社長個人への貸付金や仮払金にも利息がつく? 認定利息とは
エヌエムシイ税理士法人 統括マネージャー
〈経歴〉 平成14年11月より、エヌエムシイ税理士法人の設立・立ち上げを担当。20年以上、中小企業に対して経理事務の合理化や節税対策のアドバイスを行う。 |
遊技場を営むS社(3月決算)に税務調査が入り、次のような指摘がありました。
3月末の社長様への貸付金残高約500万円に対して、年3%で利息を計上しているが、何を根拠に3%としているのか。金融機関など他に借入金がなければ、4%に公定歩合を加算した利率で利息を計上すべきではないか…。
(*結果として、この調査は指摘のみで終了し、追徴税額は発生しませんでした)
「認定利息」という言葉をご存知ですか
もし社長個人が会社にまったく利息を支払っていなかったらどうでしょう。この場合には、調査官から、S社は社長個人から利息をとるべきなのにとっていないので、その利息(これを「認定利息」といいます)について税金を納めてくださいと、指摘を受けることになるでしょう。

なぜ、自分の会社から借りたお金に利息がつくのか
疑問に思われるのはもっともなことですが、この場合には、税務署の指摘に従わなければなりません。理由は二つあります。
一つは、自分の会社であっても、税法上は、会社と社長は別の人格として取り扱われるからです。たとえ社長個人への貸付けであっても、第三者への貸付けと同様に利息を計上すべき、というのが税務署の見解なのです。
もうひとつは、利息をとらずに貸付けた場合のように、無償で行う取引についても税金をかける、としているからです。例えば、時価100万円の商品を、時価で売却した場合と贈与した場合を考えてみましょう。原価が70万円の商品であれば、100万円で売った場合には利益の30万円(100万円 -70万円)に対して税金がかかるのに対し、贈与した場合には損失が70万円(0万円 -70万円)となり、税金がかからないことになります。
このように、無償で取引をすれば税金を減らせますので、税法上は無償で行う取引にも税金をかけるのです。
いくら位の利息をとれば大丈夫?
では、具体的にいくら位の利息をとっていれば大丈夫なのでしょうか。常は、次の二つ利率を基に計算することになります。
- 1、会社に金融機関等からの借入金がある場合 実際の借入金の利率
- 2、会社に金融機関等からの借入金がない場合 認定利息利率(前述の例題【図1)を参照)
ただし、利息をとっていないからといって、即座に税務署から追徴される、ということにはなりません。利息の金額が小さければ敢えて問題としない、というケースもあります。過去の税務調査を振り返ると、貸付期間が1年未満の場合や元金が500万円以下の場合には、利息をとっていなくても、問題視される可能性は少ないように思われます。
社長への仮払金も要注意
その他、長期にわたり精算していない社長への仮払金は、実態として社長への貸付金と一緒と考えられるため、会社は利息をとらなければならないとして、税務署から追徴が行われる場合もあります。
また、決算書に社長への貸付金や仮払金が残っていれば、それだけで税務署から目をつけられかねず、更に金融機関からもあまりいい印象を持たれるものではありません。
会社は極力社長への貸付金や長い間滞留している仮払金をつくらないこと、やむを得ない事情があってつくってしまった場合には、社長から利息をとることはもちろん、契約書や返済計画を作り、その条件とおりに返済を受けていくことが必要です。
税務総合戦略室便り 第29号(2011年7月30日発行分)に掲載
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