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元国税調査官による資産税解説 第二十七回 
路線価発表

第57号(2014年08月01日発行分)
元国税調査官・税理士
黒崎 俊夫

先日、平成26年分の路線価が公表になった。東京都は前年比平均で1.8%の上昇、全国平均でも△0.7%と下げ幅は大幅に縮小し、地価の底打ち傾向が認められるとしている。
 路線価は毎年3月に国土交通省から発表される地価公示価格を基にして設定される。
 公的評価には、(1)地価公示価格、(2)都道府県地価調査(基準価格)、(3)国税路線価格、(4)固定資産税評価額があるが、その中でも地価公示価格は公的評価の王様とも言われ、路線価のみならず、不動産鑑定を行う場合も公示価格が価格決定の際のよりどころとなっているところである。路線価格はこの地価公示価格の概ね80%となるように設定されるので、この価格の動向と矛盾した路線価はあり得ないのである。

全国最高路線価は29年間連続銀座5丁目鳩居堂前で、その価格は23600千円(1㎡あたり)であった。一番高かった時は平成4年の36500千円だから、当時の65%である(ちなみに30年前は新宿タカノフルーツパーラー前で、昭和60年の路線価は6250千円だった)。

 地価公示制度が初めて導入されたのは昭和45年である。当時銀座で一番高い公示価格は晴海通り沿い銀座七宝ビル前で価格は2200千円だった。そこの今年の路線価20080千円を地価公示水準に引き直すと(0.8で除す)25100千円だから、44年間で11.4倍になった計算になる。

 参考までに、他の財の昭和45年と現在の価格を比べてみた。

  • 銭湯  38円→460円(12.1倍)
  • ハイライト(タバコ)  80円→420円(5.2倍)
  • 大卒公務員初任給  3万→18万(6.0倍)
  • JR初乗料金  30円→140円(4.6倍)
  • 郵便料金  7円→52円(7.4倍)

銀座などの大商業地は特に上昇が激しいのだが、住宅地でも当時と比較して7~8倍にはなっている。右の例で示した銭湯代は別にして、我が国の経済発展に見合った伸び率以上の上昇であることが土地価格に見て取れる。

先に、銀座の路線価が一番高かったのは平成4年の36500千円と書いたが、その翌年は29000千円と20%も下落している。こういった現象は全国各地で発生した。相続の開始が年を跨ぐだけで、相続税額に数千万円の差が生じることもあった。

路線価をつけるのは税務職員の仕事だが、その基本となる地価公示価格を決めるのは不動産鑑定士という専門家である。求める価格は正常価格といって、市場価値を表す適正な価格。買い進み等の特別の動機がなく、その土地の最有効使用を前提とした合理性のある目的を持って成立するであろう価格である。
1年で20%も下落するバブル期の価格を果たして正常価格と言えるのか。単に狂乱する市場の動向に振り回され、取引当事者の投機的、思惑的要素を捨象できずに求めたのではなかろうか。それでは、取引の指標となるべき公示価格の目的を果たせないどころか、それを課税標準として課税される納税者への説明責任が問われる。投機目的の取引価格を適正価格と見誤り、それを正常取引として価格をつけるようでは、鑑定士の存在意義すら問われかねない。

昨今、大規模事務所ビルの活況と東京五輪への期待で、10%近い上昇を示している地域もあるが、その実力以上の価格が土地につくことを懸念する。それらのビルやマンションの活況は土地ではなく、むしろ建物の機能性、デザインに起因するところが多いと考えるからである。

税務総合戦略室便り 第57号(2014年08月01日発行分)に掲載

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