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自社株対策とは何か(後編XⅦ) 
~そのほかの事業承継対策~

category: 自社株
第62号(2015年01月01日発行分)

執筆者11

【自社株対策とは何か(XⅥ)より続く】

その他の事業承継対策

(3)分割型新設分割の税務の概要

①資産移転法人の移転資産の譲渡損益
 分社型新設分割と同様に、分割型新設分割も税法上の適格要件を満たす「適格組織再編成」に該当する場合は、移転資産の譲渡益に対して課税されません。
 分割型新設分割の資産の移転は、帳簿価額による資産の「引き継ぎ」と認識し、譲渡損益の発生はないものとします。

②適格組織再編成の要件
 イ.企業グループ内の組織再編性
 *100%の持分関係にあるグループ

  • 株式のみを交付する分割であること
    分割法人の株主に分割承継法人の株式以外の金銭等の資産が交付されないこと。金銭等の株式以外の資産が交付された場合は、移転資産の譲渡損益を計上することになります。
  • 按分型の株式交付であること
    分割承継法人の株式が、分割法人の株主の有する分割法人の株式数の割合に応じて交付されていること。非按分型に交付された場合は、移転資産の譲渡損益を計上することになります。
    (以上の条件をすべて満たす分割)

*50%超~100%未満の持分関係にあるグループ
 (以下の条件をすべて満たす分割)

  • 株式のみを交付する分割であること
  • 按分型の株式交付であること
  • 主要資産等が引き継がれること
  •  
  • 分割される事業に係る主要な資産および負債が分割承継法人に移転していること。分割事業は、分割前に営まれていた事業の内、分割によって承継法人において営まれるもの。
  • 従業者のうち、分割直前の分割事業に係る総数の概ね80%の者が、分割後の事業に従事することが見込まれていること
  • 分割される事業が、分割後も承継法人において引き続き営まれることが見込まれていること

ロ.共同グループ内の組織再編性
 (省略)

③みなし事業年度の規定
分割型会社分割の場合は、利益積立金の引き継ぎが行われるため、その金額を計算しなければなりません。よって、決算の必要があるため、その事業年度開始の日から分割の日の全日までを事業年度とし、分割の日からその事業年度の末日までの期間を一事業年度として決算処理をすることになります。

(4)会社分割後の株式移譲の対応

①分割承継法人への資産と負債との差額を少額にした場合
 本例(前回)の会社分割では、次のようになっています。

資産 43億円 負 債 28億円
純資産 15億円

この移転する資産・負債の差額である純資産を意図的に少なくした場合は、株価が低くなりますが、問題があると考えます。

資産 43億円 負 債 40億円
純資産 3億円

このような会社分割の場合は、必ず会社分割の要件である(50%超~100%未満のグループ内)主要な資産および負債が承継法人に移転していることになりますが、その異常性が問われかねません。また、100%の持分関係にある会社分割では、資産・負債の移転要件がありませんから合法的ですが、その異常性も問題と考えられます。

②租税回避の防止措置
組織再編成により、資産移転法人もしくはその株主、または資産取得法人もくはその株主の、法人税、所得税、相続税または贈与税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合は、その行為計算の規定が適用されます。

③本ケースのような異常性がある場合は、この行為計算の否認の規定が適用されることになります。

もし、実際に本例のようなケースがあるならば、疑念を持たれないように、分割から3年以上経過し、類似業種比準価額による株価計算も可能となった上で、長男と次男への社長交代の時期に合わせて株式移譲することが、経済的・経営的な合理性があるため、問題がないと思われます。

税務総合戦略室便り 第62号(2015年01月01日発行分)に掲載

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