前号で情報の選択と使い方を誤り、安易な節税対策に飛びつくことで税務調査におけるリスクが高まることを記載しました。そこで、今号から代表的な「節税対策」について税務調査で否認された事例を交えながらいかに情報の選択と使い方が重要であるかを紹介したいと思います。
初回は「決算賞与」について紹介します。
インターネットで「決算賞与 未払」と検索すると約4万件ヒットします。また、市販の節税本にも「利益が出たら決算賞与を未払計上すれば節税になり、従業員のモチベーションも上がる。」と書いてあることから、経営者の皆様もご存じの方も多いと思います。
決算賞与について実際にインターネットの記事・節税本の内容を見てみると、書いてあることはほとんど同じです。つまり①未払計上するには3要件が必要であること②3要件のひとつである「通知」の具体的な方法及び注意点について法人税法及び通達に記載されている内容をそのまま記載してあるだけです。
ここでは、法律の内容については詳細に記載しませんが、抑えるべきポイントは、①従業員に対する賞与は原則支給時に損金算入できること②例外的にいわゆる決算賞与について未払計上するためには、3要件を満たす必要があることの2点だけだと思います。その3要件は①支給額を同時期に従業員全員に通知すること②通知したすべての従業員に事業年度終了の翌日から1月以内に支払うこと③損金経理することです。法律に明確にこの3要件が規定されているため、わかりやすい規定になっています。しかし、不思議なことに私が調査官時代から今現在においても税務調査において決算賞与の未払計上に係る3要件を満たしていないために指摘されるケースが後を絶ちません。
いわゆるグレーゾーンではなく、法律に明確に要件が記載されているにも関わらず、なぜ誤りが多いのでしょうか。誤りのタイプを分類すると次のように分類できると思います。
税務総合戦略室便り 第73号(2015年12月01日発行分)に掲載
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