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元国税調査官のひとりごと 第3回 
最新トレンド調査審理

第59号(2014年10月01日発行分)

伊藤 徹也

最近の税務当局事情として、申告審理とは別に調査審理がクローズアップされています。以前にご紹介した、職員の調査能力の低下がささやかれていることにも起因するのでしょうか。
 調査審理とは、調査内容が適切で訴訟に耐えられるものか、調査するべきところを調査しているか、処理手続きが適正か、作成書類に不備はないかなどをチェックすることで、ベテラン調査官が担当し、その上に審理専門官という統括国税調査官を経験したような人材が充てられ、強化がされています。
 審理担当というと、審理畑の人材が申告書、別表の調理で誤りがないかをチェックすることがメインだったのに対し、調査審理は調査畑の人材による調査内容のチェック、指導、育成をメインに考えられています。私たちからすると、調査畑の人材が審理担当というのは違和感があるのですが、最近は様変わりしてきているようです。
 調査審理の際のチェック項目をご紹介しようと思います。調査官が税務調査の処理の際に内部監査される内容ですので、表現が専門用語で理解しにくいかもしれませんが、きっと参考になる内容だと思います。

1. 売上関係

(1)調査法人に帰属する売上か
・反面調査・銀行調査等により帰属先の特定はできているか
・個人からの法人成りの場合、設立当初の帰属の判定は適正か
(2)追徴する事業年度に誤りがないか
・発生主義によっているか(特に預貯金への入金額を追徴する場合)
・売上の計上時期は法令、通達に基づいているか
・遡及年度は時効にかからないか
(3)対応する売上原価は適正に計上されているか
(4)証拠書類は保全されているか

2. 売上原価関係

(1)架空原価を追徴する場合
・仕入先等が実在する場合、反面調査を実施しているか
・架空ではなく原価として認容すべき仮名・借名取引ではないか
・対応する売上がないことが確認されているか
(2)簿外原価を認容する場合
・反面調査等により、金額の確定ができているか
・推計により認容する場合金額は合理的に算定されているか
(3)証拠書類は保全されているか

3. 役員給与等関係

(1)架空役員給与を追徴する場合
・本人に支払われていないこと
・勤務実態がないことを確認しているか
(2)過大役員給与の場合、過大額の算定は適正か
・勤務実態の聴き取りは行われているか(本人および従業員等)
・同業者比較を行う場合、同業者の抽出は適格か(業種・売上規模・地域等)
(3)過大役員退職給与の場合、過大額の算定は適正か
・功績倍率法の場合、勤続年数誤り、最終月額報酬は適正か、功績倍率は適正か
(4)役員退職給与の計上時期誤りの場合
・退任時期を明らかにする書類を把握しているか
(5)みなし役員と判定する場合
・法人の経営に従事している事実を抑えているか
(6)証拠書類の保全はされているか

4. 経費関係

(1)架空人件費を追徴する場合、源泉所得税は還付処理されているか
(2)簿外人件費の認容をする場合、源泉所得税は追徴しているか
(3)簿外経費を認容する場合、認容額を明らかにする書類はあるか
(4)交際費、寄付金を追徴、認容する場合は、限度額計算はされているか
(5)証拠書類の保全はされているか

以上のようなことが調査審理における損益科目の主なポイントです。
 紙面の関係で貸借科目のポイントまでご紹介できませんでしたが、調査の際は、この項目にすべて該当していなければ更正処理がされないということです。そして、いわゆるグレーゾーンの指摘で事実認定がしっかりされていない場合、内状況によっては是認される可能性があるということなのです。
 税務調査で指摘を受けた内容を、一度、上記の内容に照らして検討してみてください。私たちが税務当局の指摘に対抗できるかどうかの判断をするときも、前述の項目をチェックして判断しています。

税務総合戦略室便り 第59号(2014年10月01日発行分)に掲載

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