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税務総合戦略室 室長通信 第三十二回 
税理士は誰の味方か

第65号(2015年04月01日発行分)

執筆者1

私達『税務総合戦略室』はセカンドオピニオンを基本として業務を行っております。
 お客様は顧問税理士を変えることなく、現在の税理士では対応が困難な、国際税務・事業承継・判断に迷うグレーゾーン部分などについて元国税調査官としての視点により税務判断、アドバイスをし、税務調査の際には、その立会いを行うというスタイルです。
 「力を合わせて大切なお客様をお守りする」という考え方に立ち、我々は顧問税理士と良好な関係を保ちつつ、共に最適な税務対策を考えていくよう努めています。

顧問税理士を変えたいという理由

お付き合いさせていただいている優良企業の顧問税理士は、さすが見識が高く、会社の信頼も厚い方が多いのですが、中には本来セカンドオピニオンとして業務を行っている私達に「現在の税理士を変えたいので、月々の記帳や決算書・申告書作成も請け負ってもらえないだろうか」というご依頼をいただくケースがございます。
 長年かかりつけ医のように会社を見守り、顧問契約を続けてきた税理士を変えたいという場合、そこには必ず何かしらの問題や蓄積された不満が存在します。
 お客様の声をお聞きしてみると、

  • 「判断に迷うケースでは必ず税務署側に立った保守的な処理(納税額が増加する)を要求される」
  • 「税務調査の際に味方になってくれなかった」「むしろ税務署の側に立って修正申告を勧めてきた」
  • 「法人の経費を個人的なものではないかと指摘され、経費への算入に難色を示される」
  • 「税コスト削減のための積極的な提案がない」

  等々……

 なぜ、税理士は顧問先の不満を生むとわかりきっているのに、このような行動をとってしまうのでしょうか。

弁護士の仕事と税理士の仕事

税理士と同じように法律の専門家としてクライアントを守っていく仕事としてすぐに思い浮かぶのは弁護士です。
 弁護士法第一条では「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会的正義を実現することを使命とする」と規定されています。
 人が社会生活を送る上で、望まざる様々な争いごとやトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。そのようなことが起こった際、弁護士は依頼人の利益を最大限守るため問題解決にあたります。
 さらには、ニュースなどを見る限り、殺人犯など社会的に悪とされる被告人であっても、国家(検察官)を相手取り、その刑ができる限り減刑されるよう力を尽くして争います。
 たとえ社会的に非難を浴びてでも、依頼人を守るため仕事を行うのです。
 翻って、税理士も同じようにお客様第一主義で仕事をしているでしょうか。
 税理士法第一条では「税理士は、税務の専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税事務の適正な実現を図ることを使命とする」と規定されています。
 『独立した公正な立場において』とされていることから、税理士は税務当局と納税者の中立的な立場の存在であり、どちら側にも偏った判断をしてはいけないという考え方をする税理士も一定割合いるように思います。
 たとえ法律的にはそうであったとしても、世間の常識的感覚としては、「報酬を支払って顧問になってもらっているのにこちらの味方になってくれないのか」と思う方がほとんどなのではないでしょうか。

なぜ税理士は味方になってくれないのか

手前味噌ですが、私達『税務総合戦略室』メンバーが税務調査の立会いを行わせていただくと、お客様より「一緒になって税務当局と戦ってくれた」という感謝のお言葉をいただくことが多々あります。
 我々としてはごく当たり前の調査対応をしているつもりなのですが、お客様にとって今まで数回経験されてきた調査の際のやりとりとは別物だという評価をしていただけるのです。
 おかげ様で、全国の様々なお客様より引き合いをいただき、北海道から沖縄まで様々な地域の顧問をさせていただくようになりました。
 ここ最近、「税務署よりの保守的な処理を勧奨される」「税務調査で当局と一緒になって同じ主張をされた」という不満の声をお聞きするのは特に地方の企業が多いように感じています。
 税理士は、税理士会という組織に必ず所属し、税理士会は各税務署単位の支部に分かれて活動しています。
 年に数回、支部単位で税理士と税務署幹部との会合が行われ顔を合わせる機会があります。
 今はわかりませんが、かつては懇親会という名目の酒席もあり、地方の小規模税務署(支部)ほど両者のつながりは強い傾向にあるように思います。
 私自身も20年以上も前になりますが、地方の小規模税務署に勤務していた経験があります。
 年に何回も同じ税理士先生と税務調査で顔を合わせました。
 調査官の数も限られますし、登録税理士の数も少なければ、自然とそのような結果になるのです。
 人間同士ですから何度も顔を合わせ顔なじみになれば、雑談もしますし、自然と親しくなります。
 税務調査の際、今まで何度も会っていて、さらに今後も会うであろう調査官に対し、真っ向から対決し、戦う姿勢というのは表しにくくなるのもやむを得ないことかもしれません。
 また、税理士を巡る制度的な問題もあります。
 国税庁には「税理士監理官」という税理士を監督する組織があり、問題があると認められると税理士としての業務停止処分や、ひどい場合には資格剥奪処分を受けることもあるのです。
 どの業界においても、ときには、自身の監督官庁の顔色をうかがいながら仕事をしていかざるを得ない場面があるように、税理士は、深層心理において、常に税務当局の視線を意識しながら業務を行っていると言っても過言ではないでしょう。
 クライアントがほとんど同一の税務署管内に偏っており、未来永劫ずっとその税務署の調査を受け続ける地方の税理士が「にらまれたくない」という意識を持つのは想像に難くないことです。
 ちなみに弁護士を監督する官庁は存在しません。
 社会正義実現のために、時には国家権力と対決しなくてはならないため、「弁護士自治」が認められているからです。

踏み込んだ税務対策のために

私達は事業拡大のための踏み込んだ税務対策にできる限りお力になりたいと考えています。
 その過程で、税務当局との摩擦は当然予測できる事態であり、そのことを全く恐れません。
 『税務総合戦略室』メンバーは皆、長年税務当局で実際に調査を行ってきました。
 税務調査において、否認される事項、否認できない事項、その間のグレーゾーンがどちらに転ぶのかの接点を熟知しているつもりです。
 税務調査での指摘を恐れるが故、必要以上に保守的な処理を勧め、お客様の税負担を増やすようなことはいたしません。
 そのかわり、必ず問題になりそうな事項や、否認されるであろうことが確実な事項については、あらかじめきちんとお伝えいたします。
 その上で、税務調査に耐えられる処理、もめそうな事項を理路整然と説明を行うための証拠資料固めについてお客様とともに知恵を絞ります。
 『税務総合戦略室』は、お客様が納得のいく税金だけを納税すれば済むための「真の味方」でありたいと常に考えています。

税務総合戦略室便り 第65号(2015年04月01日発行分)に掲載

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