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税務総合戦略室 室長通信 第二十三回 
税務の専門家によるカンファレンス

第56号(2014年06月01日発行分)

執筆者1

『税務総合戦略室』メンバーは、昨年4月より千葉県の秀明大学で客員教授として税に関する講義を年間30回行ってきました。今年も2年目の講義がスタートしています。
 普段は各々、国税当局時代に培った専門知識を駆使し、お客様の税コストを最小化するために知恵を絞っていますが、大学の講義では租税教育の一環として、日本の将来を担う若い学生の皆さんに租税の意義・役割・機能・仕組み等について興味を持ってもらえるよう頭をひねっています。

時代と共に変化する税の仕組み

税金の話はどうしても難しく、堅苦しくなりがちですので、第1回講義の冒頭は「租税の歴史」と題し、租・庸・調から始まり現代までの税制を歴史とともに考えていく内容にしています。
 「魏志倭人伝」には税に関する記述があり、穀物の献納と労働力の提供からなる租税の形が弥生時代に既に存在していたようです。その後、飛鳥時代の大宝律令で租・庸・調という我が国初めての統一的な税制の仕組みが確立しています。
 安土桃山時代になると豊臣秀吉により太閤検地が行われ、それまでの農地の面積だけで年貢を決めるやり方ではなく、土地の善し悪しや収穫高を調べて実情に合った課税を行う制度に変わりました。
 この検地の考え方・手法は明治初期の税制である地租改正導入の際にも踏襲されており、やはり秀吉は先進的で合理的な考え方を持ったすごい人だったと感心しましたが、一方、当時の税率は「2公1民」という重税だったため、各地で農民一揆が頻発するようになったようです。2公1民では収穫の3分の2が徴収されるということですから、あまりに重い税には民の反乱が起きるものなのかと考えさせられます。

「学問のすすめ」と税金

明治時代、福澤諭吉は「学問のすすめ」で税金について次のように記述しています。

『百姓は米を作って人を養い、町人は物を売買して世の便利を達す。これ即ち百姓町人の商売なり。政府は法令を設けて悪人を制し善人を保護す。これ即ち政府の商売なり。この商売をなすには莫大の費なれども、政府には米もなく金もなきゆえ、百姓町人より年貢運上を出して政府の勝手方を賄わんと、双方一致の上、相談を取極めたり。これ即ち政府と人民との約束なり』

 これは、現代における租税の役割と機能についての考え方「政府が行う経済活動・公共サービスのための社会の会費」と同じ趣旨のことを言っていることがわかります。
 社会の会費を調達する際、大切なことは「誰が、どの程度ずつ、どのように負担するか」ということです。
 我が国の厳しい財政状況から現在推し進められている所得税・相続税の最高税率引き上げなどの「富裕層増税」「富の再分配」が行き過ぎてしまうと、人の何倍も努力し苦労して成功した人々は馬鹿馬鹿しくなって「こんな国にはいられない」「国外に脱出してしまおう」ということになりかねません。富裕層による反乱・現代の一揆です。優秀な富裕層が国を捨てるようではいけません。日本を豊かにするためには富裕層にも優しくなければならないと思います。
 「学問のすすめ」では“政府と人民の関係”についても触れています。

『一国の暴政は必ずしも暴君暴吏の所為のみにあらず、その実は人民の無智をもってみずから招く禍なり』
『人民もし暴政を避けんと欲せば、すみやかに学問に志しみずから才徳を高くして、政府と相対し同位同等の地位に登らざるべからず。これすなわち余輩の勧むる学問の趣意なり』

 自分自身の現在の税負担に納得がいかなければ、情報や知識を集め、知恵を使い、法の範囲内で税負担を減らすための方法を考えていくことが必要になるのではないでしょうか。

財政が厳しくなると増税が行われる

我が国の税制を振り返ると、その時々の財源の必要性に応じて様々な改正が行われてきたことがわかります。
 一例をあげると、相続税という税金は明治38年、日露戦争の戦費調達のため「臨時的に」創設されたものです。ところがその後、現在まで引き続き制度が継続されています。
 財産が親から子に移転するだけなのに、なぜ税金がかかるのか? その理由として、相続により相続人が得た「偶然の富の増加」に対し、その一部を税として徴収することで、相続した者としなかった者との間の財産保有状況の均衡を図り、併せて「富の過度の集中を抑制するため」と言われています。
 しかし、来年より相続税の基礎控除が現在の
「5000万円+1000万円×法定相続人数」から
「3000万円+600万円×法定相続人数」
に引き下げられ(約4割の縮小)、相続税の申告が必要となる対象者は大幅に増加する見込みです。都内に不動産を所有している方の多くが対象となるとも言われており、もはや「相続税はごく一部の豊かな人々のもの」という時代ではなくなるのです。
 諸外国では相続税は所得税などを負担した後の財産に課税する、いわゆる「二重課税の制度」だとして、相続にかかる税は軽減する、相続税がないという国も多いのですが、現在の日本の税制は、それとは真逆の方向に進んでいるようです。

大増税時代の戦略的税務対策

「大増税時代」という言葉が様々なマスコミ媒体に載るようになり、新聞には毎日のように相続税対策のための様々な広告が掲載されています。
 弊社にご相談に来られたお客様からは、「銀行や保険会社、不動産業者やコンサルタントなど多くの専門家が将来の相続税対策を勧めてくるが、皆言うことが別々で何を信じてよいのかわからない」という声を多く聞きます。
 それぞれの業者は、商売として自社の商品に関連した節税提案を行いますので、どうしてもそのような形になってしまいます。「その対策は、本当に私と家族の幸せのために考えられたベストな提案なのか?」という疑問がわくのも無理はありません。
 また、「相続対策と相続税対策は違う」とも言われるように、税金のことだけを考えたスキームが会社と家族にとって最良の対策とは限りません。
 私共『税務総合戦略室』の業務は、セカンドオピニオンを基本としております。
 現在の複雑な税制に対応するため、「税務調査」「法人税」「国際税務」「移転価格税制」「相続・贈与」「事業承継」「消費税」「法令解釈」など各分野の専門家を採用しています。
 医療の分野では複数の専門医、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師など、それぞれの専門家が集まってベストな治療法を話し合うカンファレンス(検討会)が行われています。
 我々もそれぞれ異なる状況にあるお客様の税務問題に対し、複数の税の専門家が知恵を出し合い、最適な答えを導き出すための総合病院的な体制をとっています。
 他の専門家のアドバイスについて、「他にどのような選択肢があるのだろう」「現在の対策案にはどんなリスクがあるのか」など、判断に迷われた時にこそセカンドオピニオンとして『税務総合戦略室』をご活用いただければ幸いに思います。

税務総合戦略室便り 第56号(2014年06月01日発行分)に掲載

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