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相続税申告書の提出について

第67号(2015年06月01日発行分)

執筆者6

まず、相続税申告書の提出先について考えてみます。
 相続税法では、相続又は遺贈により財産を取得した人で基礎控除額を超えることで相続税額が生じる人は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日です。)から10カ月以内に申告書を納税地に提出しなければならない、と定めています。この規定の主語は「財産を取得した人で……相続税額が生じる人」であり相続人等のことです。また、述語は「申告書を納税地に提出する」ということになります。
 これは、どういうことをいっているのかといいますと、相続税の申告は、亡くなった人の住所地の所轄税務署ではなく、各相続人がそれぞれの住所地を管轄する税務署に、バラバラに申告することを規定しているのです。


  

実際には亡くなった人の住所地の所轄税務署に申告することになっている

 

相続税法でそのように規定していますが、実際には、亡くなった人の住所地の所轄税務署に、相続人全員で申告することになっています。その理由は、現行の相続税法は昭和25年4月1日に施行されているのですが、同法の「附則」において、「相続又は遺贈により財産を取得した者の当該被相続人の死亡の時における住所がこの法律の施行地にある場合においては、当該財産を取得した者については、当分の間、納税地は……被相続人の死亡の時における住所地とする。」と規定しているからです。

相続人等がまとめて一か所の税務署に申告することは、税務署側にはメリットがあるが、納税者の側では?

このように、亡くなった人の住所地に全員で申告することにより、税務署にとっては、監理が容易になる点でメリットがあります。一方、納税者である相続人等にとってはどうでしょうか。
 人が亡くなると、遺産相続の話合いが行われますが、49日の法要で遺族が集まった時にスタートする場合も多いでしょう。それに伴い、相続税についても徐々に進んでいくことになります。
 この時に、相続税の申告書の提出先が、亡くなった人の住所地の所轄税務署であることは、相続人等が近隣に居住している場合には不便はないでしょうが、遠方に住所がある相続人等にとっては、申告書を提出するまでに何度も足を運ぶことは、時間と費用の面からみて、負担は決して少なくはありません。この人からみれば、自分の住所地に申告したいと思うことでしょう。

相続税の申告書は各相続人等の申告の集合体

ここで、相続税の申告書の特殊性について書きます。相続税の申告書は、相続人等の全員でまとめて申告するのが普通ですが、税務申告という法律行為は、各人を別々のものと考えます。つまり、相続税の申告書は、申告した各相続人等の申告書の集合体であるといえます。
 別々の申告書であるとはいっても、相続税を算出するには相続財産の総額を把握することが必要であり、相続人等の全員がまとまって申告書を作成し提出するのが一般的です。
 しかし、人によっては、他の相続人とは別に申告することもあります。それでも申告としては問題ありません。

別々に申告した内容が一致しないと

ただし、その場合でも、相続税の総額や各人の税額の計算が一致していることが必要です。現実には、別々に申告書を提出するケースというのは、遺産の分割について相続人同士で折り合っていない場合が多く、遺産の内容が相続人の一方に十分に知らされていない結果、相続税の総額が双方で一致していないことになり、後々、相続人同士だけでなく税務署も悩ますことになります。
 当然のことながら、税理士も大いに悩まされることになります。相続人が複数のグループに分かれ、各グループが別々の税理士に申告書の作成を頼んでいることもよくあります。このような場合には、遺産の詳細を把握していない側のグループの申告内容は、当然の結果、「自分はこれだけ相続したのだ」というような自己主張満載のものになります。

不一致の申告書の提出を受けた税務署

この場合に、税務署の対応は一つです。
 相続財産を正しく把握し、双方が一致した正しい税額計算をするようにします。つまり、税務調査を実施する訳です。大変に手間のかかる調査となりますが、その苦労話は、次号で書きましょう。

税務総合戦略室便り 第67号(2015年06月01日発行分)に掲載

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