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オーナー企業と役員給与

category: 節税法人税所得税
第69号(2015年08月01日発行分)

その他

1 役員給与の原則的な考え方 

オーナー企業の法人税の節税対策を考えた場合、役員給与を増額するという方法が考えられます。しかし、役員の給与は以下のいずれかの条件に該当しなければ、損金の額に算入することができません。(利益連動給与の損金算入については、オーナー企業には関係ありませんので省略します)

  • 事業年度開始の日から三月を経過する日までに、毎年所定の時期に改定されている給与で、各支給時期の支給額が同額であるもの。(定期同額給与)
  • 株主総会等から一月を経過する日までに事前に届け出た給与(事前確定届出給与)
     このように、損金算入が認められる役員給与は、事業年度開始当初に改訂又は確定させておく必要がありますので、期末に利益操作の調整弁として、臨時的に役員給与を増額する事はできません。

 つまり、節税対策として役員報酬を有効利用する場合には、その期の利益予想を予め適切に予測する事が出来なければ、効果的な対策にならないケースが生じますので、この点が重要なポイントです。

2 役員の個人所得と法人の課税所得との関係

役員給与の金額を決定するにあたって、もう一つ重要なポイントは、個人の給与と法人の留保利益とのバランスをどのように考えるのかという点です。役員給与を増額することにより、法人側の課税所得は減少し、法人税の節税につながりますが、オーナー自身の所得税の課税所得は増額しますので、両者は相反関係にあります。 
 オーナー企業の節税対策を考えた場合、会社も社長自身も一体であるという前提の下では、所得税と法人税の合計額を最少化させることが重要となりますので、所得税率(最高税率が55%の累進税率)と法人の実効税率(約35%)を考慮して役員報酬を決定する必要があります。また、役員給与を増額する事は、社会保険料の増額にもつながりますので、キャッシュの流出という点では、この点も考慮する必要があります。
 つまり、一定額以上の高額所得者の役員の場合は、役員給与を多く取りすぎることは、法人個人を一体で考えた場合、節税対策につながっていないケースがありますので、家族に勤務してもらい、分散支給するという方法も典型的な節税対策としてよく利用されています。
 また、所得税の節税のために、役員給与を抑えて、会社から生活費の一部を借り受けるという方法も考えられますが、会社の帳簿に役員貸付金が計上されている事は、銀行対策上、問題が生じる可能性があります。また、法人側で貸付金に対する適正利息の計上が必要になります。

3 役員給与の期中での改訂

上述したように役員給与の金額は、会社の将来の業績予測と法人と個人との間の所得のバランスを考慮した上で決定する必要がありますが、いずれにせよ役員給与の金額は事業年度開始当初に決定しなければならないのが原則です。したがって、ここでは、臨時的な役員給与の増額で損金算入が可能なケースについて検討してみます。
 一つ目は、法人の役員の職制上の地位の変更や役員の職務の内容に重大な変更等(臨時改定事由)が生じた場合です。平取締役が、期中に代表取締役になった場合等がケースとしては考えられますが、あくまでも、臨時改定事由発生の有無に影響されますので、利益調整の面から利用することはできません。
 二つ目は、決算期を変更するという方法が考えられます。上述しました定期同額給与の損金算入条件は、「事業年度開始の日から三月を経過する日までに給与を確定させること」と規定されています。したがって、その期の将来の利益が見込めそうな場合は、決算期を変更し、変更後の事業年度開始の日から三月を経過する日までに役員給与を改訂する事により、定期同額給与の条件をクリアすることができます。
 また、役員給与の改訂とは異なる視点になりますが、オーナー自身の節税対策として重要なポイントは、個人的に負担すべきものか、会社の経費に計上できるものかについて判断に迷うケースがあった場合に、会社の損金性を認めてもらうために、事業との関連性をどれだけ合理的に説明できるのかどうかという点ではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第69号(2015年08月01日発行分)に掲載

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