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元国税調査官のひとりごと 第17回 
合同会社

第76号(2016年03月01日発行分)

伊藤 徹也

平成18年の会社法の施行から8年、合同会社という言葉を見聞きする機会が増えてきました。
 今回は、自分なりに合同会社の理解を書いてみようと思います。
 合同会社は、平成24年には設立件数1万件を超え今もその数は増え続けています。
 近年では、トヨタ自動車と本田技研工業など9社の共同設立法人や西友が、株式会社から合同会社に組織変更したり、アップルジャパン、日本ケロッグ、P&Gマックスファクターなど主に外資系の日本法人など有名企業も多く、その知名度も飛躍的に上がりました。
 株式会社と合同会社の違いを比較してみても、契約や税制面などで特に大きな違いはありません。
 また、出資者全員が有限責任である点も共通しています。

株式会社と合同会社の違い

両者の大きな違いは、株式会社が出資者と経営機関が分離しているのに対して、合同会社は出資者が社員として経営にも関与しますので出資者と経営者が一致することです。
 ですから、合同会社は株主総会や取締役会などの機関を通さず出資者間で直接合意をすることができますので、意思決定が速くできる点が最大の特徴ではないでしょうか。
 さらに、合同会社では出資比率に関係なく能力、業績に応じて利益配分を調整できます。
 株式会社の配当が出資割合に応じてされることと比較して大きな違いです。
 加えて、設立時にかかる費用が10万円以下程度で出来るため、株式会社に比べると約3分の1程度でできることも設立件数を増やした要因になっています。
 そういう意味では、小規模からスタートしたい経営者様に向いている企業体系となっています。

こんな方にお勧めです

     
  • 個人資産管理などプライベートカンパニーとして活用を考えている方
  • BtoC(企業と個人)のビジネスで、株式会社か合同会社かはあまり関係ない方
  • 許認可などの理由で法人格が必要な方
  • 株主総会や決算公告など煩わしい作業をしたくない方
  • 迅速な意思決定など、スピードを重視した自由な経営をしたい方

合同会社のデメリット

合同会社の最大の特徴である出資者間で直接合意できることによる迅速な意思決定など、企業としての柔軟性が逆に弱点になる可能性があります。
 合同会社の経営に関する意思決定は、原則出資者全員の過半数の同意が必要なため、社員(出資者)が複数いる場合など色々な意見の対立で収拾がつかない事態が起こる可能性があります。
 利益配分についても出資金額に応じなくてもいいため、逆にトラブルのもとになる可能性があります。
 定款などで、そういった場合のルールを決めておくなどの対応が必要になってくるかもしれません。
 さらに、株式会社でなく合同会社ということで、社会的信用をご心配される方もおみえだと思います。
 具体的には、求人をする際に株式会社に比べて人材が集まりにくい可能性があるとか、投資家からの投資や融資が受けにくいなど資金調達がしにくい可能性があります。
 もちろん、株式会社ではないので上場することもが出来ませんので、そう言ったことがデメリットになると思います。
 しかし、このようなデメリットは、冒頭にも話しましたが有名企業も組織変更や新規設立をしているなど社会的知名度も上がっていることを考えると、それほどのデメリットにはならないのかもしれません。
 それでも、株式会社に移行したければ10万円程度の費用で変更することも可能なようです。
 最近では、オーナー社長様で、今までに蓄積した資産を管理するために、プライベートカンパニーとして合同会社を設立される方が多くみえます。
 合同会社への出資者をご家族にすることで、相続税対策をするためです。
 会社を作ることだけでは、何の節税にもなりませんが、個人の所得税率と法人税率を比べてみただけでも、プライベートカンパニーの活用が会社と個人を一体的に、長期的に見た節税、将来発生するであろう相続税の対策として、有効になることは想像できるのではないでしょうか。

 

税務総合戦略室便り 第76号(2016年03月01日発行分)に掲載

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