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税よもやま話 第二十三回 
名義株

category: 自社株
第66号(2015年05月01日発行分)
元国税調査官・税理士
松井 孝榮

名義株とは、株主名簿上の名義と真の株主が一致しない株式のことです。
 例えば、株主名簿ではAさんと記載されていても、実際はBさんが真の株主であれば、名簿上と実際の株主は異なります。このような状態の株式を名義株と言います。

名義株の問題点

株主として権利行使するには、株主名簿に記載されなければなりません。すなわち、株主名簿に記載されている者が株主として扱われることになります。株主となった事情については全く考慮されません。
 例えば、設立の時に名義が必要だったから借りただけなどの個人的な事情は一切考慮されることはありません。実際の株主はBさんであっても、株主名簿上はAさんが記載されているので、会社に対して権利行使できるのはAさんとなります。このまま名義株を放置すれば、株主として権利を行使され、取締役の解任、会社乗っ取りなどの危険性もなくはありません。
 特に名義を変更することもせず、長年放置し、名義人と名義借人とが経営において利害が相反するような場合に会社の支配権をどちらが有するかをめぐり、問題が顕在化することがあります。
 また相続の際に相続税の課税の問題が生じる場合もあります。名義借人に相続が発生した際、名義株について名義借人の相続財産であるとの認定がなされ、望外な相続税が課税されることがあります。  また、名義人に相続が発生したとき、名義株である旨の立証ができず、名義人の相続人から高額な価格での買い取りを要求されることも予想されます。

対処の方法

まずは実際の株主名義に変更することです。すなわち、名義株を真正な株主の名義に変更します。株主名簿に株主として記載されなければ、株主権を主張することができません。そこで、株主名簿の記載を変更すれば、名義株主は、株主としての権利を行使することができなくなります。
 株主名簿の名義を変更するとしても、勝手に書類を書き換えることはできません。名義株の名義人に名義株であることの承諾書を得ておく必要があります。この承諾書により名義を書き換えます。ただしこれは名簿上の株主が承諾している場合においてのみ有効な方法です。

真実の株主とは

実質上の株主の認定については、

  • 株式取得資金の拠出者
  • 名義貸与者と名義借用者との関係及びその間の合意の内容
  • 株式取得(名義変更)の目的
  • 取得後の利益配当金や新株等の帰属状況
  • 名義貸与者及び名義借用者と会社との関係
  • 名義借りの理由の合理性
  • 株主総会における議決権の取扱及び行使の状況
 などを総合的に判断するべきとされています。

真実の株主の判定と名義株の整理

御社の株主名簿、もしくは、法人税申告書別表二「同族会社の判定に関する明細書」に記載されている名義人が真実の株主であるのか否かを確認し判別してください。
 名義株であることが判明した場合には、当該株式を引き受けた際の資料の整理、配当金の支払い状況または新株の引き受け状況が判る資料、当該名義人の株主総会への出席状況が判る資料を整理します。そして、当該名義人から当該株式が名義株である旨の確認書を徴求し、取締役会での承認を経て株主名簿又は別表二を書き換えます。
 自分自身が、ある会社の株主になっていることが判明した場合、上記の各基準に従い真実の株主であるかを確認します。名義株であることが判明すれば、相続税の課税がなされないように、真実の株主へ株主名簿又は別表二の名義を変更し、会社から真実の株主ではない旨の念書を作成してもらうことになります。
 一方、会社が真実の株主と認めてくれる場合には、少なくとも今後の配当金については支払いを受け確定申告を行う、株主総会の招集手続を欠かさずしてもらう等が必要でしょう。また、会社の立場からすると、この時点で、将来の紛争を未然に防ぐために、当該株式を会社が直接買い取るという思い切った対策を講じることが必要とされる場合もあるでしょう。

税務総合戦略室便り 第66号(2015年05月01日発行分)に掲載

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