それぞれ事情があり、ニーズがある
エヌエムシイ税理士法人 統括マネージャー
〈経歴〉 平成14年11月より、エヌエムシイ税理士法人の設立・立ち上げを担当。20年以上、中小企業に対して経理事務の合理化や節税対策のアドバイスを行う。 |
8月の上旬に、取引先のご紹介で、40代後半のMさんに銀座でお会いしました。
「母からの相続にかかる税金のことが、どうにも心配で、心配で……。先生、一体どのくらい税金を払うようになりますか、少しでも税金を減らす方法があったら是非教えてください」
と、ご相談を受けました。
話を進めると、母一人子一人で、お母様は都内に自宅と賃貸用マンション2部屋を所有されているとのこと。その所在地と大よその坪数を聞いた時点で、すぐに「数千万円程度の相続税はかかるな」と、思いました。
現状を正しく把握することの大切さ
Mさんは、自身の相続税を心配しているだけあって、お付き合いのある保険会社や金融機関筋から、相続税のかからない範囲や自宅にかかる相続税が安くなること、あるいは、Mさんの子供達をお母様の養子にする節税策等、断片的に税金情報を入手されていました。
しかし、実際に相続が発生した場合、相続税がどのくらいになるのか、自宅やマンションを手放さずにその税金が払えるのか、といった現状を全く把握されていませんでした。そのため、Mさんは、いざという時のためにどのくらい納税資金を用意しておけばよいのか、一方お母様はといえば、Mさんに財産を無事に相続できるのだろうか、と気が気でなかったようです。
そこで私は、お二人の不安を取り除くためにも、まず現時点でのお母様の相続財産を正確に把握すること、そして何パターンかの相続の仕方とそれに伴う相続税のシミュレーションの必要性を、ご説明さしあげたのです。
後日、Mさんはお母様を連れてご来社され、お二人の同意のもと、相続税に関する現状分析・診断業務がスタートしました。下図1をご覧ください。

お客様の不安が安心に変わる
先月初めに、再度Mさんとお母様にご来社いただき、担当税理士と税務署OBで相続税専門の税理士同席のもと、結果報告をいたしました。
その内容は、図1の通り「相続財産の価値を明らかにし、パターン別に相続税を試算する」、といういたってシンプルなものでした。
一通り説明が終わると、お母様は、Mさんと顔を見合わせながら、
「これでスッキリしたね、払えない税額でもないし。後は、今日説明していただいた内容をもとに、一番みんなが納得のゆく相続の仕方を決めましょう。これで一歩前に進めるね……」
と笑顔で話されていました。
微力ながらも、お二人の不安を拭い去り、一安心して頂けたのではないか、と実感しております
大きな耳で聞き取る
今回の税務相談のニーズは、「お母様の財産、とりわけ自宅だけは、失うことなく確実に相続したい」ということでした。
実は、10年ほど前にも相続が発生し、自宅はMさんのお母様が無事に引き継いだとのこと。これから先も、自宅だけは子供に残してゆきたいという事情、強い思いがあったのです。つまり、ただ単に相続税を払いたくない訳ではなく、自宅を確実にMさん(又はMさんの子供達も含めたところで)に引き継げるなら相続税は払いますよ、ということなのです。
ともすれば、お客様のニーズを度外視し、税務会計の専門知識のみを前面に押し出し、複雑怪奇な節税対策に自己満足しがちな税理士という商売。危ない、危ない、大きな耳で誠心誠意お客様の事情をお聞きし、そのニーズを的確に汲み取ること、それで仕事の良し悪しは決まってしまいます。
お客様お一人おひとりにそれぞれ事情があり、ニーズがあります。そこに手を差し延べることで、不安を安心に変え、心の底から湧き上がるような感動を与えられると信じております。
現在、税務総合戦略室では相続税対策セミナーを開催しております。 相続税の仕組みについて知りたい方、節税にご関心のある方、税務総合戦略室へのご相談をお考えの方はまずはぜひご参加下さい。
税務総合戦略室便り 第33号(2011年11月30日発行分)に掲載
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