2014年12月12日、その年の世相を1字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、消費税の増税が話題になったことなどの理由により、「税」という字が選ばれました。「税」という漢字は、稲穂を意味する「禾」と、一部を抜き取ることを意味する「兌(だ)」とが組み合わさったものだそうで、かつて税金は穀物で納めていたことからこのような文字の成り立ちになっているようです。
弥生時代に穀物の献納や労働力の提供から始まった租税も、数千年の時を経て、現代では非常に複雑な形態になってしまいました。
税金はその時代時代の要請に応じ形を変えていくものですが、現在の日本では厳しい財政状況に対応し、将来の社会保障費に充てるため、「社会の会費」として幅広く国民に多くの税負担を求めなければ国家が立ち行かない状態になっています。
税負担を決めるにあたっては「誰が、どの程度ずつ、どのように負担するか」を考えなければなりませんが、公平な負担についての考え方は人によって異なりますので、非常に難しい問題です。
今年1月から所得税、相続税の増税が行われ、さらなる消費税増税も議論される中、これまで以上に国民の税に対する関心が高まっています。
社会・経済の構造変化に応じてこれからも税制は変わり続け、さらに複雑で難しいものになっていくでしょう。経済取引が複雑になればなるほど「グレーゾーン」という言葉に象徴されるような税務判断に迷う部分が増加してきます。自己の経済活動について税法上の取扱いが事前にはっきりしていなければ、税務調査を迎えるたびに大きな不安を感じることになってしまいますが、その難しい税務判断に対して書籍やインターネットで得られる情報だけでは対応に限界があります。
私たち『税務総合戦略室』では、直近まで調査の現場で仕事をしてきた元国税調査官が、税の専門家として変化する世の中に対応するための税務対策セミナーを開催しております。
それぞれの講座では、各分野の税目に応じた専門家が書籍や他のセミナーではなかなか知ることのできない情報をお伝えするべく努めているところです。
私達のお話しさせていただくセミナーでは、法律を紐解けば回答が導き出せる問題ではなく、参加者の皆様が一番お困りの税務判断に迷う部分について、解決の糸口や対応方法が導き出せる内容でありたいと心掛けております。
今回は、現在開催しているセミナーの中でも特に多くの方々のご参加をいただき、好評を得ている講座をご紹介させていただきます。
『税務総合戦略室』では、これまで数多くの税務調査立会いを行ってまいりました。
税務調査の際、経営者の方から様々な疑問の声をお聞きいたします。「なぜ、うちの会社が調査に選ばれたのだろう」「どうしてこの経費が否認されるのか納得がいかない」「反面調査は会社の信用にかかわるので何とか中止してもらえないだろうか」「なぜこの修正事項に重加算税が賦課されるのだろうか」等々。
毎期利益を計上し続けている優良企業の経営者にとって、数年に一度の税務調査は避けられないものであるという認識(あきらめ)はあるものの、「できるだけ短期間で、すっきりと納得のいく範囲で終了して本業に集中したい」という想いが強いのではないかと考えています。
そのため、「見解の相違」という言葉に象徴されるようなグレーゾーンの争いで結論がでないまま税務調査が長期化することほど精神的にストレスを感じることはありません。
本講座では、過去の税務調査の結果に不満を持たれている方、またそのような経験から次回の税務調査に大きな不安を抱えていらっしゃる方のために、税務調査に対する適切な対応方法をお話しさせていただく内容となっています。国税局で長年、実際に調査を行ってきた元国税調査官が「事実認定の方法による税務判断の違い」「質問検査権や調査手続」「過去に争われた裁決事例・判例」などについて、わかりやすく解説いたします。
税務調査に対する不安感を取り除き、納得のいかない追徴課税を受けないために役立てていただけたら幸いです。
今年1月からの相続税増税を受け、あらためて相続税の負担について大きな不安を抱えていらっしゃる方が増えています。
基礎編では、「愛する家族に上手な財産の残し方」と題し、相続税に馴染みのない方々のため、相続税の基本的な仕組みを解説し、残された家族が将来の税務調査で争いに巻き込まれないために生前からどのように準備をしておけばよいのかをお伝えしています。
1月より新たに開講する応用編では「相続税大増税時代を勝ち抜く節税ポイント」と題し、すでに相続税節税のために書籍やセミナー等で対策を検討しながらも、その対策に物足りなさを感じていらっしゃる資産家の方向けに、有効な節税策を解説するとともに、当局に否認されることのないよう的確な方法をご案内いたします。
「毎期の法人税の納税はきちんと行っているため、特に税金について心配はしていない」という経営者の方にとっても、自社株式の承継は非常に重要な問題となります。
毎期、順調に利益が計上されてきた結果、オーナーが所有する自社株式の株価は高騰し、それが多くの問題を引き起こします。
後継者と相続人は多額の相続税負担となり、納税資金が不足するとともに、自社株式の遺産分割を巡りトラブルになるケースが多々あります。
また、ご子息以外の方が会社を承継する場合も、高額な株を買い取る資金が不足し、贈与を行う場合には高額な贈与税の負担が生じることにもなります。
事業承継のための自社株対策は、相続が発生する前に十分な時間をかけて行っていくことが望まれますが、その対策を先送りにしていたがために有効な手段がとれないケースが多く見受けられます。
当セミナー、事業承継のための自社株対策では、資産課税ひとすじの元国税調査官と事業承継の第一人者である客員税理士がタッグを組んで、事業承継のための具体的な対策をご紹介させていただきます。
昨年夏の開講以来、1000名弱のご参加をいただき、圧倒的に人気第一位となっているセミナーです。
オーナー企業において会社と個人財産は一体化しており、現実的に経営者個人と会社の財布は一緒になっています。会社の業績が良くても、社長個人が借金ばかりではどうしようもありません。その逆もしかりです。
中小企業こそ、会社の業績ばかり気をつけるのではなく、社長個人の資産を増やさなければ、良い仕事、良い会社はできないのです。そのためには、会社の本業からのキャッシュフロー以外にも、別の種類の収入源からのキャッシュフローを二本、三本と持つことが大切になります。
売上第一主義から脱却し、キャッシュフロー重視の経営にシフトすべきなのです。
本セミナーでは、弊社代表の野本が、オーナー経営者のために、42年間で実体験してきたお金に悩まない中小企業経営のノウハウや自分自身が実践してきた税務対策と資産運用を公開させていただきます。
今回ご紹介した他にも、皆様の抱える様々な税務問題に対応する様々な講座をご用意しています。変化する税制に適切に対応するためにご活用いただきますことを願っております。
税務総合戦略室便り 第62号(2015年01月01日発行分)に掲載
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