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オーナー会社の株価を下げる

第71号(2015年10月01日発行分)

執筆者6

今回は、オーナー会社の株価の引き下げに焦点を当ててみます。
 このオーナー会社の株式を相続・贈与した場合の評価は、「相続税財産評価基本通達」という国税庁長官通達に基づいて行います。
 このようなことを書くのはなぜかというと、この通達の改正の歴史が、納税者側と国税庁との間の、ある意味で戦いの歴史でもあったからです。かつて、株価を下げる多数の手法が開発・活用される事態が発生した結果、通達の大幅な改正がなされました。平成2年のことです。
 それから25年が経過した現在においても、それがベースになっています。この改正によって、特に、株式保有会社や土地保有会社を設立することで株価を引き下げるスキームの節税効果が大幅にダウンすることになりました。そして、この状況が現在も続いています。したがって、非上場株式の評価額を下げるためには、中長期的な方策と短期的方策をブレンドさせた、きめ細かなプランニングを行うことが非常に重要になります。
 次に、具体的な方法に入りたいと思いますが、その前に、評価方法を簡単に説明します。非上場株式の評価方法には、同族株主の場合の原則的評価方式と、少数株主等に適用される配当還元方式があります。株価対策とは、この原則的評価方式の評価の問題であります。この原則的評価方式には、類似業種比準方式と純資産価額方式があり、会社の規模や状況によっていずれかの方式か、両方の評価額を折中する方式に区分されます。したがって、株価対策とは、この類似業種比準価額と純資産価額をいかに安くできるかということになります。

会社と自分の現状を整理する

中長期的な方策・短期的な方策があること、また、類似業種比準価額と純資産価額について触れました。そして、このことを前提にして、効果的かつ合法的な株価対策を行うには、先ず、会社の現在の状況・過去において実施した施策、そして株主本人の年齢、家族構成、将来の事業承継方針等を客観的に把握・整理することが大事です。そして、その上で、採り得る方策及び最も効果的な方策を抽出し、検討していくことになります。

役員退職金の支給は株価引下げの王様

ここから、代表的な方法を掲げたいと思います。当該役員が生前に引退し、退職金を支給することにより株価を下げる方法です。株価を下げた上で、子や孫に贈与するスキームです。この場合に重要なことは、先ず、役員が形式・実質ともに退任することです。
 次に、退職金は、法人税法上、過大であるとして国税当局に否認されない範囲で最大限の金額を支給することです。金額が大きい程株価は下がることになります。会社の損金が増えて法人税の課税所得金額が減少することで、類似業種比準価額が安くなる一方、支払原資の預貯金が減少することで純資産価額も安くなります。その意味で、この方法は、株価引下げの王様であるといえます。
 この方法は、市販の対策本には必ず載っている方法ですし、今やファイナンシャルプランナーの教科書にも載っているぐらいですから、顧問税理士が的確な指導をしていると思いますが、現実には、そうでない場合もあるのには驚かされます。
 先程触れた株主本人の状況、中長期的・短期的観点からの見極め、支払金額の判断、あるいは、将来の支払退職金に備えた会社契約の生命保険がある場合の対策等、さまざまな状況を咀嚼するということは、時間も必要であり、無理もないとも思えます。

セカンドオピニオンが救う

さて、この話に飽きたので、ここで話を変えます。
 小生、人間ドックのオプション検査で異常値が出たため、精密検査を著名な某病院で受けました。診察の冒頭から、癌の可能性があるので危険を伴う検査が必要で、自宅の近傍の病院で検査するよう紹介状を書いて終了しました。
 小生、ネットで名医として評判の大田区の専門医を訪ね、診察を受けたところ、エコーと触診により素人目にも明らかな細かい状況説明をしていただき、当該検査は不要であるとの診断を得ました。医師によるスキルの差を思い知ると同時に、セカンドオピニオンによって時間と費用と健康を失わなくて済んだことに感謝し、「小生の仕事もかくあらねばならぬ」ことを改めて決意した次第です。
 寄り道したので次回に続きます。

税務総合戦略室便り 第71号(2015年10月01日発行分)に掲載

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