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元国税調査官が語る国際税務解説 第二十九回 
外国法人と締結する契約書と印紙税

category: 国際税務
第58号(2014年09月01日発行分)

その他

契約書を作成した場合や領収書を発行する際には、印紙の貼付が必要なケースがあります。
 そもそも契約書等を作成した場合、なぜ印紙税という税金が発生するのかということに関しては、誰しもが思う疑問かもしれません。建前上は、契約をすることにより一定の経済取引が発生するため、それを紙ベースにした場合、そこに担税力を求めるという趣旨の説明がなされています。この考え方が担税力という点から適切かどうかは意見が分かれるところですが、現在、印紙税の国庫収入は年間1兆円を超えており、重要な税目の一つに挙げられています。
 税務調査においても、同様の契約書を何通も作成している場合や、従業員に領収書の印紙貼付を徹底していない場合、多額の追徴を受けるケースもあります。また、領収書の印紙税調査は、不特定多数の領収書の受領者に反面調査をすることが実質的に困難であることから、推計課税により再計算を行うことが一般的です。特に印紙税の追徴税額(過怠税といいます)については、税務上、損金に計上できませんので、その点でも注意したいところです。
 節税対策という点では、印紙税を大幅に削減するための画期的な方法が特にあるわけではないのですが、一般的には、以下のような方法が考えられます。

  • 領収書を複数枚に分けて、記載金額を調整する
  • 記載金額について消費税を区分記載する
  • 請書等は紙ベースで作成せず、電子データで行う
  • 契約書は正本を一部作成し、他方はコピーで代用する

2 外国法人と契約を締結する場合

外国法人と取引をする場合、金銭消費貸借契約書、業務請負契約、一定の継続的取引に係る契約書等を作成することがあると思いますが、契約の相手方が外国法人であっても、基本的に印紙税の課税関係の考え方は、日本の法人と契約した場合と同様です。
 しかし、印紙税は日本の税制ですので、日本で作成された契約書のみが課税対象となり、国外で作成された契約書は課税対象外となります。では、契約書が国内で作成されたのかまたは国外で作成されたのかについては、どのように判断するのでしょうか?
 契約書とは、一般的に契約当事者である甲と乙が契約書に調印することにより成立しますので、甲乙両者がどこで調印したのかが重要なポイントとなります。
 つまり、日本法人の代表者と外国法人の代表者が、日本国内の事務所内で調印すれば、印紙が必要となり、逆に、海外に所在する外国法人の事務所内で調印すれば、印紙を契約書に貼付する必要はありません。

3 具体的な節税対策

したがって、印紙を節約したいのであれば、契約先である外国法人に出張した際に、海外事務所で調印すれば良いことになります。この場合、契約書のひな型をどこで作成しているのかという事や契約書が日本語で記載されているか、英語で記載されているか等は、契約書の作成場所の判定に影響を及ぼすことはありません。
 また、契約書の調印を郵送等で行う場合は、どのように考えるのでしょうか?  このような場合、甲乙両者が同時に同場所で調印することができませんので、以下のように判定することになります。
 例えば、甲が日本法人・乙が外国法人という前提で郵送により契約を締結する場合、甲が調印した契約書を郵送で乙に送付し、乙が外国で契約書に調印すれば、外国で契約書が作成されたことになります。逆に、乙が調印した契約書を郵送で甲に送付し、甲が国内で契約書に調印すれば、国内で契約書が作成されたことになります。
 つまり、契約書というのは両者が押印した段階で契約が成立するため、甲乙のうち、後で調印した者がどこで調印したのかが重要になってきます。
 また、税務調査では、上記のような事実があったとしても、外国で契約が成立したことを口頭で説明することが困難な場合もあるため、契約書に「作成場所○○」と明記しておいた方がいいでしょう。

税務総合戦略室便り 第58号(2014年09月01日発行分)に掲載

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