴うコスト等の比較が必要となります。持株会社の相続税軽減効果は持株会社の形態によって異なってくるからです。
 相続対策の目的にそって、また、現在の会社等の状況を踏まえて持株会社の形態を選択し、効果の算定をすることが必要です。

②株式会社へのオーナーの株式の移転をどのようにして行うか考える
 株式の移転方法には、株式の持株会社への譲渡・増資・現物出資・転換社債の利用等の引受などが考えられます。しかし、株式の移転には、通常、多額の資金が必要となり、持株会社での取得資金の問題、譲渡に伴う株式の譲渡益課税の問題が支障となります(ただし、現在の会社の株価が相当に低い状態であれば、問題は小さくなります)。
 そこで、持株会社への株式の移転の方法として、会社法・税法による株式移転制度を活用して株式の移転を行います。この方法は、100%所有の完全親子会社の関係になる場合にのみ限定されますが、持株会社の移転に伴う持株会社の取得資金の問題、譲渡に伴う譲渡益課税の問題を回避できます(詳細は後述)。
 その他、会社分割を活用して、営業のすべてを分割承継会社に移転する方法もあります。

(2)自社株式評価減の効果

①純粋持株会社にするケース
 持株会社を媒介とした間接保有の会社の株式の相続税評価額は、株式移転後の含み益に対し、法人税等相当額42%を控除して評価されます。

 この場合、持株会社を設立した当初は、事業会社と持株会社の株式評価は同一で節税効果はありません。設立後、長期間にわたって事業会社が高収益をあげることで生じる株式の含み益に対して42%が控除され、節税がなされるのです。このように、長いスパンでの節税策と言えます。

②持株会社が事業等を行い類似業種比率価額が適用されるケース
 持株会社を媒介とした間接保有の株式所有形態は、相続税評価額の純資産価額による42%控除の節税効果となります。しかし、一般的には純資産価額方式のみによって計算した価額よりも類似業種比準価額方式により算出した価額の方が有利ですので、この類似業種比準価額方式を使えるようにするというケースです。
 純粋持株会社は本体会社の株式のみを保有していますから、税務上は「株式保有特定会社」として、株式の評価方法は純資産価額方式しか認められていません。
 株式保有特定会社は、課税時期において、評価会社の有する総資産(相続税評価額ベース)の合計額が占める割合が50%以上の会社を言います。したがって、類似業種比準価額方式が採用されるには、この株式保有特定会社に該当しないようにしなければなりません。     (続く)

税務総合戦略室便り 第55号(2014年05月01日発行分)に掲載

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