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元国税調査官のひとりごと 第13回 
出張手当

category: 消費税法人税
第72号(2015年11月01日発行分)

伊藤 徹也

本来旅費については、要した費用の実費弁証としての色合いが大きいものですので税務的にも給与に含めないものとされています。
 しかし、実費部分だけを非課税にするという考え方を厳格に貫くとすべての旅行を実費精算しなければならなくなり、手続きが大変な手間となってしまうことから、通常必要と認められる範囲内であれば、定額方式の支給でも給与課税しないこととされているのです。

2 日当

出張手当(日当)となると少しニュアンスが変わってきます。
 日当は、旅費とは違い、勤務地を離れて業務に従事する際に出張に伴う精神的・肉体的疲労に対する慰労や諸雑費の補てんといった意味合いで支給されるために税法上給与として扱われません。
 金額が、社会通念上妥当な範囲であれば非課税となります。
 しかし、日当を経費にするためには、「出張旅費規程」を作成するなどの事前準備をしておく必要があります。
 金額は、個々の業績や業界によっても差があるのですが、宿泊有の場合で、役員で1万円程度、従業員で5千円程度が多いようです。この範囲であれば、税務調査においても指摘されるリスクは低いと思いますが、役員だけ著しく高い場合は、否認される可能性が高まることになります。
 その他、「旅費精算書」などの事実確認書類の保存が必要になります。その中には、当然、ホテルの領収書などを残しておくことで、出張の事実を立証しておく必要があります。また、金額の妥当性についても立証できる何らかの書類を残しておくことも重要です。そういったことの不備により、いわゆるカラ出張と認定されるようなことは避けたいものです。
 また、出張手当に充てる目的であっても、年額で支給している場合などは、職務の遂行に関連した支給と認定され、給与課税される可能性があります。
 そういった意味で、旅行の都度、速やかに精算しておく必要があるのです。
 「出張旅費規定」に定められた標準的な実費額と実際にかかった費用が、著しくかい離するような場合は、別途協議により差額精算しておくことも必要になってきます。

3 国家公務員の旅費

あくまで参考としてですが、「国家公務員等の旅費に関する法律」では、日当について、目的地である地域内を巡回する場合の交通費及び、旅行中の昼食代を含む諸雑費を補うための旅費とされています。
 金額的には概ね、目的地内の交通費等が半分、昼食代等が半分という構成といわれています。
 宿泊料については、宿泊料金、夕食代、朝食代及び宿泊に伴う諸雑費に充てるために支給される旅費とされています。
 食卓料については水路や航空機による出張の場合に宿泊料が支給されないのでこれに代わって、朝、夕食及びこれらに伴う雑費に充てるために支給される旅費とされています。
 金額は、職務の級により細分されていて、最高級である、内閣総理大臣および最高裁長官でも日当3800円、宿泊代19100円、食卓料3800円となっています。
 国税調査官の頃は、高額な旅費日当が支給されている会社では、社長様に対して、「総理大臣でもこの程度なのですよ」等と説明した記憶があります。

4 消費税の取り扱い

出張旅費の消費税の扱いとして国内の出張や転勤のために支給される出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当で通常必要であると認められる金額までは、消費税の控除対象にすることができます。
 もちろん、海外への出張や転勤については、消費税の控除対象にはなりませんのでご注意ください。

5 まとめ

出張手当についてここまでいろいろと述べてきましたが、会社では費用(経費)となりますし、受け取った役員や従業員の方は、原則非課税となります。
 金額が著しく高額であったり、事前準備の不整備によっては、税務リスクも高い科目となりますが、金額をあまり欲張らず、必要な書類を整えて、通常必要な範囲までの支給にとどめれば、有効な節税ツールになるのではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第72号(2015年11月01日発行分)に掲載

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