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オーナー社長と所得税の損益通算

category: 法人税所得税
第70号(2015年09月01日発行分)

その他

1 損益通算とは

オーナー社長が、会社から役員給与を受け取った場合、所得税が課せられるわけですが、所得税率は累進課税制度となっており、比較的収入が多いオーナー社長にとっては、その負担が大きくなるケースがあります。現状、所得金額が1800万円を超える部分は50%の税率(住民税含む)負担となっているため、50%の高税率が適用されるオーナー社長もたくさん存在するものと思われます。
 また、所得税を計算するにあたっては、損益通算という制度があり、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得(一般的にその頭文字をとって不事山譲(ふじさんじょう)といわれています)の4つの所得については、損失が生じた場合、他の所得と相殺できることになっています。
 したがって、所得税の節税対策を考えた場合、損益通算可能な所得に係る損失を、オーナー自身の高額な給与と相殺し、確定申告で所得税の還付を受けるという方法が考えられます。

2 損益通算できる所得

(1)不動産所得

オーナー自身が副収入獲得を目的に収益物件を保有し、不動産所得を得ることがあると思います。この場合、投資初期の段階では、必要経費が大きくなり、損失が生じることもありますので、役員給与との損益通算が可能です。
 不動産所得には、いわゆる「5棟10室」の事業的規模の基準があり、この条件を満たさないと青色申告控除65万円等の優遇税制の適用を受けることができませんが、損益通算については、事業的規模の要件はありませんので、小規模の不動産収入でも損失が生じれば、損益通算は可能です。
 また、損益通算する金額を大きくするために、米国の木造不動産を購入するスキームがよく見受けられます。米国の不動産は、土地より建物の価格を高く評価する傾向があり、さらに、中古の木造物件であれば最短4年で償却が可能となるため、初期に多額の減価償却費を計上することができます。
 しかし、上記の減価償却を利用した不動産投資スキームは、組合経由での投資では、損益通算ができませんので、個人で直接保有する事がポイントです。また、米国のLLCやLPSといった事業体経由での不動産投資も、これらの事業体は日本で法人として扱われる可能性があるため、上記の損失取り込みスキームは、現状ではリスクを伴う可能性があります。

(2)事業所得

事業所得についても損失が生じた場合、損益通算は可能ですが、注意すべき点があります。事業所得は、字のごとく事業的規模で行っている事が前提となりますので、小規模の場合や事業性が希薄な場合、雑所得と認定される可能性があり、そのようなケースでは、他の所得と損益通算する事はできません。
 現在、太陽光発電に伴う売電収入が脚光をあびていますが、当該事業も事業所得に該当するのか雑所得に該当するのかを発電量やどこまで自己で管理を行っているか等を見極めたうえで検討する必要があります。

(3)譲渡所得

譲渡所得は、原則、損益通算は可能となっていますが、不動産と有価証券の譲渡所得は申告分離課税となっているため、株投資や不動産売却により譲渡損が生じた場合は、役員給与と損益通算する事はできません。(不動産譲渡所得内又は有価証券譲渡所得内での利益と損失の相殺は可能です)
 ただし、マイホームを買い替えた場合の譲渡損失については、一定の要件を満たす取引に限り他の所得と損益通算できるケースがあります。
 また、ゴルフ会員権の譲渡損も税制改正により平成26年4月1日以降は、損益通算ができないことになり、生活用動産の売却損等も損益通算できませんので、譲渡所得による損失で他の所得と損益通算できるケースは個人事業用の車両の売却等、ケースとしては、それほど存在しないものと思われます。

税務総合戦略室便り 第70号(2015年09月01日発行分)に掲載

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