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税務見聞録~多税に無税~第11回 
事前通知は誰に

category: 税務調査
第56号(2014年06月01日発行分)

執筆者4

久々に税務調査について書いてみることにしました。
 現在、税務調査の手続きについては法令で規定されています。国税通則法「第7章の2 国税の調査」に質問検査権、借用物、事前通知、調査終了などの事項が規定されています。
 調査とは、国税に関する法律に基づき、特定の納税義務者の課税標準等または税額等を認定する目的、その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為のことをいいます。調査の際には次の規定のとおり事前通知することになっています。
 国税通則法第74条の9第1項に、税務署長等は国税庁等又は税関の当該職員に納税義務者に対して実地の調査において質問検査権の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求を行わせる場合には、あらかじめ、当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には、当該税務代理人を含む)に対して、その旨及び次に掲げる事項(七項目)を通知することとしています。これは、平成25年1月1日に施行されました。
 さらに、税理士法第34条には、税務官公署の当該職員は、租税の課税標準等を記載した申告書を提出した者について、当該申告書に係る租税に関してあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において、当該租税に関し第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、あわせて当該税理士に対しその調査の日時場所を通知しなければならないとの規定があります。

今までは、事前通知に関しては税理士法にしか規定されていませんでしたので、国税局により取扱いが違っていました。
 代理権限証書を提出している税理士がいれば、その税理士に調査連絡し、日時場所、調査税目、年度などを通知していました。また、別の国税局においては実地調査の連絡は納税義務者に行い、詳細は税理士と行うという方法をとったりしていました。つまり、納税義務者に直接調査を行う通知をしている場合とすべて税理士を通じて行う場合とに別れていたのです。
 国税通則法改正後、1年がたった今はというと、これまた様々です。例えば、ある国税局のある税務署では、関与税理士に対して、「株式会社○○に調査の通知をしますので、税務署から電話連絡がある旨連絡しておいてください。いきなり税務署から電話があるとびっくりするといけないので」……といった具合です。また、以前と同じように税理士に通知する、法令どおりに納税義務者に調査の通知をし、あわせて税理士にも通知するといったようにまちまちです。何のために法律規定として明文化させたのでしょうか。おかしいですね。
 最近でも、事前通知が納税義務者にない状況で、税務代理権限証書を提出している税理士と調査の日程調整を行っている事例がありました。
 しかし、これは間違っています。法律には、納税義務者に対して調査の旨の通知をしなければならないとあります。税理士にはあわせて通知しなければならないということであり、あくまで、申告書を提出しているのは納税義務者なのです。
 代理権限証書を提出しているからといって、調査立会を納税義務者がその税理士に頼むとは限りません。また、申告書提出後に顧問契約を解除していることもあります。
 よく国税当局は守秘義務を盾にして対応することがあります。もし、契約解除となった者に対して調査の事前通知をしたとしたら、守秘義務違反となるのではないでしょうか。法令を遵守すべき行政がコンプライアンス違反ということになりかねません。しかし、この状況をゆるしているのは納税義務者であり、税理士でもあると思います。
 納税義務者である法人及び事業主に対して、直接、調査である旨の通知がなされたか否かは大事なことだと思います。ただし、無予告調査の場合は別です。
 なお、平成26年7月1日以降は、税理士法改正により、代理権限証書の記載によっては税理士へ事前通知すればよいことになりますが、あくまで事前通知すべき相手は納税義務者であると思います。

税務総合戦略室便り 第56号(2014年06月01日発行分)に掲載

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