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オーナー経営者様の持ち株にも税金がかかる

エヌエムシイ税理士法人統括マネージャー 税理士 佐藤修一

エヌエムシイ税理士法人 統括マネージャー
税理士 佐藤修一

〈経歴〉
昭和63年、野本会計事務所入所

平成14年11月より、エヌエムシイ税理士法人の設立・立ち上げを担当。20年以上、中小企業に対して経理事務の合理化や節税対策のアドバイスを行う。






 先日、S社長から私どものスタッフ宛に、「株価を下げる方法を教えてくれないか」との電話がありました。

 確か、昨年の決算報告会にご来社された折、決算書の中の貸借対照表を見ながら、次のような話をさせて頂いたように思います。「S社長の会社の株式(これを、「自社株」といいます)の価値が徐々に上がってきています、もし社長が現在お持ちの株式を他の誰かに譲るような時には、課税上の問題が発生するかも知れませんね…」。S社長は、なぜ自分の会社の株式に税金がかかるのか、とはじめて聞く話にちょっとビックリされた様子でした。

引退する時に自社株を後継者に譲る

 話は冒頭の質問にもどりますが、S社長は近々引退を考えており、後継者であるご長男のY専務に、社長の座と自身が保有している会社の株式を譲るつもりであるとのこと。そこで昨年の決算報告会での話を思い出し、株式を譲る際の税金が気になったとのことでした。下の図1をご覧ください。


S社長が後継者のご長男様に自社株を譲る時の問題点

〔ポイント解説〕
・税務会計上、純資産の金額は、現時点の資本金(=自社株)の価値と等しくなります。
・純資産の金額が8,000万円ということは、自社株の価値も8,000万円となります。
・これは、設立当初の資本金額(=自社株総額)1,000万円が8倍の価値に上昇したことを意味します。
・したがって、ご長男のY専務は、1,000万円ではなく現在価値で8,000万円の自社株の贈与を受けたことになり、約3,720万円の税金を負担することになります。
※(自社株8,000万円 - 基礎控除110万円) × 贈与税率50% - 控除額225万円=3,720万円の贈与税
・また、一般的に自社株は換金性がほとんどないため、納税資金の問題に直面することになります。


創業20年以上で利益体質の会社様はご注意ください

 図1から、自社株問題の厄介さを少なからずご理解いただけたでしょうか。

 S社長の会社は、今年で創業24年目、非常に堅実な経営と従業員様に恵まれた結果、継続して利益を出し続け、かつ財務内容も抜群です。

 一つの目安とお考えいただきたいのですが、創業20年以上で、しかも利益を出し続けている会社様であればあるほど、自社株を後継者に譲る時に多額の税金が発生するという、潜在的な問題点を抱えている場合が多いのです。

 経営権を握らせるために後継者に自社株を譲ること自体は良いのですが、図1からお分かりのように、S社長の自社株を一度にご長男に譲ることは、多額の税負担を考えると得策とはいえません。

 例えば、贈与税がかからない110万円の基礎控除の範囲内で、少しずつ数年かけて自社株を移行することで、余分な税金を払わないで済むのです。


人間ドックならぬ会社ドックのすすめ

 お時間のあるときに、皆様のお手元にある貸借対照表の右下にある純資産の金額を一度ご確認ください。
 その金額が、資本金の金額の5倍を超えていたら、決算終了後に一度、自分の会社の株価を計算してみてはいかがでしょうか。

 私は20数年のこの業界に身を置いておりますが、社長様が知らないうち自社株の価値が100倍を超えていたというケースにも何回か直面いたしました。
 こうなると、贈与税のかからない範囲で少しずつ年数をかけて自社株を移行する等、悠長な話はしていられません。人間の病気でいえば、名医による大手術が必要になります。

 自社株問題のように、会社の中に潜在的に眠っている税務会計上のリスクを未然に回避する最善策は、人間ドックならぬ会社ドック(自社株の価値を計算する)を定期的に受診することではないでしょうか。

 現在、「事業承継と相続のための自社株対策セミナー」を開催しておりますので、ぜひ一度足をお運びください。



税務総合戦略室便り 第31号(2011年9月30日発行分)に掲載

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