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株主の権限

category: 自社株
第65号(2015年04月01日発行分)
元国税調査官・税理士
松井 孝榮

「代表取締役を解任します。」ある日、Aさんは取締役会の席上で筆頭株主である前社長の妻Bから言い渡され、代表取締役の座を失いました。
 前社長と共同経営で築き上げてきた会社でしたが、Bは前社長の死亡によりその持ち株を相続し、いつの間にか発行株数の三分の二超を保有していました。
 Aさんは自分の迂闊さを後悔しましたが、後の祭りでした。結局Bの意向には逆らうことはできず、苦労して築き上げた会社からの退職を決意しました。

株主の権利

株主は、その発行会社に対して出資額に応じた権利、すなわち「株主権」を持ちます。
 主な株主権としては、次の三つの権利が挙げられます。

  • 株主総会での議決権等、会社の経営に参加する権利
     株主は、会社の経営方針等を決める株主総会に出席して、決議に参加することができます。株主総会における決議は多数決によって行われますが、その投票数は、基本的に持ち株数に比例します。したがって、より多くの株式を持つ株主ほど会社の経営に大きな影響力を持つことになります。
  • 配当金等の利益分配を受け取る権利
     株主は持ち株数に応じて配当を受けることができます。配当金の額は会社の利益によって決定されます。
  • 会社の解散等に際して、残った会社の資産を分配して受け取る権利
     会社が解散した場合に、その会社の資産は売却される債権者の返済資金に充てられます。債権者へ優先的に返済が済んだ後、さらに財産が残っていれば、株主はその残余財産について持ち株数に応じて分配を受けることができます。

持ち株比率と株主の権利

株主には出資割合に応じて一定の権利が発生いたします。
 株式をどれだけ保有すればどのような権利を有するか、主なものを挙げてみました。

  • 発行済株式の全株を保有
     さらに代表取締役に就任すれば、全てを自分の意志で決定することが可能です。
  • 発行済株式の三分の二以上を保有
     株主総会の特別決議が可能になります。特別決議とは定款の変更、取締役の解任、合併や解散など非常に重要な事柄を決める決議です。中小企業オーナーの場合は、できる限りこの三分の二以上を保有すべきでしょう。
  • 発行済株式の二分の一超を保有
     株主総会の普通決議が可能になります。過半数なら一応その会社で一番権力を有する人です。
     但し上記の三分の二以上株主と異なり、特別決議は単独で通せませんから絶対的権力とは言えません。
  • 発行済株式の三分の一以上を保有
     上記②の裏返しになりますが、三分の一以上を保有すれば特別決議を単独で阻止することが可能です。
     三分の一以上保有する株主についてはオーナーは会社運営にあたり相当意識する必要があるでしょう。
  • 発行済株式の十分の一以上を保有
     会社の解散請求ができます。
  • 発行済株式の3%以上を保有
     株主総会の召集、帳簿の閲覧ができます。この帳簿の閲覧はオーナーにとっては相当の脅威です。帳簿とは会社のほとんど全ての経理関係資料を指しますので、日ごろどのような経営がなされているか丸わかりになります。
  • 発行済株式の1%以上を保有
     株主総会における議案提出権が認められます。
     会社においてはたくさん株式を保有し、お金を出している人が偉い人です。
     株式を10%しか保有しない代表取締役甲さんと、役職についていないが株式を90%保有している乙さんなら、乙さんの方が圧倒的に強い立場にあります。
  • しかし、前述のように少数株主でも、その権利はなかなか軽視できないものがあります。会社設立において、第三者から出資してもらう場合にはこの点を十分に検討する必要があります。
     さて、持株が三分の一に満たなかったAさんは特別決議を単独で阻止することはできませんでした。
     その後Aさんは同業の友人から会社経営を依頼され、後継の代表取締役に就任し、今も元気に事業経営に励んでいます。

税務総合戦略室便り 第65号(2015年04月01日発行分)に掲載

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