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税よもやま話 第二十二回 
サラリーマンと節税~確定申告特集~

category: 節税
第64号(2015年03月01日発行分)
元国税調査官・税理士
松井 孝榮

所得税の確定申告は、サラリーマンにはあまり縁がない行事ではありますが、自営業者にとっては年に一度の大仕事となります。
 自営業者にはサラリーマンに比べて様々な節税方法があります。商売がうまくいって、少し儲かった場合、必要経費を増やして税金を抑えることも可能です。
 サラリーマンでも自分で必要経費を増やして、税金を調整する方法がないだろうかと考えるのも無理ではありません。


逮捕された経営コンサルタント

副業で出た赤字を本業の給与所得によって相殺すると、払い過ぎた所得税を還付してもらえます。税金の還付申告者は、年に一千二百万人を超えます。税務署が膨大な申告書類から不正を見抜くのは容易ではありません。
 サラリーマンも事業主になれば節税ができますと言って、顧客のサラリーマン数十人に脱税指南をしていた経営コンサルタントが一昨年所得税法違反で逮捕されています。

サラリーマンも事業主になれば節税ができる?

サラリーマンでも自分で必要経費を増やして、税金を調整する方法はあります。それは自分で事業を起こせばよいのです。事業者になって事業所得の赤字と給与所得を損益通算することにより給料から天引きされている税金を取り戻すことも可能となります。
 しかし、それには高いハードルが用意されています。
 サラリーマンの副業は、原則「雑所得」とされ、しかも雑所得は損益通算の対象とされていないからです。

事業所得と雑所得

サラリーマンの副業を確定申告するに当たり、所得税では十種類の区分を設けていますが、どの区分で申告するかに応じ節税額が異なってきます。

【給与所得】

給与所得は、雇用契約による対価の収入です。そして、企業の役員が会社と締結する委任契約により受け取る役員報酬も給与所得です。(指揮命令をうける仕事。副業でも誰かに指揮監督を受ける場合は給与となります。)

【事業所得】

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の所定の事業(政令で定める事業)から生ずる所得をいいます。
(自己責任を伴い、副業収入で生活できる。継続・安定的に発生する。)

【雑所得】

雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。
(自己責任を伴うが、副業収入だけでは生活できない。不安定である。)
 サラリーマンの副業は、原則「雑所得」となります。なぜなら収入は不安定であり、副業収入だけでは生活できるだけの十分な利益がでていないためです。個人事業主になるには収益が「継続・安定的に発生」する必要があり、何年も赤字の「事業」は「事業」として成り立っているとは言えません。
「事業」の判断については次の項目が判断要素とされており、これらの要素を総合的に勘案し、事業所得か雑所得かを判断することになります。

  • 営利性・有償性の有無
  • 継続性・反復性の有無
  • 自己の危険と計算における企画遂行性の有無
  • 精神的あるいは肉体的労力の程度⑤人的・物的設備の有無
  • 職業(職歴)・社会的地位
  • 生活状況
  • 業務から相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性があるか

税務署では申告の際に「事業所得」か「雑所得」かの審査は特に行われません。自己申告に委ねられています。
ただし、サラリーマンが、節税のため小規模副業を事業所得で無理やり申告した場合、後で税務署から五年ほど遡り税金を取られる(修正申告が必要)可能性があります。
事業とは、いわゆる「生業(なりわい)」であり、通常、「生活の元手を得るための職業、家業」のことを意味しています。
 副業を事業にするには、きちんとし事業実態を持つことが大切です。

税務総合戦略室便り 第64号(2015年03月01日発行分)に掲載

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