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税務見聞録~多税に無税~第22回 
不正Ⅵ

第70号(2015年09月01日発行分)

執筆者4

架空仕入れ経費(69号より続く)

不正のパターンとして3つあります。これまで、売上除外、在庫などによる利益調整について記述してきましたが、今回は3つめのパターンである架空計上について記述していきます。
 架空計上の種類には仕入、外注費、人件費、その他経費、資産があります。
 これまでの売上・在庫除外と架空計上の大きな違いは、原始記録、証拠書類があるかないかにあります。売上を除外するということは帳簿に記載しないことですので、納品書、請求書、領収書を保存しない、もしくは破棄するわけです。在庫除外にしても棚卸表に記載していないことや記載していても集計に含めないということになります。税務署は書類の保管がないものについて調べるわけですから一朝一夕にはいきません。なんらかの端緒がない限り売上除外の取引先に行きつかないのです。しかし、架空計上の場合、仕入、外注費、経費として帳簿に記載していくのですから何らかの証拠書類が必要になります。そのため、納品書、請求書、領収書など痕跡は残ることになります。取引先がわかれば管轄税務署への照会、反面調査、銀行調査へ発展させることは容易となります。
 架空仕入、架空外注費は納品書、請求書などの証拠書類及び支払決済から追跡し、さらに、仕入や外注費は売上に対応する直接原価となりますので、この原価が売上に反映しているかどうか調べます。納品書、請求書から書式が市販のものか、市販のものであれば販売されている時期はいつのものか、エクセルで作成できるものか、会社名、住所などが印字されているものか、ゴム印で押されたものか、そのゴム印の印影が鮮明であるか文字がかけているかというように証拠書類1枚にも判断する材料はいくつもあるのです。支払いは現金、振込み、手形、小切手によって想定も違ってきます。現金は一番不審に思われます。小切手、手形は、取立銀行はどこか取立人はだれか、振込みであれば振込銀行・振込先はどうか。さらに、当該仕入先、外注先の申告状況は、振込銀行は公表銀行か等調べる手立ては売上除外よりも幅広いと思います。架空計上であれば、相手方に請求書の作成発行を依頼することになりますので、発覚するリスクは非常に高いものとなります。しかし、そのリスクを負っても架空計上を行う企業はあるということです。
 架空経費、特に人件費の場合は、タイムカードを作成したり出勤簿を作成したりと実在しているように書類を整えますが、本人確認すれば解決してしまいます。架空旅費もよく使うパターンですが、チケットや宿泊に係る証憑類があります。なかには旅費規定を策定して旅費精算書のみで支給する方法もありますが、遠方に出張しているにもかかわらず都内にいるなんてことがありますよね。
 これらのものは支出及び計上時に費用として処理され、継続的または多額な金額になることがありますので、発見される確率は高いものです。
 架空資産の多くは減価償却資産ということになります。減価償却資産ですので時の経過により少しずつですが経費となっていくわけです。一時的に多額な金額を捻出する際に使用されていることが多いのではないでしょうか。減価償却資産となると現物確認していきます。減価償却台帳に記述があって現物がないとなると簡単にわかることになります。そのため、本体自体を架空計上するというよりも、価格の水増し計上ということが多いのではないでしょうか。資産計上して現物があれば問題ないわけですからね。さらに、資本的支出も現物があるものに付加していくものですので実は確認しにくいものです。しかし、修繕費計上よりも資本的支出として資産計上していると調査官としては経費としていないためそれ以上は検討しないこともあります。証拠書類は存在するため架空計上などしてもいずれは発覚するリスクは高いと思います。

 以上、6回ほどにわたって連載してきましたが、不正計算を行ったとしても必ず発覚すると思います。税務職員は、完成された決算書を積み木崩しの如く崩すプロです。国税組織をなめてはいけませんよ。

税務総合戦略室便り 第70号(2015年09月01日発行分)に掲載

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