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オーナー会社の株式の分散化を避けるために(2)

category: 自社株
第74号(2016年01月01日発行分)

執筆者6

前回に引き続き、主要な相続財産がオーナー会社(非上場会社)の株式であり、オーナーの相続においては株式を事業後継者以外の相続人にも分けざるを得ないような場合について、その対策を検討します。
 前回は種類株式について触れましたが、今回は代償分割についてです。

代償分割とは

社長に相続が開始した場合に、遺言がなければ、法定相続人の全員により協議を行い、誰が何を相続するかを決め、遺産分割協議書を作成することになります。その場合の遺産分割の方法には種類があり、現物分割、換価分割、そして代償分割があります。その内の代償分割について考えてみます。
 代償分割とは、例えば、故人の財産が分割相続できない不動産が大部分である場合に、その財産を後継者が相続して、その後継者は自分の固有財産を他の相続人に渡すという遺産分割のことをいいます。
 この代償分割の対象となる遺産は、不動産だけではなくオーナー株式についても当然可能です。
 故人の財産の多くが株式である場合に、事業承継者が安定的に会社経営を行うために、その株式の全部あるいは大部分を相続すると、他の相続人と相続する額のバランスが不均衡になり過ぎて、全員の了解がとれず遺産分割協議が成立せずに紛糾する事態を招くことになりかねません。これでは相続ならぬ争続になってしまいます。

代償分割協議書の作成例

遺産分割協議書は、決められた書式はありません。ただし約束事はあるので、
作成に当たっては専門家に依頼することをお勧めします。
 次に、代償分割の部分の記載の一例を掲げます。
遺産分割協議書
 1 遺産分割 
 (1)A株式会社の株式1万株は、相続人甲が相続する。
  ……
 2 代償財産
 相続人甲は、A株式会社の株式1万株を相続する代償として、相続人乙及び相続人丙に対し、各3千万円を支払う。

代償分割を行う場合のメリット・デメリット

①以上のようにオーナー株式を代償分割することで、株式の分散化を防ぐことができます。(メリット)
 ②当然のことですが、事業後継者は、他の相続人に対し代償財産を支払う経済的負担があります。
 そもそも代償分割をするということは、オーナー会社の株価が相当高額になっているわけですから、代償債務は高額になります。(デメリット)
 そのため、資金を借りることが必要になること場合もあります。
 ここで、金銭ではなく事業承継者が所有する不動産等を渡すとどうなるでしょうか。この場合には、代償債務を弁済するために物を売却したことになり、事業承継者に譲渡所得税が課税される場合があります。(デメリット)
 したがって、代償債務は第一義的には金銭で支払うべきと考えます。
 いずれにしましても、具体的には専門家に相談することをお勧めします。
 ③また、配当もわずかしか見込めず市場で換金化できない同族株式を相続するよりも、金銭をもらった方が事業承継をしない相続人の納得は得られ易いとも考えられます。(メリット)
 事業承継者からみた場合には、他の相続人が株式を相続した場合には、たとえ前回触れた種類株式を発行した対策をとったとしても、いずれは買取りの請求がなされる可能性が高く、その時の買取価格は、その時点での時価が原則となり、相続開始後、事業承継者の経営努力により上昇した分も含めた価格になってしまいますが、しかし、代償分割であれば、相続時の価格で精算されることになるので、株価が右肩上がりの場合には、大きなメリットとなります。

オーナー会社の株式の時価と相続税評価

ここで、オーナー会社の株式について代償分割する場合に避けて通れない問題があります。
 それは、オーナー会社の株式すなわち同族株式の相続税評価と時価評価の問題です。ここで、紙面が尽きました。
 次回は、このことについて考えてみたいと思います。

税務総合戦略室便り 第74号(2016年01月01日発行分)に掲載

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