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ある話と節税の解釈~税務調査~

category: 税務調査
第62号(2015年01月01日発行分)
元国税調査官・税理士
大柳 和二

今回は、ちょっと「新聞ネタ」を外れて、最近、小耳にはさんだ話題で、興味を持ったことを基に考えたことをテーマに執筆したいと思います。
 それは、ある町が開催した「新鮮な枝豆を掘りませんか」という催しに関することです。
 この催しに参加を希望する人は、ビニール製の紐を(長さは50~60センチメートルぐらい)500円で購入します。購入した人は、畑から引き抜いた枝豆をその紐で結びます。この時、その紐で結ぶことができた枝豆のみを持ち帰ることができるというものです。
 参加者は、できるだけたくさん持って帰りたいから、一生懸命に枝豆をきつく束ねて結ぼうとします。ある家族は、家族みんなで一生懸命に枝豆を引き抜きました。子供たちは喜んでどんどん枝豆を引き抜いてお母さんのところに持ってきますが、購入した紐では到底結べない量となっていました。仕方なく、お母さんは購入した紐で結べるだけの枝豆を持ち帰ることにしました。
 一方、ある姉妹は同じように紐を購入し、枝豆を引き抜いていました。そして、紐で縛ろうとしましたが、やはり同じように、縛れないほどの量を引き抜いていました。
 しかしここで、妹が姉に「この紐って、引き裂くことができるよ。だから、引き裂いてつなぎ合わせればこんなに長くなるよ」と言って、紐を引き裂き、つなぎ合わせて、1メートルほどの長さの紐を作りました。その紐で枝豆を縛り始めると、引き抜いた枝豆のほとんどを縛ることができ、たくさんの枝豆を持ち帰ることができました。
 普通、ほとんどの人は常識的に考えて行動をするため、購入した紐をそのまま使用すると思いますが、主催者である町は、販売した紐で縛ることだけを求めているだけだから、さきほどの姉妹がその紐を引き裂いて長くしても何ら問題なしということになるかと思います。
 この時に、紐の使用方法について、そのままの状態で使用するように決められていれば、各人の持ち帰ることができる枝豆はほぼ同じになるでしょう。要は紐をどのように使用すればたくさん縛れるかを考えた人が得をしたことになります。
 私は、この話を聞いた時、この紐の取扱いの解釈を税法に置き換えて考えてみました。
 というのは、この紐の使用方法についての解釈が様々だということです。紐を引き裂いて長くして使うか、そのまま使うのかは、それぞれ各人が解釈した考え方によっています。
 税金の計算においても、税法に明確に規定されて初めて課税できるわけです。しかし、各税法に全ての事実関係を前提に規定することは不可能に近いため、その性質上、一般的な規定にならざるを得ません。そこで、各税法の具体的な適用に当たっては、その取扱いの統一を図るために国税職員向けに法令解釈通達が定められ、国税職員はこの法令解釈通達の趣旨及び内容を理解し、社会通念を勘案して適用することになります。
 ただし、この法令解釈通達は、あくまで国税職員の解釈の統一を図るために定められたものであり、納税者側としては、すべからく全てが同じにならなければならないという理屈はありませんので、この法令解釈通達の取扱いに拘束されることはありません。要は、税法は常識的に考えて適用するものだと考えられているのです。
 例えばですが、私は節税の例としては、所有期間が5年を超えてから資産を譲渡することとか、買換えの特例制度を利用するとか、又は減価償却制度を利用するとかして課税の繰り延べを図ることが一般的であると思います。
 最後に、さきほどの姉妹による枝豆の顛末がどういうことになったかは、読者の皆さんのご想像に任せたいと思います。

税務総合戦略室便り 第62号(2015年01月01日発行分)に掲載

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