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被扶養者の株式申告~確定申告特集~

category: 所得税
第64号(2015年03月01日発行分)

執筆者6

確定申告シーズンです。
 専業主婦の方や、ご主人が配偶者控除を受けるために給料収入を103万円に抑えている方で、趣味と実益を兼ねて株式投資を行っている方も多いと思います。その場合の確定申告に関係することを書きます。
 上場株式を証券会社等を通して売買するときには、特定口座と一般口座の2つの方法があります。特定口座は、更に、売却益について源泉徴収されて確定申告が不要な「特定・源泉徴収あり口座」と年間利益が生じた場合には原則として確定申告が必要な「特定・源泉徴収なし口座」に2分されていることは、ご案内の方が多いでしょう。
 ここでは、特定・源泉徴収あり口座(以降「特定源泉口座」といいます。)について触れることにします。
 「特定源泉口座」は、売買利益金額が確定申告の必要がない少額な場合でも、きっちり源泉徴収されてしまう難点はありますが、確定申告は不要であり、かつ、確定申告しない場合は、税法上の収入金額や所得金額にはならないという大きな利点があります。
 したがって、どんなに売却益があっても、確定申告さえしなければ、他の条件を満たしてる場合には、ご主人から配偶者控除ができることになります。
 ただし、前年からの株式の損失の繰り越しを申告している場合に、去年に利益が出たので、通算の確定申告をして源泉徴収された税金の還付を受けたいと思っている方もいるでしょう。
 この場合のポイントは、配偶者控除の条件である妻の合計所得金額が38万円以下であることですが、株式の譲渡所得は前年からの繰越損失を通算する前の金額で判断する必要があります。(給与所得等の他の所得があれば合計します。)損失の繰越控除は確定申告を継続しなければならず、いったん途切れるとそれまでの繰越金額は立ち消えになってしまいますが、どちらが有利なのか、よく検討することが重要になります。

  

税務職員のアドバイスで特定源泉口座の株式を申告した結果、健康保険の被扶養者から外れたとして税務署にクレームが

  

次に、税務とは直接関係しませんが、株式譲渡の確定申告と健康保険の被扶養者の問題に触れたいと思います。
 例えば、ご主人の勤務先が所属する健康保険組合の被扶養者になるために、被扶養者である配偶者(60才未満の場合)の収入金額が130万円未満であることが必要です。(他の条件は省略します。)この場合の収入金額は、通常は譲渡所得のような経常的でない所得は除外されますが、譲渡所得も含め判断している保険組合もあるようです。特定源泉口座の譲渡所得を申告するか否かにかかわらず、他の所得に加算して判断するのかもしれませんが、現実は、標題のように、株式譲渡の損失の繰越控除のために特定源泉口座の申告をしたことで、結果的に健康保健組合から被扶養者が外されたとして、税務署にご主人が怒鳴り込んでくるクレームが、どこの税務署でも1件や2件、発生します。
 私が、国税の職員で、税務相談室にいたときには、電話で何度も絶叫クレームを受けました。そのため、相談室から税務署に転勤して、確定申告の事務に従事したときには、職員に、それらしき納税者の方に対応した場合には、その旨の確認をするように注意を喚起したものです。それでも、申告しなければ大丈夫というものではないと思いますし、来署するすべての納税者の方に注意を喚起するのも不可能です。ということで、この不透明感を何とかできないかと、国税職員のときに悩んだことが思い出されます。

国保の医療保険制度の「現役並み所得者」と特定源泉所得

70才以上の方や後期高齢者の医療費の患者負担について、「現役並み所得者」とされた場合には、3割負担になります。本来、申告不要である特定源泉口座で利益金額を前年から申告している繰越控除と通算の申告をすることで、現役並み所得者の条件を満たしてしまうことになる場合もあり得るので、注意が必要です。また、一旦、確定申告をすると、3月15日(本年は16日)までなら、訂正申告ができますが、それを過ぎると、確定申告の撤回はできないことにも留意しましょう。

税務総合戦略室便り 第64号(2015年03月01日発行分)に掲載

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