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税務見聞録~多税に無税~第21回 
不正Ⅴ

第69号(2015年08月01日発行分)

執筆者4

利益調整

読んで字の如しということで、利益を調整することです。企業が考える利益調整とは、その事業年度の利益予測を見据えたうえで2~3ヶ月前から、売上については出荷を控えたり販売をストップしたり、生産数量・購入数量を減らして販売や在庫を増やさないようにしたり、在庫でデッドストックとなっている商品製品を廃棄処分することです。
では、税務職員の考える利益調整とは、多くは「利益調整=不正計算」いう概念があるのではないでしょうか。利益を圧縮する目的で決算末に帳簿等を操作することで税金を少なくする行為と捉えています。実態を伴わないことが多いです。例えば、よく使われるのは、在庫除外、売上の繰り延べ、仕入及び経費・資産の繰り上げなどがあります。
「在庫除外」。実際には現物はあるのに拾わずに在庫がないことにしてしまうということですが、この場合、実地棚卸の際に最初から拾わない場合と一度は拾うが棚卸表を作成する際に集計に含めないなどがあります。しかし、人の手によって棚卸しがされ集計されるわけですから棚卸しの際に拾い忘れることや集計時に転記漏れをしてしまうミスもあります。そのミスが不正と判断されるかどうか。
結論から言いますとケースバイケースです。もっと言ってしまえば、その調査官の判断次第ということになります。売上、所得金額、計上在庫金額などを総合的に考慮して判断することになります。大量な在庫のうち、ひとつやふたつ漏れていて金額も多額でなければ単なるミスとなるでしょう。しかし、適正在庫の三分の一計上がなく所得金額が半額になっていたとしたら調査官は意図的な所得隠しだとして重加算税を課そうと頑張ります。このように、在庫については数量の把握漏れであっても不正と判断されかねないのです。本当に棚卸し数量を単純に拾い忘れていたり、集計ミスであったりした場合、間違っても「利益を圧縮するための在庫を一部計上しなかったと判断されても仕方ない」などとはいわないことです。
 「売上の繰り延べ」。決算までに商品が出荷している、役務の提供が完了している、物の引き渡しが終了しているけど、利益を出したくないとして納品書などの日付を翌月にしてしまうと書類の改ざんによる行為となり不正となります。
 「経費等の繰り上げ計上」。決算以降に購入納入された仕入や経費、減価償却資産を決算までに納入されたように納品書等を発行してもらい経理処理すると不正計算となります。
 減価償却設備で特別償却の対象設備や耐用年数が短く高額なものなどは、少しでも早く計上し償却費計上することにより利益を少なくさせたいと考えます。今期は利益が出ているので少しでも減らしたいと考えたら1か月でも償却費を計上できればとなります。決算月以降に納入し事業の用に供しているにもかかわらず、決算月に購入したようにしてしまえば不正となってしまいます。しかし、機械なら製造プレートや電力契約、付帯費用など周辺から判明します。また、設備の廃棄の際にも利益状況を見据えて今期にするか来期にするか判断します。決算までに処分できればいいのですが、業者の都合で決算期以後になってしまうことがあります。さあどうしますか。これまでの経験から多くの企業は業者に依頼して請求書日付等を決算月にして発行してもらっていました。これも不正計算となってしまいます。売却の場合でも、売却益となるか売却損となるかにより、今期に処分するか来期にするか当然考えることになるでしょう。売却益であれば来期の計上にしたりするでしょう。また、売却損の場合、決算までに処分して損金計上することを考えるのではないでしょうか。
利益調整の多くは決算間際になんとかしようとすることに問題があるのです。利益計画のなかで利益予測を見誤らなければ在庫の調整、売上の調整、経費計上の調整、固定資産の除売却による損益もコントロールできるのです。場当たり的な処理が税務調査を呼び込む原因であること、そして否認されるということです。決算書申告書は正直なものなのです。

税務総合戦略室便り 第69号(2015年08月01日発行分)に掲載

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