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元国税調査官のひとりごと 第14回 
ビットコインって何?

category: 節税その他
第73号(2015年12月01日発行分)

伊藤 徹也

先日知り合いに、ビットコインって何?と聞かれました。
 こういう仕事だからってお金の話(コインって付くから)は何でも分かるというわけではないのですが……とりあえず調べてみました。

1 ビットコインの始まり

難しい定義もあるようですが、簡単に言うと、インターネット上で取引できる「仮想通貨」で、2009年に登場し、「ナカモト・サトシ」と名乗る人物の論文に基づいて仕組みができたとされています。(ビットコイン考案者と報道されましたが、本人は終始否定していて、現在訴訟中)
 円やドルといった既存通貨と交換することができたり、物品の購入、海外送金で利用できたりと利便性と手数料の安さが話題となり急速に普及しました。

2 マウント・ゴックスの破たん

しかし、昨年の4月に既存通貨との交換所「マウント・ゴックス」が経営破たんし(負債約87億円)、85万ビットコイン(当時のレートで約114億円)が消失した事件が新聞紙上をにぎわしたことは記憶に新しいことと思います。
 さらに、今年の8月には、マルク・カルプレス社長が逮捕されたこともあり、再び注目を集めています。

3 日本と米国の違い

この事件を受けた政府は、ビットコインに関する答弁書をまとめました。
 それによると、ビットコインは、「通貨に該当しない」「存在を位置づける法律がない」ということでしたが、今年の6月には、「モノではない」「価値を持つ電磁的記録」という中間報告を自民党のIT戦略特命委員会が出しました。
 つまり、破たんした場合には、ただの紙切れではなく、ただの電磁的記録となるということだと思います。
 一方米国では、2014年7月17日、ニューヨーク州で規制案を発表。「ビットライセンス」と呼ばれる免許制を導入し、ビットコインの取引所などに消費者保護策(取引所に一定量の仮装通貨の保有を義務づける)や、マネーロンダリングの防止策(取引記録の保存)を義務付けるとしています。
 米国内のマネーロンダリング悪用の発覚や、「マウント・ゴックス」の経営破たんを重く受け止めての規制案とみられます。
 日本と米国では、考え方に温度差もあるようで、そのあたりが今後の課題として残りますが、ビットコインのような仮想通貨は今後も拡大していく傾向にあるようです。

4 税務的に見ると

元国税調査官の目線でいうと、実名ではなく、アドレスで取引すること、紙などの3次元的実態が無いこと、本人しか知りえないパスワードによる保護もあることなどを考えると、ビットコインを悪用した財産隠匿などの事例が出てくることが危惧されます。
 アドレスと実名のマッチングやパスワードの入手、取引所への反面調査など、課題は山積みだと思います。
 税務調査はますます複雑で難しいものになりそうです。
 個人的な予想ですが、近い将来、それも、案外早い時期に、「ビットコインを使った脱税事件で○○逮捕」といった見出しの報道がされるのではないかと危惧しております。

5 ビットコインの今後

しかし、ビットコインがこれほど急速に拡大しているのは、それだけ社会に、それも世界的にニーズがあるからだと思いますので、将来的には法整備も進み、安全なものになっていくのではないでしょうか。
 事実、2015年7月16日、FX大手のマネーアンドパートナーズグループがビットコインの取り扱いを検討していると報道されたり、ビットコイン取引所「クラケン」を運営するペイワード社との提携を検討していると報道されています。
 世界的取引高は昨年の1・5倍、国内でもビットコインを取り扱う店が、急増するなど、急速にその規模を拡大させています。
 興味をお持ちの方もみえると思いますが、個人的見解ではありますが、現状ではリスクもかなり高いし税務的な取り扱いも明確でありません、もう少し待って、仕組みが確立されてから利用しても遅くはないのではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第73号(2015年12月01日発行分)に掲載

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