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税務総合戦略室 室長通信 第四十二回 
税理士が生き残るために

第75号(2016年02月01日発行分)

執筆者1

消える仕事

少々旧聞に属する話ですが、1年ほど前、英国オックスフォード大学で人工知能などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が発表した『雇用の未来―コンピュータ化によって仕事は失われるのか』という論文が世界中で話題になりました。
 論文では702の職種について今後コンピュータに取って代わられる確率を試算しています。代わられる確率が90%以上、すなわち消える可能性の高い職業として「スポーツの審判」「レストランの案内係」「レジ係」「カジノのディーラー」「ネイリスト」「保険の審査担当者」「銀行の融資担当者」など38種類が挙げられています。
 残念ながらその中には我々会計業界に関係する職業が3職種も含まれていました。「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」「データ入力作業員」です。
パソコン、会計ソフト、申告書作成ソフトの普及により、かつて税理士事務所の主要な仕事であった「記帳代行業務」の需要は大きく減少しました。お客様自身で帳簿をつけ、決算書を作成し、税務申告書の作成までも容易に行うことが可能になったのです。
 これから税理士が生き残っていくためには、機械では行うことが難しい、よりクリエイティブな仕事を行っていくしかないでしょう。進化を続けるIT技術をライバルにしていては勝ち目がありません。
 マイクロソフト創業者のビルゲイツも「創造性を必要としない仕事はすべてテクノロジーに代行される。」と語っています。

一般的な税務対策

一般的な節税策に関する情報は、書店やインターネットで簡単に手に入れられるようになりました。決算の利益を圧縮するための対処療法的な税金対策をアドバイスすることだけでお金をいただける時代ではなくなっています。
経営者のニーズは簡単に入手できる当たり前の節税対策では足りない何かを充足してくれるものにあるのです。
 考えてみれば多くの節税対策はいくつかのパターンに定型化することができます。現在の進化したIT技術を使えば会計データを基に会社の状況に適した節税商品なり対処方法をコンピュータが自動的に選び出してくれる時代が来るでしょう。
 当期の利益を先送りするための「節税保険」「航空機リース」「太陽光発電」「短期前払費用」、相続税圧縮のための「タワーマンション」etc.…いずれも書籍等でさかんに節税対策として喧伝されているものです。これら巷にあふれているような節税対策をご提案したとしても、お客様の反応は、おおむね「それはこの前銀行がもってきました」「すでに実行しています」「もっとウルトラC的な対策はないでしょうか」ということになってしまうでしょう。しかし「ウルトラC」といっても、簡単にはそのような方法が見つけられないことも事実です。税務当局も毎年税制改正を行って税の抜け道を塞いでいるからです。

戦略的な税務対策

私達『税務総合戦略室』では、サービスを開始した当初から「戦略的な税務対策を能動的にご提案いたします」と宣言してまいりました。
 宣言しているからには、法の範囲内で顧問先が1円でも無駄な税金を納めることの無いよう、専門家としての矜持を持って知恵を絞っていかなければ、お客様との約束を果たせません。
 巷にあふれる一般的な節税策を超えた、本当に価値ある戦略的な税務対策とはどのようなものでしょうか。
 昨年末、池井戸潤さん原作、直木賞を受賞した「下町ロケット」がドラマ化され、大きな注目を集めました。
 その中で、商売敵の大手メーカーから特許侵害で訴えられた主人公の会社「佃製作所」を救う神谷という弁護士が登場します。
 佃製作所が父親の代から付き合ってきた顧問弁護士は知的財産を巡る訴訟の経験に乏しく、窮地に追い込まれてしまいます。そこで主人公は弁護士を変更し、知的財産訴訟のスペシャリストである神谷弁護士を顧問とします。
 神谷弁護士は専門知識を駆使し、逆提訴を含め様々な方策を講じて敗色濃厚であった裁判を大逆転で勝訴に導き、佃製作所の窮地を救います。それだけにとどまらず、佃製作所が研究開発した技術に関する適切な特許見直しの指南を行ったことが、日本を代表するメーカー帝国重工が開発する国産ロケットへの部品供給という成果につながるのです。
 小説の中では、この神谷弁護士は絶体絶命の会社のピンチを救うヒーローのように描かれています。
 ドラマの話といえども、このエピソードには専門家として社会貢献していくためのヒントがあります。弁護士には民事事件・刑事事件・労務問題・知的財産など様々な得意分野・専門分野が存在し、それぞれの分野の専門家が、発生した問題に対し自らの強みを生かすことでクライアントに最大限の利益をもたらします。
 また、クライアントは自身の抱える問題に適合していない専門家(弁護士)を選んでしまうことで、重大な損失を被るリスクもあるのです。
 税の世界にも様々な専門分野が存在します。税理士も弁護士と同様、各々の専門性・得意分野を磨き上げ、その強みを生かすことでお客様の税コスト削減のために最大限お役に立てるよう努力しなければなりません。

ストレスフリーの税務対策

オーナー経営者にとって、考えなければいけない税金の事柄は、毎期の利益に対する対症療法的な節税対策だけではありません。
 人生の中では会社の法人税、個人の所得税、ご家族の所得税、将来の相続税など様々な場面で税金から逃れることができません。特に毎期の利益の蓄積から発生する自社株高騰の問題や個人 財産の増加に伴う相続税の問題は「そのうちに」と思っているまま先送りにしてしまい、気が付いた時には手が付けられないほどのリスクとなっているケースが少なくないのです。
 昨年から開始した新しい税務サービス「税金ストレスフリーパック」では、このように常に漠然と不安に思っている人生のあらゆる税金について、私達に丸投げしていただくことで、専門家として問題を顕在化し、その問題を能動的にすべて解決していくというサービスを始めました。
 そのサービスを実現するために、『税務総合戦略室』では法人税・所得税・消費税・印紙税・国際税務・資産税それぞれの分野のスペシャリストを集め、その専門家集団がチームとして複数の目でお客様をお守りしていく体制をとっています。
 今期行ったある税務処理は将来の株価や個人資産の形成に必ず影響を及ぼします。これから行おうとする税金の対策が将来にどのような影響を及ぼすのかまで考えないと、本当にその節税策が正しいものなのかどうかはわかりません。
 そのためには毎期の利益に対する「フローの税務対策」と利益から積みあがった資産に対する「ストックの税務対策」を常に両輪で、同時並行的に考えていく体制が必要です。
 私達は会社と個人を一体として考え、また今期の節税対策と将来の事業承継・相続対策も一体として考えたうえでの戦略的な提案を能動的にご提案してまいります。
 単一税目だけのだけの税務対策だけでは最大メリットは得られませんし、グローバルな時代においては海外もからめた対策を考える必要も生じます。
 このように多税目、そして将来のことまでを考えた税務対策にはクリエイティブな想像力が求められます。強い棋士のように何手も先を考えながら最良の手法を選択するのです。
 私達はコンピュータ化が進む時代においても、日々変化するお客様の状況に合わせ、その都度最良と思われる税務対策をご提案し続けることで「消える職業」からの脱出を目指したいと思います。
 下町ロケットの佃製作所も事前に準備して、特許技術に関する法的な整備をしておけば、そもそも訴訟に巻き込まれなかったかもしれません。相手に付け込まれる隙を作っていたことが問題の始まりです。
 前号の会報にも書きましたが、問題が起こってからあわてて対処したり、税務当局と争ったりするのではなく、事前に準備し、十分な対策を取っておくことで問題を回避し、ストレスなく過ごすことができます。
 お客様の人生プランに沿った創造的かつ戦略的な税務対策をご提案し続けるため、私達もそれぞれの専門性を磨き続けお役に立ってまいりたいと考えています。

税務総合戦略室便り 第75号(2016年02月01日発行分)に掲載

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