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相続財産を売却した場合の所得税について

category: 所得税
第76号(2016年03月01日発行分)

執筆者6

今回は、相続人等が相続(遺贈を含みます。以下同様)によって取得した財産を売却した場合の所得税について考えてみます。
 相続税の改正によって、平成27年以降に発生した相続税から、基礎控除額が大きく減り、税率もアップしたことは、ご案内のことと思います。
 このような状況下においては、相続税を納付するために相続財産を売却することとなる事態もこれまで以上に発生することが予想されます。

相続税の申告期限から3年以内に相続財産を売却した場合には所得税が安くなる

不動産や株式等を売却して値上がり益がある場合には、譲渡所得が発生し、他の所得と合せて確定申告をする必要があります。
 これは、相続財産を売却した場合も同様です。この場合に間違えやすいことは、相続税の申告書に計上した価格(相続税評価額)は、譲渡所得の計算上は原価にならないことです。譲渡所得の計算上、相続財産の取得時期と取得価額を先代から引き継ぐことになります。したがって、相続税と所得税のダブル課税となるため、これについては従来から問題提起がなされているところでもありますが、本稿では、そのような理論面を論ずることなく話を進めます。
 実は、この場合にも特例はあるのです。それは、売却した相続財産に対応する相続税額を譲渡所得の取得価額に加算する特例です。
 相続税そのものを所得税から控除するのではありません。例えば、長期譲渡所得に該当する土地等(譲渡した年の1月1日現在で、先代以前の分も合計した所有期間が5年を超えているもの)を売却した場合には、国税・地方税合わせて20%の譲渡所得税がかかりますが、ということは、譲渡した物件に係る相続税の20%相当額の譲渡所得税が減税になるということです。ショボイと思われる読者も多いでしょうね。私もそう思います。
 実は、この特例は、平成26年12月末以前に開始した相続により取得した土地等を譲渡した場合については、譲渡所得の計算上、その個人が相続により取得した全ての土地等に対応する相続税相当額が取得価額に加算される制度になっておりました。ただし、この場合、譲渡損失は出せず、譲渡利益がゼロになるまでの金額が限度額になりますが、加算しきれなかった相続税は、翌年以降相続税の申告期限から3年までの譲渡において加算できるのですから、その特例を最大限に活用し、相続後3年間の毎年の譲渡が無税になる地主さんが普通にいました。平成27年1月以降に開始した相続により取得した土地等について、この特例が改正されてしまった訳です。残念なことです。
 ただし、平成26年以前に相続が開始している方にとっては、相続税の申告期限(10ヶ月)から3年後、すなわち亡くなってから3年10ヶ月以内に売却した土地等については、改正前の取扱いになりますので、該当する方にとっては、どのくらいの効果があるのか、税理士等に相談してみることをお勧めします。

相続したオーナー会社の株式を自社に売却する場合の特例

相続した非上場株式を売却した場合でも、株式の譲渡所得の計算上、先程の期限内に売却すれば、対応する相続税額を譲渡所得の計算上、取得価額に加算できます。
 相続した非上場株式を売却する場合には、購入する側の資金の問題もあり、その会社に売却することがよくあります。会社からみれば自己株式の取得になります。
 この場合には、譲渡所得とは別の課税問題が発生する場合があります。
 それは、売買価額が、その会社の対応する「資本金等」の金額を上回った場合には、その上回った金額を譲渡所得ではなく配当とみなして総合課税される「みなし配当」の制度です。しかし、この場合にも相続税の申告期限から3年以内の譲渡であれば、事前に会社に一定の書類を提出することにより、「みなし配当」が適用されないという特例があります。
 該当する方は、税理士等に相談してみるとよろしいでしょう。

税務総合戦略室便り 第76号(2016年03月01日発行分)に掲載

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